特許とは?初心者向けのわかりやすいQ&A集
特許について質問された場合、基本的にわかりやすく回答するように心掛けています。
たとえば、専門用語を使わないようにしたり、はじめはざっくり→その後詳しくというようなステップに分けたり、工夫しています。
また、弁理士になって10年が過ぎますが、聞かれることはだいたい共通しています。
つまり、特許って、初心者の方にとってはそれくらいわかりにくいんだな~って感じつつ、日々自分の説明の仕方を試行錯誤しています。
そこで、とてもよく聞かれるざっくりとした質問や的を得た大事な質問などを一問一答形式にしてまとめました。
特許について知識のない方もそうでない方にも、お役に立てていただけたら嬉しいです。
Q.特許とは?(簡単に言うと)
A.オリジナルの発明がパクられても守れるように登録しておく制度です。
Q.特許とは?(少し詳しく)
A.特許法に基づき、オリジナルの発明を独占し、かつ競合他社等による模倣行為を排他できるように、登録して特許権を付与する制度です。
Q.特許は東京特許許可局に申請するの?
A.違います。特許庁に申請します。
特許庁は、経済産業省の外局(特許などを扱う専門機関)です。東京特許許可局というところはありません。
Q.特許はどうやって申請するの?
A.下記①~③のいずれかで申請書類を特許庁に提出します。
①インターネット(専用のソフトかつ電子認証が必要です)
②紙を特許庁に発送
③紙を特許庁に持参
Q.特許は年間何件申請されているの?
A.30万件くらいです(2019年は307,969件)。
特許庁が「年報統計・資料編」にて公表しています。
Q.特許は早く出した方がいいの?
A.早いに越したことはありません。
特許は早い者勝ちなので、一日出し遅れたため取れなかった、ということも起こり得ます。
Q.特許は実際に商品がないとダメでしょ?
A.実際に商品がなくても大丈夫です。
特許は、商品のアイディアのみでもサンプルのみでも、書類をちゃんと整えれば取れます。
Q.特許をとればアイディアがパクられない?
A.パクられないとは言い切れません。
特許の主な役割は、アイディア(オリジナルの発明)がパクられた場合、それを止めたりお金を要求したりできるものです。
Q.特許を取れれば儲かるの?
A.儲かるとは言い切れません。
特許で守っているオリジナルの発明自体に、競合他社がパクりたくなるくらいの価値があるかないかによります。
Q.特許を取れるかどうかの目安は?
A.下記①及び②が目安です。
①オリジナルの発明が、既存品と異なる技術的な特徴を有していること
②既存品に課題があり、その特徴によればその課題を解決できること
Q.特許で守れるのは何?(端的にいうと)
A.物、物の製造方法、その他〇〇方法、です。
Q.特許で守れるのは何?(具体的にいうと)
A.特許で守れる物、物の製造方法、その他〇〇方法の具体例は以下です。
①物=日用品、ソフトウェア(ビジネスモデル含む)、素材、食品、薬
②物の製造方法=日用品の製造方法、素材の製造方法、食品の製造方法
③その他〇〇方法=検査方法、測定方法、制御方法、管理方法
Q.どんなビジネスモデルでも特許取れる?
A.取れるとは言い切れません。
インターネット(スマホ・サーバ・パソコンなど)をからめたビジネスモデルだと取りやすいです。
Q.特許で社名やロゴを守れる?
A.守れません。
社名やロゴといった「商標」は、商標登録して守ります。
Q.特許でデザイン(見た目)は守れる?
A.特許で守れますが、意匠登録でも守れます。
物体以外のデザイン(美術品や単なるモチーフ)は、特許でも意匠登録でも守れません。
Q.特許を取った方がいいの?
A.取った方がいいとは言い切れません。
オリジナルの発明の内容と、その事業戦略とのバランス次第です。
Q.特許を取っ方がいい場合とは?
A.下記①または②の場合、特許を取るほうがいいです。
①オリジナルの発明のポイント(からくり)がばれやすい場合
②オリジナルの発明を競合他社に絶対パクられたくない場合
Q.特許を取らない方がいい場合とは?
A.下記①②のいずれかの場合、特許を取らない方がいいです。
①オリジナルの発明のポイント(からくり)が絶対にばれない場合
②特許取得資金よりも優先して資金投入すべきことがある場合
Q.特許を取るメリットは?
A.下記①~④のメリットがあります。
①オリジナルの発明がパクられにくくなる
②オリジナルの発明がパクられても守れる(但し特許の内容次第)
③特許を取ったことを宣伝できる
④「特許第・・・号」や「特許取得済み」と表記できる
Q.会社の従業員に発明させて特許を取るメリットは?
A.上記①~④以外に下記ア)~ウ)のメリットがあります。
ア)従業員の教育の一環となる(発明の考え方など)
イ)状業員の意欲向上を図れる(報奨金制度の活用など)
ウ)発明の管理を体系的にできる
Q.特許を取らず出しただけだとメリットはない?
A.特許を出しただけでも下記①~③のメリットがあります。
①競合他社が同じ内容で特許を取れなくなる
②競合他社がオリジナルの発明を開発しにくくなる
③「特許出願済み」と表記できる
Q.特許を出す(取る)デメリットは?
A.下記①②がデメリットとなる場合があります。
①出願書類が一般公開され、これらを競合他社の開発のヒントにされる
②特許の件数が多いほど維持管理の工数と費用がかかる
Q.特許とは独り占めすること?
A.独り占めすることではありません。
特許をとること(独占権を得ること)と実際に独り占めすること(誰にも使わせないこと)とは違います。特許をとっても独り占めせず皆さんに使っていただいても大丈夫です。
Q.独り占めしないなら特許を取る意味あるの?
A.あります。
悪意のある第三者にオリジナルの発明がパクられにくかったり、パクられても守れるため、意味があります。
Q.特許ってハイテクな発明じゃないとダメ?
A.身近にある生活雑貨などシンプルでローテクな発明でも大丈夫です。
Q.特許って商品が売れてからでも取れる?
A.原則、取れません。新しくない(新規性がない)ためです。
売れてからでも取れるテクニックがないわけではないですが、条件が厳しく、手続も煩雑なため、おすすめしていません。
Q.特許ってどうやって取るの?(簡単にいうと)
A.少なくとも以下の手続①~③が必要です。
①申請書類一式を特許庁に提出する(出願)
②提出した書類について特許庁に審査を依頼する(審査請求)
③審査を通過できたら登録料を支払う(特許料納付)
Q.特許ってどうやって取るの?(少し詳しく)
A.一般的には以下のステップ1~4にて特許を取ります。
<ステップ1(出願)>
申請書類一式(願書、明細書、特許請求の範囲、要約書、図面)を特許庁に出願する
<ステップ2(審査請求)>
ステップ1の後3年以内に、申請書類に対して出願審査請求する
<ステップ3(審査官対応)>
審査の結果、審査官から拒絶理由通知を受けた場合、60日以内に意見書や手続補正書を審査官に提出する
<ステップ4(特許料納付)>
ステップ2または3の後、審査官から特許査定を受けた場合、30日以内に特許料を支払う
Q.特許をとれば絶対安全なの?
A.絶対安全とは言い切れません。
特許の効き目(効力)は、最終的に審査で認められた内容次第なので、パクられても残念ながら守れないこともあります。
Q.特許の効き目(効力)はどうやって決まるの?
A.申請書類のうち「特許請求の範囲」で決まります。
Q.特許って取るの難しいでしょ?
A.全て自分で手続して特許を取るのは難しい(苦労する)と思います。
弁理士に手続を依頼するのが最終的に費用対効果が高いと思います。
Q.自分で特許を取る場合に特に難しいのはなに?
A.「特許請求の範囲」の書き方です。
たとえ弁理士に依頼しても「特許請求の範囲」の書き方は十人十色なくらい、独特かつ重要な部分です。
Q.特許ってどれくらいの割合で取れてる?
A.7割以上です(2015年以降の統計)
なお、上記統計は審査請求した申請に対する割合で、審査請求していない申請を含めると、もっと下がると思います。
Q.特許を取れないのはどんな場合?
A.主に下記①~③のいずれかと審査にて判断されると特許を取れません。
①オリジナルの発明が新しくない(新規性なし)
②オリジナルの発明が既存品と比べて進歩していない(進歩性なし)
③出願書類に不備がある(但し修正できればクリア)
Q.特許って商品を販売する前に出した方がいい?
A.そのとおりです。
販売後や宣伝後だと、商品が新しくない(新規性がない)と判断され、特許が取れなくなる可能性が高いです。
Q.特許は個人名義と法人名義のどちらがいいの?
A.法人であれば法人名義をおすすめします。
法人格を有する中小企業の社長さんの場合、総合的な金銭的メリットに大差はなく、また、個人名義で取ると相続時の手続が生じる点にも注意が必要です。
Q.特許を法人名義で取るメリットは?
A.特許の取得に要する費用を経費化できるメリットがあります。
Q.特許の名義は変更できるの?
A.変更できます。
特許になる前でもなった後でも可能です。特許になる前のほうが、変更に伴う費用が安価です。
Q.自分で手続して特許を取る費用は?(概算)
A.16万円くらいからです(印紙代のみ)。
Q.自分で手続して特許を取る費用は?(ステップ毎)
A.以下のとおりです(印紙代のみ)。
ステップ1(出願)=14,000円
ステップ2(審査請求)=142,000円~
ステップ3(審査官対応)=0
ステップ4(特許料納付)=6,900円~
トータル162,900円~です。「特許請求の範囲」の内容により増加します。
Q.弁理士に頼んで特許を取る費用は?(概算)
A.相場はトータル60~80万円です(印紙代+税込)。
一般的に、よりよく特許を取るための提案、申請書類作成の難易度、審査官とのやり取り、手続の煩雑さなどを考慮して、弁理士の報酬が決まります。
Q.弁理士に頼んで特許を取る費用は?(ステップ毎)
A.相場は以下のとおりです(印紙代+税込)。
ステップ1(出願)=25~30万円
ステップ2(審査請求)=15~20万円
ステップ3(審査官対応)=10~15万円
ステップ4(特許料納付)=10~15万円
Q.弁理士に頼んで特許を取る費用はいつ支払うの?
A.弁理士に対して各ステップの終了時に支払いますが、終了前に前金として支払うこともあります。
Q.特許って登録までの期間はどれくらい?
A.平均4年です(審査請求のタイミング次第)
Q.特許の登録までの期間を早められるの?
A.早められます。
ステップ1(出願)と同時又は直後にステップ2(審査請求)を行えば、1.5~2年、早期審査請求を行えば半年~1年くらいで登録できます。
Q.特許は取れれば一生もの?
A.一生ものではありません。
特許は申請(出願)した日(出願日)から原則20年の命です。
Q.特許を持ち続けるにはどうすればいいの?
A.少なくとも特許料(維持料金)を支払い続けてください。
最初、特許料を1~3年分まとめて支払い、その後、1年分ずつ支払ってもまとめて支払ってもOKです。
Q.特許料(維持料金)はいくら?
A.下記①~④の維持年数によって異なります。
①1~3年=毎年2,100円+(請求項の数×200円)
②4~6年=毎年6,400円+(請求項の数×500円)
③7~9年=毎年19,300円+(請求項の数×1,500円)
④10~25年まで=毎年55,400円+(請求項の数×4,300円)
Q.特許料(維持料金)が年々増加するのはなぜ?
A.厳密にはわかりません。
維持年数が経つほど特許で守っている発明に関する商品やサービスが売れて儲かっているはずだから、という説があります。
Q.特許料を支払えばずっと持ち続けられる?
A.そうとは言い切れません。無効にされるリスクがあるからです。
一般的に、特許があると困る競合他社などは、特許無効審判を請求し、その特許をつぶしにかかることがあります。
Q.競合他社の特許は注意すべき?
A.注意すべきです。
特許制度には、「過失の推定」というルールもあって、知らなかったゴメン!では済まされない場合があります。
Q.競合他社の特許を調べるには?(簡単にいうと)
A.特許情報プラットフォームの「特許・実用新案検索」で調べられます。
Q.競合他社の特許を調べるには?(少し詳しく)
A.下記①~④の手順で調べられます。
①特許情報プラットフォームの「特許・実用新案検索」を開く
②「検索キーワード」の検索項目から「出願人/権利者/著者所属」を選択
③キーワード欄に競合他社名を入力
④画面下方の「検索」をクリック
まとめ
特許に関する基本的な質問の回答を初心者向けに整理しました。
今後も適宜更新していきたいと思います。
文責:打越佑介
特許について質問された場合、基本的にわかりやすく回答するように心掛けています。
たとえば、専門用語を使わないようにしたり、はじめはざっくり→その後詳しくというようなステップに分けたり、工夫しています。
また、弁理士になって10年が過ぎますが、聞かれることはだいたい共通しています。
つまり、特許って、初心者の方にとってはそれくらいわかりにくいんだな~って感じつつ、日々自分の説明の仕方を試行錯誤しています。
そこで、とてもよく聞かれるざっくりとした質問や的を得た大事な質問などを一問一答形式にしてまとめました。
特許について知識のない方もそうでない方にも、お役に立てていただけたら嬉しいです。
Q.特許とは?(簡単に言うと)
A.オリジナルの発明がパクられても守れるように登録しておく制度です。
Q.特許とは?(少し詳しく)
A.特許法に基づき、オリジナルの発明を独占し、かつ競合他社等による模倣行為を排他できるように、登録して特許権を付与する制度です。
Q.特許は東京特許許可局に申請するの?
A.違います。特許庁に申請します。
特許庁は、経済産業省の外局(特許などを扱う専門機関)です。東京特許許可局というところはありません。
Q.特許はどうやって申請するの?
A.下記①~③のいずれかで申請書類を特許庁に提出します。
①インターネット(専用のソフトかつ電子認証が必要です)
②紙を特許庁に発送
③紙を特許庁に持参
Q.特許は年間何件申請されているの?
A.30万件くらいです(2019年は307,969件)。
特許庁が「年報統計・資料編」にて公表しています。
Q.特許は早く出した方がいいの?
A.早いに越したことはありません。
特許は早い者勝ちなので、一日出し遅れたため取れなかった、ということも起こり得ます。
Q.特許は実際に商品がないとダメでしょ?
A.実際に商品がなくても大丈夫です。
特許は、商品のアイディアのみでもサンプルのみでも、書類をちゃんと整えれば取れます。
Q.特許をとればアイディアがパクられない?
A.パクられないとは言い切れません。
特許の主な役割は、アイディア(オリジナルの発明)がパクられた場合、それを止めたりお金を要求したりできるものです。
Q.特許を取れれば儲かるの?
A.儲かるとは言い切れません。
特許で守っているオリジナルの発明自体に、競合他社がパクりたくなるくらいの価値があるかないかによります。
Q.特許を取れるかどうかの目安は?
A.下記①及び②が目安です。
①オリジナルの発明が、既存品と異なる技術的な特徴を有していること
②既存品に課題があり、その特徴によればその課題を解決できること
Q.特許で守れるのは何?(端的にいうと)
A.物、物の製造方法、その他〇〇方法、です。
Q.特許で守れるのは何?(具体的にいうと)
A.特許で守れる物、物の製造方法、その他〇〇方法の具体例は以下です。
①物=日用品、ソフトウェア(ビジネスモデル含む)、素材、食品、薬
②物の製造方法=日用品の製造方法、素材の製造方法、食品の製造方法
③その他〇〇方法=検査方法、測定方法、制御方法、管理方法
Q.どんなビジネスモデルでも特許取れる?
A.取れるとは言い切れません。
インターネット(スマホ・サーバ・パソコンなど)をからめたビジネスモデルだと取りやすいです。
Q.特許で社名やロゴを守れる?
A.守れません。
社名やロゴといった「商標」は、商標登録して守ります。
Q.特許でデザイン(見た目)は守れる?
A.特許で守れますが、意匠登録でも守れます。
物体以外のデザイン(美術品や単なるモチーフ)は、特許でも意匠登録でも守れません。
Q.特許を取った方がいいの?
A.取った方がいいとは言い切れません。
オリジナルの発明の内容と、その事業戦略とのバランス次第です。
Q.特許を取っ方がいい場合とは?
A.下記①または②の場合、特許を取るほうがいいです。
①オリジナルの発明のポイント(からくり)がばれやすい場合
②オリジナルの発明を競合他社に絶対パクられたくない場合
Q.特許を取らない方がいい場合とは?
A.下記①②のいずれかの場合、特許を取らない方がいいです。
①オリジナルの発明のポイント(からくり)が絶対にばれない場合
②特許取得資金よりも優先して資金投入すべきことがある場合
Q.特許を取るメリットは?
A.下記①~④のメリットがあります。
①オリジナルの発明がパクられにくくなる
②オリジナルの発明がパクられても守れる(但し特許の内容次第)
③特許を取ったことを宣伝できる
④「特許第・・・号」や「特許取得済み」と表記できる
Q.会社の従業員に発明させて特許を取るメリットは?
A.上記①~④以外に下記ア)~ウ)のメリットがあります。
ア)従業員の教育の一環となる(発明の考え方など)
イ)状業員の意欲向上を図れる(報奨金制度の活用など)
ウ)発明の管理を体系的にできる
Q.特許を取らず出しただけだとメリットはない?
A.特許を出しただけでも下記①~③のメリットがあります。
①競合他社が同じ内容で特許を取れなくなる
②競合他社がオリジナルの発明を開発しにくくなる
③「特許出願済み」と表記できる
Q.特許を出す(取る)デメリットは?
A.下記①②がデメリットとなる場合があります。
①出願書類が一般公開され、これらを競合他社の開発のヒントにされる
②特許の件数が多いほど維持管理の工数と費用がかかる
Q.特許とは独り占めすること?
A.独り占めすることではありません。
特許をとること(独占権を得ること)と実際に独り占めすること(誰にも使わせないこと)とは違います。特許をとっても独り占めせず皆さんに使っていただいても大丈夫です。
Q.独り占めしないなら特許を取る意味あるの?
A.あります。
悪意のある第三者にオリジナルの発明がパクられにくかったり、パクられても守れるため、意味があります。
Q.特許ってハイテクな発明じゃないとダメ?
A.身近にある生活雑貨などシンプルでローテクな発明でも大丈夫です。
Q.特許って商品が売れてからでも取れる?
A.原則、取れません。新しくない(新規性がない)ためです。
売れてからでも取れるテクニックがないわけではないですが、条件が厳しく、手続も煩雑なため、おすすめしていません。
Q.特許ってどうやって取るの?(簡単にいうと)
A.少なくとも以下の手続①~③が必要です。
①申請書類一式を特許庁に提出する(出願)
②提出した書類について特許庁に審査を依頼する(審査請求)
③審査を通過できたら登録料を支払う(特許料納付)
Q.特許ってどうやって取るの?(少し詳しく)
A.一般的には以下のステップ1~4にて特許を取ります。
<ステップ1(出願)>
申請書類一式(願書、明細書、特許請求の範囲、要約書、図面)を特許庁に出願する
<ステップ2(審査請求)>
ステップ1の後3年以内に、申請書類に対して出願審査請求する
<ステップ3(審査官対応)>
審査の結果、審査官から拒絶理由通知を受けた場合、60日以内に意見書や手続補正書を審査官に提出する
<ステップ4(特許料納付)>
ステップ2または3の後、審査官から特許査定を受けた場合、30日以内に特許料を支払う
Q.特許をとれば絶対安全なの?
A.絶対安全とは言い切れません。
特許の効き目(効力)は、最終的に審査で認められた内容次第なので、パクられても残念ながら守れないこともあります。
Q.特許の効き目(効力)はどうやって決まるの?
A.申請書類のうち「特許請求の範囲」で決まります。
Q.特許って取るの難しいでしょ?
A.全て自分で手続して特許を取るのは難しい(苦労する)と思います。
弁理士に手続を依頼するのが最終的に費用対効果が高いと思います。
Q.自分で特許を取る場合に特に難しいのはなに?
A.「特許請求の範囲」の書き方です。
たとえ弁理士に依頼しても「特許請求の範囲」の書き方は十人十色なくらい、独特かつ重要な部分です。
Q.特許ってどれくらいの割合で取れてる?
A.7割以上です(2015年以降の統計)
なお、上記統計は審査請求した申請に対する割合で、審査請求していない申請を含めると、もっと下がると思います。
Q.特許を取れないのはどんな場合?
A.主に下記①~③のいずれかと審査にて判断されると特許を取れません。
①オリジナルの発明が新しくない(新規性なし)
②オリジナルの発明が既存品と比べて進歩していない(進歩性なし)
③出願書類に不備がある(但し修正できればクリア)
Q.特許って商品を販売する前に出した方がいい?
A.そのとおりです。
販売後や宣伝後だと、商品が新しくない(新規性がない)と判断され、特許が取れなくなる可能性が高いです。
Q.特許は個人名義と法人名義のどちらがいいの?
A.法人であれば法人名義をおすすめします。
法人格を有する中小企業の社長さんの場合、総合的な金銭的メリットに大差はなく、また、個人名義で取ると相続時の手続が生じる点にも注意が必要です。
Q.特許を法人名義で取るメリットは?
A.特許の取得に要する費用を経費化できるメリットがあります。
Q.特許の名義は変更できるの?
A.変更できます。
特許になる前でもなった後でも可能です。特許になる前のほうが、変更に伴う費用が安価です。
Q.自分で手続して特許を取る費用は?(概算)
A.16万円くらいからです(印紙代のみ)。
Q.自分で手続して特許を取る費用は?(ステップ毎)
A.以下のとおりです(印紙代のみ)。
ステップ1(出願)=14,000円
ステップ2(審査請求)=142,000円~
ステップ3(審査官対応)=0
ステップ4(特許料納付)=6,900円~
トータル162,900円~です。「特許請求の範囲」の内容により増加します。
Q.弁理士に頼んで特許を取る費用は?(概算)
A.相場はトータル60~80万円です(印紙代+税込)。
一般的に、よりよく特許を取るための提案、申請書類作成の難易度、審査官とのやり取り、手続の煩雑さなどを考慮して、弁理士の報酬が決まります。
Q.弁理士に頼んで特許を取る費用は?(ステップ毎)
A.相場は以下のとおりです(印紙代+税込)。
ステップ1(出願)=25~30万円
ステップ2(審査請求)=15~20万円
ステップ3(審査官対応)=10~15万円
ステップ4(特許料納付)=10~15万円
Q.弁理士に頼んで特許を取る費用はいつ支払うの?
A.弁理士に対して各ステップの終了時に支払いますが、終了前に前金として支払うこともあります。
Q.特許って登録までの期間はどれくらい?
A.平均4年です(審査請求のタイミング次第)
Q.特許の登録までの期間を早められるの?
A.早められます。
ステップ1(出願)と同時又は直後にステップ2(審査請求)を行えば、1.5~2年、早期審査請求を行えば半年~1年くらいで登録できます。
Q.特許は取れれば一生もの?
A.一生ものではありません。
特許は申請(出願)した日(出願日)から原則20年の命です。
Q.特許を持ち続けるにはどうすればいいの?
A.少なくとも特許料(維持料金)を支払い続けてください。
最初、特許料を1~3年分まとめて支払い、その後、1年分ずつ支払ってもまとめて支払ってもOKです。
Q.特許料(維持料金)はいくら?
A.下記①~④の維持年数によって異なります。
①1~3年=毎年2,100円+(請求項の数×200円)
②4~6年=毎年6,400円+(請求項の数×500円)
③7~9年=毎年19,300円+(請求項の数×1,500円)
④10~25年まで=毎年55,400円+(請求項の数×4,300円)
Q.特許料(維持料金)が年々増加するのはなぜ?
A.厳密にはわかりません。
維持年数が経つほど特許で守っている発明に関する商品やサービスが売れて儲かっているはずだから、という説があります。
Q.特許料を支払えばずっと持ち続けられる?
A.そうとは言い切れません。無効にされるリスクがあるからです。
一般的に、特許があると困る競合他社などは、特許無効審判を請求し、その特許をつぶしにかかることがあります。
Q.競合他社の特許は注意すべき?
A.注意すべきです。
特許制度には、「過失の推定」というルールもあって、知らなかったゴメン!では済まされない場合があります。
Q.競合他社の特許を調べるには?(簡単にいうと)
A.特許情報プラットフォームの「特許・実用新案検索」で調べられます。
Q.競合他社の特許を調べるには?(少し詳しく)
A.下記①~④の手順で調べられます。
①特許情報プラットフォームの「特許・実用新案検索」を開く
②「検索キーワード」の検索項目から「出願人/権利者/著者所属」を選択
③キーワード欄に競合他社名を入力
④画面下方の「検索」をクリック
まとめ
特許に関する基本的な質問の回答を初心者向けに整理しました。
今後も適宜更新していきたいと思います。
文責:打越佑介