弁理士1次試験1か月前にやっておきたい3つの対策

新型コロナウィルスの影響で、2020年の弁理士1次試験は、例年なら5月下旬のところ、9月20日(日)に延期されたため、受験生の皆さんにとって気苦労の多い年なのではないでしょうか。

1次試験を突破しないと2次試験行きの切符をもらえません。私もそうでしたが、苦手意識があると1次試験は地獄の試験です。試験時間が3.5時間と長丁場のためなおさらです。

1次試験本番まで残り1か月。このとても大切な時間をどう過ごすかによって合否に大きく影響するはずです。そこで、私が1次試験を突破した年の1か月前に対策した3つのことを紹介します。

出題傾向の把握

とにかく過去問つぶしは必須です。予備校の問題を万全に復習しても過去問がおろそかでは本末転倒です。勉強する時間がなければ、思い切って予備校の問題はやめても特に問題ないです。

勉強する教材を絞る勇気も受験には必要です。そして、何に絞るべきかといえば、やはり過去問でしょう。そのため、1か月前にはそろそろ出題の傾向を把握しておきたいです。

問題と答えを暗記するのでは意味がありません。傾向です。例えば特許の国内優先権の問題なら、主体的要件や時期の引っかけなど問われるポイントがあるはずです。

敵を知らずして戦いを挑むのは危険というわけです。まだ時間はあります。焦らず、頻出問題の傾向からちゃんとつかんでいきましょう。

弱点の洗い出し

出題傾向を把握して過去問(時間があれば予備校の模試など)を解くのはいいんですが、そろそろ自分の得意ジャンルと不得意ジャンルを自覚してないと危ないです。

得意問題(または既に理解している問題)を何回も復習して完璧にしたい気持ちはよくわかります。本番できるとは限らないので不安でしょう。でも時間対効果は低いです。

つまり勉強時間として、得意問題に1時間かけるのと不得意問題に1時間かけるのとでは、後者のほうが効果が大きいわけです。なぜなら、まだ伸びしろがあるからです。

弱点が多すぎるなら、特に苦手な問題とか条文とかをちゃんと別のノートに書き出して、それだけ見れば復習できる(弱点補強できる)準備にも取り組みましょう。

目標点とその距離の理解

1か月という時間の使い方を本当に真剣に考えた方がいいです。あまり予備校では教えてくれないかもしれませんが、資格試験で最も大切なポイントの一つのはずです。

ゴールまでの距離がわからずラストスパートするマラソンランナーがいないように、弁理士試験でも自分の位置とゴールまでの距離を理解しないと無駄な努力になりかねません。

1次試験の場合、ボーダーが39点だとすると、39点をゴールに設定したら危険です。山登りでも崖っぷちじゃ立ち止まりません。頂上の真ん中が本当のゴールです。

だから安全圏として45点を目標とした場合、自分はあと何点足りてないのかを理解した上で、出題傾向の把握や弱点の補強をすると、より時間対効果が上がるでしょう。

まとめ

私は1次試験が苦手だったので、その分テクニックで補うことに徹しました。だから知識を増やすことだけが弁理士試験の合格法とは考えていません。

特に受験回数が多い人ほど知識で勝負しようとしますが、そうするとさらに合格から遠ざかってしまう恐れがありますので、意識することをおすすめします。

 

文責:打越佑介

弁理士試験の合格がもたらした人生を豊かにする3つの得

近年の弁理士試験の合格率は6~7%のようですが、10年経っても未だに、よく弁理士になれたな~って思うことがあります。

正直、2年連続で1次試験不合格のときには、後にも先にも引けない状態になり、途方に暮れて心が完全に折れかかりました。

ただ、やり切らない限り、試験には受からないし、退路も断ってたので、心を強く持って挑み続け、4回目で最終合格できました。

そんな心境の変化もあり、弁理士試験の合格がもたらしてくれた3つの得により、私の人生が豊かになったと感じています。

1.個性

会社員時代、私は器用貧乏で、どんなことも人並みかそれ以上にできたけど、秀でた強みを持っているわけではありませんでした。

かっこよくい言えば、会社員としてゼネラリストを貫こうかとも思いましたが、それは私のあるべき姿とは違いました。

私のあるべき姿とは、ゼネラリストでもプロフェッショナルでもあり、個の力を最大化して社内外問わず組織に貢献することでした。

幸い、人には好かれやすい性格のようで、自分のキャラクターとキャリアと弁理士業の掛け算で、唯一無二の個性を得られました。

2.自信

資格試験は、どんなに勉強しても、たとえギリギリ不合格だったとしても、合格しない限り、有資格者との差は歴然です。

私にとって、弁理士試験という狭き門に自らチャレンジして勝ち抜けた経験は、どんなこともやり切って結果を出せる自信となりました。

もし簡単に合格できてたら、今のような自信を持てなかったと考えると、長い目で見たら不合格3回という挫折はとても有意義です。

「根拠のない自信」ともいいますが、こういった自信を生む切っ掛けとなる経験が、さらに未来を切り開く知恵と勇気にもなっています。

3.選択

かねてから、自ら選択できる人生を歩みたく、私生活・仕事・関わる人を含め、自分の意思ではない決定を避けたいと考えていました。

例えば、弁理士の場合、特許事務所・企業・独立開業・学者・指導者といった選択肢があり、自分次第でいずれも選択できる環境です。

私の場合、個性や自信を得られたこともあり、独立開業を選択しました。ある意味、選択には、個性と自信が必要な要素かもしれません。

こうして、家族や大切な人たちと過ごす時間を確保したり、私の経験や考え方など自己表現したりできることに喜びを感じています。

まとめ

IT革命や100年時代のみならず、コロナウィルスによる環境の激変により、一人一人が確かな意思を持ち、信頼関係に基づき協力し合うことが大切と感じています。

弁理士試験の合格を通じて、国家資格に加え、人生を豊かにする得を身に付けられたことを考えると、費用対効果は絶大です。

少なくとも今現在の受験生の方々には、心から最終合格のエールを送ると共に、大きく羽ばたけることを切に願っています。

 

文責:打越佑介

弁理士1次試験本番で焦らずに合格できた3つの作戦

弁理士1次試験はマークシート方式。60問を3.5時間ぶっ通しで解く地獄のような試験です。

私は1次試験が苦手だったので、3回目にしてようやく受かりました。ボーダーライン+1点で。

実力的にボーダーギリギリの人は、本番をテクニックでどう乗り切るか、事前に決めておくことをおすすめします。

そこで、試験本番で焦らないよう、事前に決めたおかげで合格できた3つの作戦をご紹介します。

1.1問目から順番に解答

60問の中には、特許法・実用新案法・意匠法・商標法・国際条約・不正競争防止法・著作権法があります。 これをどういう順番で回答するか?ということです。

1問目から回答するだけじゃなく、得意な法律からやったり、苦手な法律からやったりする人もいます。

私は、2回の本試験と多数の模試を駆使して、全てのやり方を試しました。そして、1問目から回答したところ、3回目に合格しました。

なぜ1問目から回答することにしたかというと、マークミスしにくいし、タイムスケジュールしやすかったからです。シンプルイズベストというやつです。

2.トイレに行かない

これも2回の本試験でシミュレーションしました。こんなこと決めるの~?って思った方、あなどってはいけません。

頭を休めるためにトイレへ行くという人もいます。でも、トイレに行くと少なくとも2~3分のロスが生じます。そして、集中力も切れます。つまり、時間が足りなくなります。

私の場合、1回目の試験でトイレに行ったら時間が足りず失敗しました。2回目はトイレに行きたいけど我慢して集中力が散漫になり失敗しました。そして3回目はトイレに行かず我慢もすることなく合格しました。

時間が足りないという人は、トイレに行かなくてもいい対策をとるべきです。水分補給を取り過ぎないとか、集中力が切れない体力をつけるとか。

3.凡ミス防止リストを直前に確認

本番では緊張のため、超基本的なこともぶっ飛んで真っ白になることがあります。いつもならありえない失敗もしかねません。そのせいで不合格はもったいなさすぎます。

例えば、名前を一番初めに書くとか、マークシートは順番を飛ばさず塗るとか、問題をよく読む(いくつあるか型?or回答絞り型?)とか、試験であるあるの凡ミス対策です。

私は弱点補強ノートのうち、最初のページに凡ミス防止のチェックリストを書いて、それを試験直前に必ず振り返っていました。これには緊張をほぐす効果もありました。

ボーダーギリギリの人だと焦って凡ミスするし、合格安全圏の人でも油断して凡ミスします。合格するためには絶対凡ミスできないため、試験直前でも見直せるチェックリストは有効です。

まとめ

私はとにかくタイムスケジュールを徹底し、解答以外の時間を無駄にしないようにしました。わからない問題でも考えすぎずサッとマークして次の問いに進みました。

水分量も減らしてトイレ予防をし、凡ミス防止のチェックリストを思い出しながら、1問目から60問目まで順番に解き抜きました。

見直し時間は最後の5分。最悪、見直さなくてもいいようにしました。このような対策ができたから、1点も無駄にせずボーダーギリギリで合格できたと分析しています。

 

文責:打越佑介