建築物・内装の意匠登録状況をネットで情報収集する方法
令和元年の意匠法改正により、令和2年4月1日から、新たに建築物・内装の意匠(デザイン)を保護できるようになりました。
改正前の意匠の保護対象は、プレハブといった組立家屋に限られていたため、本改正は不動産業界や什器業界にとってインパクトのあるものとなり得ます。
一方、意匠出願は、これらが登録に至らない限り特許庁から正式に公開されないため、出願内容の傾向や統計を把握できるのは、さらに半年くらい先になるかもしれません。
そこで、少しでも早く最新情報を入手して見通しを立てたい場合におすすめな2つの方法を紹介します。
1.令和元年意匠法改正特設サイトで情報収集
当然ながら、特許庁の公開情報が正確無比でしょう。特許庁は、法改正の経緯を含め、平成29年(2017年)から情報公開を行っています。
▶ 令和元年意匠法改正特設サイト by 特許庁ウェブサイト
近々で興味深い公開情報としては、7月13日にリリースされた「改正意匠法に基づく新たな保護対象についての意匠登録出願状況」で、7月1日時点の統計では、建築物の意匠出願が133件、内装の意匠出願が98件です。
ただ、建築物の件数は、検索条件である日本意匠分類の幅が広く、実はノイズ(建築物ではない意匠出願)も含まれているのではないかと推測します。
一方、内装の件数は、検索条件である日本意匠分類が「L3-7」に絞られているため、ノイズは含まれておらず正確な数値と推測できます。
その他、「改訂意匠審査基準の概要」もわかりやすいため、意匠出願を検討する際の参考になると思います。
2.J-PlatPatで情報収集
J-PlatPatは、特許庁の公開データベースです。繰り返しになりますが、意匠の場合、特許や商標のような公開制度がないため、登録に至らない限り、J-PlatPatで公開されません。
また、商標の場合、出願後1か月前後で内容がJ-PlatPatで公開されるため、競合他社等の出願状況を確認できるのは、1か月遅れとなります。
一方、意匠の場合、出願から登録まで早くても半年前後かかるため、競合他社等の出願状況を確認できるのは、半年遅れとなります。
この遅れを理解した上で、J-PlatPatで情報収集する場合、例えば以下の日本意匠分類で検索するのが効率的と考えられます。
L2-5010:橋りょう など
L2-600:防波堤、ダム など
L3-100:ガスタンク、煙突、灯台 など
L3-130:駅舎、空港ターミナル など
L3-140:鉄塔、電柱 など
L3-2000:高層ビル など
L3-21:戸建住宅 など
L3-24:ロードサイド店舗 など
L3-7:内装の意匠
<参考:意匠登録出願の基礎(建築物・内装) 22頁 by 特許庁>
もしJ-PlatPatでの意匠の調べ方がわからない場合は、以下を参考にしてみてください。
▶ 意匠を調べるには?小学生にもわかるJ-PlatPatの使い方
まとめ
建築物・内装の意匠登録第1号はどのようなデザインなのか、また、各業界で意匠登録がどのように活用されるのか、興味深いです。
本件については、新たな情報を入手次第、本記事のアップデートや新たな記事の作成を検討しています。
文責:打越佑介