特許請求の範囲とは?小学生にもわかる意味・図解
特許を取れば、なんでもかんでも守れるわけではなく、審査で認められた範囲でしか守れず、この範囲を「特許請求の範囲」といいます。
特許の持ち主は、誰かのモノマネ品が「特許請求の範囲」に含まれれば、モノマネ品の販売などを止められます。
逆に、”誰か”に該当する人は、モノマネ品が「特許請求の範囲」に含まれなければ、モノマネ品の販売などを続けられます。
つまり、「特許請求の範囲」とは、ずばり特許のことですが、これを図解と共に説明します。
特許請求の範囲の請求項1に要注意
特許の書類(特許公報)には、一般的に、「請求項1」、「請求項2」、「請求項3」・・・と書かれています。
この「請求項●」とは、ずばり特許のことで、「請求項1」、「請求項2」、「請求項3」・・・をまとめて「特許請求の範囲」といいます。
そして、「特許請求の範囲」のうち、注意すべきは「請求項1」です。
なぜなら、一般的に、「請求項2」以下は、「請求項1」に基づいている(従属している)からであり、別の言い方をすれば、「請求項1」に別のアイディア(機能、部品、工程など)を加えたものだからです。
つまり、「請求項1」が要注意な理由は、請求項2以下よりも範囲が広いからです。このことを図解したのが以下です。
請求項の内容がシンプルなほど範囲が広い
図は、ソフトウェア特許(俗にいうビジネスモデル特許)をイメージしたもので、「請求項1」は機能A,B,Cを搭載したソフトウェア、「請求項2」は機能A,B,C,Dを搭載したソフトウェア、という意味です(請求項3以下も同じ)。
請求項2以下のソフトウェアは、機能A,B,Cのみならず、機能D,E,F,Gを搭載している分、請求項1のソフトウェアより範囲が狭いということになります。
逆に、請求項1のソフトウェアは、機能A,B,Cのみであり、機能D,E,F,Gを搭載していない分、請求項2以下のソフトウェアより範囲が広いということになります。
つまり、請求項の内容がシンプルな(請求項に含まれる機能が少ない)ほど、範囲が広いということになります。このあたりが、特許の難しいところであり、勘違いされやすいところでもあります。
請求項2以下と違っても請求項1を含めば侵害
例えば、請求項2(機能A,B,C,D)のソフトウェアに似ているけど異なる機能A,B,C,EのソフトウェアXを販売した場合、ソフトウェアXは少なくとも機能A,B,Cを有するため、請求項1のソフトウェアを含むことになります。
同様に、請求項3(機能A,B,C,D,E)のソフトウェアに似ているけど異なる機能A,B,C,F,GのソフトウェアYを販売した場合、ソフトウェアYは少なくとも機能A,B,Cを有するため、請求項1のソフトウェアを含むことになります。
つまり、請求項2や請求項3のソフトウェアに似て非なるソフトウェアでも、請求項1のソフトウェアを含んでいる場合、請求項1を侵害していることになります。
このことは、請求項1が要注意であり、請求項の内容がシンプルなほど範囲が広いという理由につながります。
実際の商品と特許とは逆の考え方
一方、実際の商品(例えば、ソフトウェア)は、多機能ほど充実していることから、特許請求の範囲とは考え方が逆です。
つまり、特許を取る場合は、たとえ実際の商品が多機能でも、できる限り余計な機能を含めず、必要最低限の機能に絞り込むわけです。
ここで、「必要最低限の機能」とは、世の中に存在する技術(先行技術)と比べて少しでも上回る(進歩している)ものを意味します。
例えば、機能A,Bのソフトウェアが世の中に存在する技術である場合、これよりも進歩している機能A,B,Cを請求項1にします。
そして、実際の商品に含まれる他の機能D,E,F,Gは、請求項1に従属する請求項2,3,4,5にすることで、商品の機能を段階的に特許で守れます。
なお、特許出願した場合、審査次第で特許請求の範囲が狭まることもあるため、請求項1のみならず、請求項2,3,4,5も重要です。
まとめ
特許請求の範囲は、特許の持ち主のみならず、特許を侵害するかもしれない人にとっても重要ですので、意味や読み方を知っておくと安心です。
一般的に、請求項1が要注意です。なぜなら、特許請求の範囲の中で、請求項1が最も広い範囲に該当するためです。
特許を取得する場合は、実際の商品が多機能であっても、最低限の機能を請求項1とし、他の機能を請求項2以下にします。
特許に侵害しているかもしれない場合、商品が請求項1の機能を含んでいるかどうかを調べることで、侵害しているかどうかを判断します。
文責:打越佑介
特許を取れば、なんでもかんでも守れるわけではなく、審査で認められた範囲でしか守れず、この範囲を「特許請求の範囲」といいます。
特許の持ち主は、誰かのモノマネ品が「特許請求の範囲」に含まれれば、モノマネ品の販売などを止められます。
逆に、”誰か”に該当する人は、モノマネ品が「特許請求の範囲」に含まれなければ、モノマネ品の販売などを続けられます。
つまり、「特許請求の範囲」とは、ずばり特許のことですが、これを図解と共に説明します。
特許請求の範囲の請求項1に要注意
特許の書類(特許公報)には、一般的に、「請求項1」、「請求項2」、「請求項3」・・・と書かれています。
この「請求項●」とは、ずばり特許のことで、「請求項1」、「請求項2」、「請求項3」・・・をまとめて「特許請求の範囲」といいます。
そして、「特許請求の範囲」のうち、注意すべきは「請求項1」です。
なぜなら、一般的に、「請求項2」以下は、「請求項1」に基づいている(従属している)からであり、別の言い方をすれば、「請求項1」に別のアイディア(機能、部品、工程など)を加えたものだからです。
つまり、「請求項1」が要注意な理由は、請求項2以下よりも範囲が広いからです。このことを図解したのが以下です。
請求項の内容がシンプルなほど範囲が広い
図は、ソフトウェア特許(俗にいうビジネスモデル特許)をイメージしたもので、「請求項1」は機能A,B,Cを搭載したソフトウェア、「請求項2」は機能A,B,C,Dを搭載したソフトウェア、という意味です(請求項3以下も同じ)。
請求項2以下のソフトウェアは、機能A,B,Cのみならず、機能D,E,F,Gを搭載している分、請求項1のソフトウェアより範囲が狭いということになります。
逆に、請求項1のソフトウェアは、機能A,B,Cのみであり、機能D,E,F,Gを搭載していない分、請求項2以下のソフトウェアより範囲が広いということになります。
つまり、請求項の内容がシンプルな(請求項に含まれる機能が少ない)ほど、範囲が広いということになります。このあたりが、特許の難しいところであり、勘違いされやすいところでもあります。
請求項2以下と違っても請求項1を含めば侵害
例えば、請求項2(機能A,B,C,D)のソフトウェアに似ているけど異なる機能A,B,C,EのソフトウェアXを販売した場合、ソフトウェアXは少なくとも機能A,B,Cを有するため、請求項1のソフトウェアを含むことになります。
同様に、請求項3(機能A,B,C,D,E)のソフトウェアに似ているけど異なる機能A,B,C,F,GのソフトウェアYを販売した場合、ソフトウェアYは少なくとも機能A,B,Cを有するため、請求項1のソフトウェアを含むことになります。
つまり、請求項2や請求項3のソフトウェアに似て非なるソフトウェアでも、請求項1のソフトウェアを含んでいる場合、請求項1を侵害していることになります。
このことは、請求項1が要注意であり、請求項の内容がシンプルなほど範囲が広いという理由につながります。
実際の商品と特許とは逆の考え方
一方、実際の商品(例えば、ソフトウェア)は、多機能ほど充実していることから、特許請求の範囲とは考え方が逆です。
つまり、特許を取る場合は、たとえ実際の商品が多機能でも、できる限り余計な機能を含めず、必要最低限の機能に絞り込むわけです。
ここで、「必要最低限の機能」とは、世の中に存在する技術(先行技術)と比べて少しでも上回る(進歩している)ものを意味します。
例えば、機能A,Bのソフトウェアが世の中に存在する技術である場合、これよりも進歩している機能A,B,Cを請求項1にします。
そして、実際の商品に含まれる他の機能D,E,F,Gは、請求項1に従属する請求項2,3,4,5にすることで、商品の機能を段階的に特許で守れます。
なお、特許出願した場合、審査次第で特許請求の範囲が狭まることもあるため、請求項1のみならず、請求項2,3,4,5も重要です。
まとめ
特許請求の範囲は、特許の持ち主のみならず、特許を侵害するかもしれない人にとっても重要ですので、意味や読み方を知っておくと安心です。
一般的に、請求項1が要注意です。なぜなら、特許請求の範囲の中で、請求項1が最も広い範囲に該当するためです。
特許を取得する場合は、実際の商品が多機能であっても、最低限の機能を請求項1とし、他の機能を請求項2以下にします。
特許に侵害しているかもしれない場合、商品が請求項1の機能を含んでいるかどうかを調べることで、侵害しているかどうかを判断します。
文責:打越佑介