明治大学外部講師就任のお知らせ

2024年4月より、弁理士法人アイピールーム代表 弁理士の打越佑介は、明治大学にて知的財産に関する講義の外部講師を務めることになりました。

 

知的財産という専門分野において、これまでの経験と知識を皆様と共有できることに、大きな喜びと責任を感じています。

 

講義を通じて、皆様が知的財産の魅力と重要性を感じ、将来的にあらゆる分野で活躍するための基盤を築くことができればと考えております。

 

私自身も新たな発見と成長の機会を得ると共に、知的財産活動における新たな価値を見いだすことができると信じています。

 

敬具

 

2024年4月12日
弁理士法人アイピールーム
代表 弁理士 打越 佑介

創立2周年のご挨拶

日頃より、当事務所に格別のご高配を賜り厚く御礼申し上げます。

 

おかげさまで、アイピールーム国際特許事務所は、2021年(令和3年)6月1日で創立2周年を迎える運びとなりました。

 

2年目も新型コロナウィルスの影響により先行き不透明な状態が続きましたが、1年目と同様、1日1日を必死に取り組みました。

 

そうした中で、2周年を迎えることができましたことは、一重に皆様方の温かいご指導ご支援の賜物と深く感謝し御礼申し上げます。

 

直近にはオフィスも移転し、新たな気持ちで3年目を迎えられたため、また皆様方のお役に立てるよう、誠心誠意努めてまいります。

 

今後ともアイピールーム国際特許事務所をどうぞ宜しくお願い申し上げます。

 

敬具

 

令和3年6月1日
アイピールーム国際特許事務所
代表 弁理士 打越 佑介

特許公報のみ検索するには?J-PlatPatの使い方のコツ

特許をJ-PlatPatで調べていると、『公開特許公報』や『特許公報』とかいろいろな書類が出てくるので、どれがどれだかわからなくなることがあると思います。

『公開特許公報』と『特許公報』の違いについては、以下の記事にて紹介しています。

公開特許公報・特許公報とは?小学生にもわかる違い

例えば「競合他社に取られた特許」を調べるには、『公開特許公報』と『特許公報』、どちらが適しているでしょうか?

正解は『特許公報』です。『公開特許公報』のみでは「取られた」かどうかわかりません。「取られた」とは「登録された」という意味です。

このような場面では、J-PlatPatで『特許公報』のみヒットする設定にして検索することをおすすめします。

そこで、J-PlatPatの「特許・実用新案検索」の使い方として、特許公報のみ検索する方法を簡単に紹介します。

ステップ①:文献の種類を絞る

J-PlatPatの「特許・実用新案検索」を開くと、上の画面が見えていると思います。ここで、注目は、「☑国内文献(all)」(左の赤矢印)です。

「all」に初期設定されているため、このままでは『登録実用新案公報』も混在して検索されてしまいます。

『特許』と『実用新案』の違いについては、以下の記事にて紹介しています。

特許・実用新案・意匠の違いは?小学生にもわかる早見表

そのため、「詳細設定 +」(右の赤矢印)をクリックしてプルダウンウィンドウを開きます。

プルダウンウィンドウを開くと、上のような画面が見えると思います。開いた直後は、国内文献(特許、特許発明明細書、実用新案、登録実用新案明細書)の全てが☑されています。

ここで、特許以外の文献の☑を外します(赤矢印)。こうすることで、特許に関する書類(『公開特許公報』又は『特許公報』)のみヒットするようになりました。

ステップ②:「登録日ありで絞り込む」に☑

ご察しのとおり、ステップ①のみでは、『公開特許公報』と『特許公報』とが混在してヒットしてしまいます。

そこで、J-PlatPatの「特許・実用新案検索」画面を下にスクロールして、「検索オプション」のプルダウンウィンドウを開きます(上の赤矢印)。

そして、下にある「登録案件検索」のうち「登録日ありで絞り込む」に☑します。「登録日」は「登録済みの特許」にしか付与されません。

したがって、これで『特許公報』のみヒットする設定が完了しました。

検索結果画面(例)

では試しにステップ①→②を設定し、かつ「発明・考案の名称/タイトル」に「ゴルフ」と入力し、「検索オプション」内の「公知日/発行日」に「20200101」~「20201231」と入力して検索してみます。

検索の目的は、2020年に成立したゴルフに関連する特許を調べる、というものに仮設定しています。

そうしますと、「国内文献(43)」(上の赤矢印)と表示され、一覧表には『特許公報』のみが検索されました(下の赤矢印)。

「文献番号」の列には、「特許●●●●●●●」というもののみ表示されています。もしこれでステップ②をしなければ、『公開特許公報』を意味する「特開●●●●-●●●●●●」というものも表示されしまいます。

まとめ

「競合他社に取られた特許」を調べるような場面では、『特許公報』のみにヒットする設定にしてJ-PlatPatを使うのが効率的です。その方法とは以下の2つのステップです。

ステップ①:文献の種類を絞る(特許のみ☑)
ステップ②:「登録日ありで絞り込む」に☑(検索オプションを開く)

特許調査の目的に応じて、これらの設定を適宜行うことをおすすめします。

文責:打越佑介

建築物・内装の意匠登録に関する状況(2020年10月8日)

令和元年の意匠法改正により、令和2年4月1日から、新たに建築物・内装の意匠(デザイン)を保護できるようになりました。

審査がスムーズに行われれば、意匠出願から審査結果(登録査定)が届くまで6か月くらいなので、間もなく登録例が出てくると推測しています。

一方、少しでも早く建築物や内装の意匠登録状況を知りたい方もいると考え、以前に下記の記事を投稿しました。

建築物・内装の意匠登録状況をネットで情報収集する方法

7月1日時点と10月8日時点の対比

そして2020年10月8日に、特許庁は新たな意匠登録出願状況を公開しましたので、本記事にて再び共有します。

▶ 令和元年意匠法改正特設サイト by 特許庁ウェブサイト

上記リンク先のサイトのうち、7月1日時点で公開された意匠登録出願状況も10月8日時点に更新されているため、上記記事で記録した前回分の数値データと今回分の数値データの対比を以下に示します。

建築物の意匠登録出願件数

7月1日時点 :133件(3か月間の出願件数月平均44.3件)

10月1日時点:204件(前回比71件増、3か月間の出願件数月平均23.7件/月)

内装の意匠登録出願件数

7月1日時点 : 98件(3か月間の出願件数月平均32.6件)

10月1日時点:132件(前回比34件増、3か月間の出願件数月平均11.3件/月)

考察:コロナウィルスと出願件数の影響

4月1日以降3か月間と対比すると、7月1日以降3か月間の出願件数月平均が減っているのは、コロナウィルス感染予防対策に伴い、出願活動の見直しが図られたためと仮説します。

テレワークの推進に伴い、特に家屋や商業施設の内装のデザインは大きく変化する可能性がある分、関連する会社は今後どのような権利を取得して模倣対策すべきかを検討していたのかもしれません。

一方、ワクチンの普及によりコロナ禍は終息すると仮説すれば、コロナ対策向けのデザインは早かれ遅かれ廃れると見込める分、アフターコロナの兆しがより鮮明になったタイミングで、出願活動が再開されて出願件数が再び増加する可能性もあるのではないでしょうか。

まとめ

もうしばらくウィズコロナが続くと思われますが、この間にアフターコロナを見据えた知財活動を継続して行うことは、今後の事業活動を加速させる可能性を秘めています。

建築物・内装の意匠登録も、ニューノーマル時代にどのように活用されるのか興味深いので、また新たな情報を入手次第、本記事のアップデートや新たな記事の作成を検討します。

 

文責:打越佑介

弁理士短答不合格でも論文試験まで論文対策すべき理由

2020年の弁理士1次試験(短答試験)は、コロナウィルスの影響により、例年なら5月下旬のところ、9月20日(日)に行われました。受験生の皆さんにとっては大変な年になったのではないでしょうか。

私が最終合格した10年前と今とでは、試験の制度や問題のみならず、対策も変わっているかもしれませんが、少しでも経験談が役に立ったら嬉しく思います。

そこで、短答試験が不合格でも論文試験終了までは論文対策すべき理由を3つお伝えします。これは、私が短答試験に2回連続で不合格の後、3回目にして短答試験と論文試験とを一発で合格できた勝因の一つと考えています。

論文対策は短答対策にもなる

短答試験と論文試験とは違う、短答試験対策と論文試験対策を別物である、という考え方はおすすめできません。なぜなら、この考え方だと、時間を有効に活用し切れないからです。

もちろん、短答試験向けの勉強法、論文試験向けの勉強法、それぞれちゃんとあります。でも、少なくとも、特許の国内優先権や分割出願のような短答試験でも論文試験でも出やすい問題は、どちらも意識して取り組むほうが効率的です。

具体的には、論文対策しながら短答試験向けのレジュメや過去問を復習すると、趣旨や要件の理解が深まって知識が厚くなるので、その分論文の応用問題への対応も高まると期待できます。

論文試験不合格者が翌年のライバル

弁理士試験は相対評価の試験です。つまり、受験生のうち上位〇%に入れたら合格できるため、ライバルに差を付けられないように意識することは、最小限の労力で合格するために必要なことです。

この考えに基づくと、最もライバルに差を付けられやすいのは、短答試験から論文試験までの間です。なぜなら、短答不合格者の勉強のペースは緩みがちになり、一方、短答合格者の勉強のペースは加速しやすいからです。

論文対策講座を申し込んだり、直前答練を受けたりすることもおすすめです。来年の論文試験対策も今年の短答試験終了直後からはじまっており、ここをやり切れるかどうかが鍵とも言えます。

試験勉強のモチベーションの維持

過酷な短答試験を終え、自己採点でボーダーライン未満だと、心が折れそうになる気持ちもよくわかります。でも、ここで勉強のペースが緩むほど、翌年の合格が遠のくことも、忘れないでください。

勉強するなら、来年の短答試験対策より、たとえ受験できないとしても目先の論文試験対策のほうが心機一転して取り組めるため、モチベーションも維持しやすくなります。

休息も大切ですが、短答対策はうんざりだから気分転換に論文対策する、特許は飽きたから気分転換に商標の問題を解く、というような考え方で勉強のペースを保てると、合格がより近くなるはずです。

まとめ

短答試験が終わると、来年の弁理士試験までのカウントダウンがはじまります。そして、短答試験は通過点であり、論文試験も口述試験も突破しなければ最終合格できません。

そのため、短答試験が終わったら論文試験対策するのが自然な流れです。弁理士試験も水物で、合否の分かれ目は時の運なので、短答試験が不合格であっても、堂々と論文試験対策してください。

なお、短答試験の復習ですが、自信を持って正答できた問題以外の問題について、なぜ間違ったか、なぜヤマ勘で当たったかなどを、自己分析することをおすすめします。

文責:打越佑介

下町ロケットを知らない人のための特許戦略7ヵ条

2020年8月14にSankeiBizから「中小の知財・技術保護へ指針、今秋にも提示 大企業の不当取得防止」という記事がリリースされました。

記事によれば、下町ロケットような技術力の高い中小企業が、大企業と公正な取引を行えるような支援策を政府が検討しており、2021年度予算案の概算要求に盛り込むというものです。

『下町ロケット』の概要についてはウィキペディアで確認できますが、弁理士としては下町ロケットから学べる特許戦略を忙しい中小企業の社長などで下町ロケットを知らない人にも知ってもらえると嬉しいです。

そこで、特許戦略としてはほんの一部に過ぎませんが、わかりやすく7ヵ条にまとめました。なお、下町ロケットをこれから見るため内容を知りたくない人はお読みになるのをご遠慮くださいますようお願いいたします。

①特許出願のタイミングが勝敗を分ける

帝国重工(大企業)が佃製作所(中小企業)に勝てなかった最大の原因は、佃製作所(中小企業)より特許を出すのが2週間遅かったことです。2週間前に同じ特許を他社に出されていることを知る術はありませんので、仕方がありません。

ただ、このような例はウソのようで本当にあることです。特許は出願(申請)してから1年半は公開されないため、今から1年半前以降にどんな特許が出されているかは、公開されなければわかりません。

そのため、事業活動において大切なことは、ライバルに先を越されないようにタイミングを逃さず特許を出すことであり、仮に同じ特許が他社に出されていてもその特許を回避する案を決めること、です。

なお、優先権主張出願という制度を利用することで、特許出願してから1年以内であれば、出願した特許の具体例(研究成果)を追加して内容を補強したりすることができます。

②特許には時間を短縮する価値がある

佃製作所(中小企業)の強みはバルブシステムの特許であり、帝国重工(大企業)は佃製作所(中小企業)の許可を得ずにバルブシステムを製造すれば、特許を侵害することになります。

さらに、帝国重工(大企業)のスターダスト計画実施も間もなくです。もはや佃製作所(中小企業)のバルブシステムの特許を回避する新たなバルブシステムの開発は時間的に不可能です。

つまり、帝国重工(大企業)の弱みは時間です。もしスターダスト計画実施前に新たなバルブシステムを開発できれば、佃製作所(中小企業)の特許権を侵害することにはならず、佃製作所(中小企業)との交渉も不要です。

このように、帝国重工(大企業)にとって、佃製作所(中小企業)の特許の価値はバルブシステム開発の時間短縮です。このことから、特許には、時間的な価値があると言えます。

③特許とノウハウは一心同体である

中小企業は特許を取れるなら取るべきですが、特許と同じくらいノウハウが大事ということを忘れてはいけません。中小企業の多くは、大手企業にないノウハウを持っているはずです。

以下は、佃製作所(中小企業)のバルブシステムの開発技術を、特許とノウハウに分けたイメージ図です。左側がバルブシステム構造の特許(青)、右側がバルブシステムの製造ノウハウ(赤)です。

帝国重工(大企業)は全部品を内製(自社で製造した部品)したかったため、佃製作所(中小企業)の特許の使用許諾が必要でした。帝国重工(大企業)には設備投資力もあり、製造装置(マシニングセンタなど)の性能にも自信があったようです。

一方、佃製作所(中小企業)は特許の使用許諾ではなく、バルブシステムを部品として帝国重工(大企業)に供給したいと申し出ました。なぜなら、佃製作所(中小企業)は特許のみならず、バルブシステムの品質を極限まで高めるための強烈なノウハウ(穴あけ、削り、研磨など)を持っていたからです。

帝国重工(大企業)は特許の使用許諾さえあればバルブシステムの構造を真似できます。そもそも帝国重工(大企業)もバルブシステムの研究開発をしていたため、製造ノウハウもあるはずです。

しかし、佃製作所(中小企業)の真の強みは、バルブシステムの製造ノウハウです。製造装置の精度を上回る技術者の感覚や勘所は、帝国重工(大企業)に真似できません。このようなノウハウを非公開(秘密)にすることで、佃製作所(中小企業)は特許と同じくらい貴重な“価値ある技術”をウリ(強み)にできるわけです。

中小企業としては、特許をとるアイデア(技術的思想)があっても、公開してまで特許をとる価値があるか?、価値があるとしたらどこまで公開すべきか?非公開のノウハウと組み合わせて特許の価値を高められるか?など、検討すべき点はたくさんあります。

なお、会社経営上、ある技術者一人しかしらないノウハウがあるというのは、強みにも弱みにもなります。なぜなら、その技術者が退職したり病欠したりしたら、誰もそのノウハウを再現できなくなるからです。そのため、ノウハウを社内で共有できる仕組みづくりも重要です。

④特許を売るか貸すかは経営判断である

佃製作所(中小企業)の特許を買い取りたい帝国重工(大企業)の提示額は20億円でした。特許をお金に換えることは簡単ではないため、売れるときに売ってしまったほうがいいという考え方もあります。

特許の維持費もかかるし、新しい技術が登場すれば特許の価値も下がります。そのため、特許を持っている会社は、特許を売るか貸すか?いくらで売るか貸すか?そもそも買い手や借り手はいるのか?などを模索しています。

しかし、佃製作所(中小企業)は、バルブシステムの特許のみならず製造ノウハウも持っており、製品の品質に絶対の自信があったため、帝国重工(大企業)に特許を売りも貸しもせずに部品供給という経営判断をしました。

なお、特許を貸した場合の利益(ライセンス収入)は、一般的に製品の売上に対する1~5%と言われています。100万円売り上げたら1~5万円の収入ということです。特許の貢献度にもよるため、もっと多い場合もあれば、少ない場合もあります。

⑤特許=製品の品質保証ではない

まず前提として、特許は製品(モノ)が実際になくてもとれます。つまり、アイデア(技術的思想)さえあれば誰でも特許を出せます(審査をクリアできるかどうかは書類の書き方次第です)。

そして、特許の審査をクリアする上で、製品の品質保証は必要ありません。理論的に製品(モノ)がつくれれればOKで、品質基準をクリアした製品が100回に1個しかつくれないとしても、特許はとれます。

真珠で有名なミキモトの創業者・御木本幸吉が発明した真珠の養殖方法は1916年に特許となりましたが、実際に真珠を取得できた確率は数パーセントだったそうです。

このように、特許と製品の品質保証は異なるため、佃製作所(中小企業)のように特許をとっても帝国重工(大企業)の品質基準をクリアできる製品をつくれるかどうかは別の話であることに注意してください。

⑥特許は技術者の創作意欲から生まれる

日本の技術者の多くは、給与以上に研究開発に没頭できる環境を求めており、特許庁が実施したアンケートでそのような結果が出ています(以下画像、引用: 「職務発明制度に関するアンケート調査結果について 」 by 特許庁)。

「(1)研究開発を行う上で重要と思うこと」として、技術者が最も重視しているのは、日本企業・海外企業どちらも「現実的な問題を解決したいと思う願望」(85%以上)です。一方、日本企業にとって「金銭的な処遇」(71.7%)は他の項目より低いことがわかります。

また、中小企業が技術者との関係で注意すべきは、職務発明(技術者が職務上考えた発明)に関する取り決めです。

例えば、職務発明は会社のもの(会社が特許を受ける権利を持っている状態)であること、そのかわり技術者にはそれなりの金銭等をあげること、などを就業規則に書いておかないと、会社に不満をもった技術者から訴えられるリスクがあります。

おそらく、佃製作所(中小企業)と技術者(佃社長含む)とは、職務発明の取り決めがあるのではないしょうか。そのため、技術開発部が考えた職務発明(バルブシステム)について、特許を受ける権利(特許権を所有する資格)があるのは佃製作所(中小企業)で、そのかわりに技術者にはそれなりの金銭(ボーナスなど)が支払われていると推測できます。

⑦特許について営業担当者が無知だと危ない

技術開発にはコストがかかる、売れない特許なんて意味がない、と営業担当者は考えがちです。製品が売れなければ会社は生き残れず、製品を売ることが営業担当者の使命であれば、然るべき意見です。

そのため、営業担当者が売上(成績)を伸ばすことを優先して、会社が特許を出願する前に客先にプレゼンしてしまったり、他社の特許を侵害する製品の注文を受けてしまったりすることもあるようです。

技術力があってもそれを守れなければ、会社は孔の空いた鍋のようなもので、業績も上がりにくいです。同じように、営業力を高めるには、営業担当者が製品の知識に加え、特許のリテラシーを持つことも必要であり、これによりお客様からの信用が高まるのではないでしょうか。

なお、センサーや測定器のファブレスメーカーであり高収入でも有名なキーエンスは、類まれなる営業力を武器としていますが、特許の公開公報のヒット件数は2600件以上(2020年8月16日時点)であり、2020年の知財価値ランキングではトップになるほどの技術力を兼ねていると考えられます。

まとめ

あらためまして、下町ロケットから中堅企業や中小企業が学べる特許戦略の7ヵ条は、以下のようになります。

①特許出願のタイミングが勝敗を分ける
②特許には時間を短縮する価値がある
③特許とノウハウは一心同体である
④特許を売るか貸すかは経営判断である
⑤特許=製品の品質保証ではない
⑥特許は技術者の創作意欲から生まれる
⑦特許について営業担当者が無知だと危ない

ウィズコロナ・アフターコロナの時代における知的財産活動のニューノーマル、すなわち、従来の知的財産活動には考えられなかった新たな常識や常態がいずれスタンダードになると想定されますので、時代に合った特許戦略の検討・実行も大切です。

アイピールームではウェブ会議システムによる特許相談の仕組みづくりに力を入れており、既に利用者の皆様に有益な成果を出せていますので、興味がありましたら以下も参考にしてみてください。

▶ オンライン特許相談でビジネスを加速!【予約可】

 

文責:打越佑介

オンライン特許相談でビジネスを加速!【予約可】

特許や商標などのお悩みをアイピールームのオンライン特許相談で解決してぜひビジネスを加速させてください。

基本的に、Microsoft Teams・Google Meet・Zoom・Whereby・Skypeといったウェブ会議システムを使用し、無料で、かつ全国どこからでもお受けします。

ご相談予約を承っていますので、ご利用の際は下記のご利用方法をご参照の上、ご予約ください。

背景

新型コロナウィルス感染症対策として政府から緊急事態宣言がなされ、2020年4月7日から5月6日(延長により5月25日)まで外出自粛や休業の要請がなされました。

これを切っ掛けに、大企業・中堅企業・中小企業・フリーランスを問わず、リモートワーク(テレワーク・在宅勤務)の導入が急加速しました。

リモートワークでは、会社への忠誠心の低下や公私の混同などのデメリットも懸念されていますが、労働生産性の向上や経費の削減などのメリットが注目されています。

アイピールームの取り組み

アイピールームでは、新型コロナウィルス感染症対策以前から、時間の有効活用・紙資源の削減・情報の管理などをキーワードにして、リモートワークの研究及び導入を進めてまいりました。

私たちにとってのリモートワークは、オンラインによる相談対応も含み、お客様が抱える特許や商標のお悩みを解決する手段として、オンラインの活用は有効と考えています。

実際、オンライン会議システムにより、全国からのお問い合わせに対応でき、解決策の提案まで行うこともあります。

オンラインでも丁寧に

リモートワークにより、社内外の人々と触れ合う機会が減ってしまうことは否めませんが、だからこそ人と人とのコミュニケーションを今まで以上に大切にすべきと考えています。

オンラインでの打ち合わせも、対面に負けないくらいの感動を提供できるよう、難しい言葉をなるべく使わずに、わかりやすく説明するように努めています。

知的財産に関する基本的なご質問からビジネスに関する具体的なお悩みまで、全国どこからでも気軽にお問い合わせいただき、安心してビジネスに取り組んでいただくことが、私たちの幸せです。

ビジネスが加速する理由

全てのビジネスには知的財産が伴うはずです。知的財産とは、商品の仕様・製法・デザイン、社名・商品名・ロゴマークなどであり、いずれもビジネスにとって重要です。

そして、業績を伸ばしている会社ほど、競合他社の動向も考えていることから、知的財産の保護に対して高い意識を持っていると感じています。

すなわち、特許・意匠・商標といった知的財産権の取得により、競合他社の模倣のみならず追随を抑止できるため、相対的にビジネスが加速すると考えられます。

また、ビジネス上の知的財産の取り扱いを明確にしておくと、突発的な知的財産トラブルにも迅速に対応しやすい分、安心してビジネスを加速させられるはずです。

あらゆるご相談に対応

アイピールがお客様に選ばれる理由の一つは、知的財産に関するお悩みをワンストップで解決できることです。オンラインでも以下のような相談に対応いたします。

特許のご相談例

ありそうでなかったWebシステムを守れる?

協力先への提案前に特許を出して安心したい

特許か実用新案かどちらにすべきか?

大企業と共同開発した装置を特許出願したい

特許取得のため相談しながら開発を進めたい

資金調達のアピールのために特許出願したい

競合他社対策として特許件数を増やしたい

外国出願も見据えて特許戦略を考えたい

オンラインで特許戦略をサポートしてほしい

商標のご相談例

愛着ある社名を商標登録したほうがいい?

SEO対策としてサイト名を商標登録したい

新事業のシステム名を登録できるか調べたい

海外のブランド名を日本で商標登録したい

文字かロゴかどちらを商標登録すべきか?

商標登録したロゴと実際のロゴが違う

将来性を考えて指定商品・役務を提案希望

商標登録を更新すべきかどうかわからない

オンラインで商標戦略をサポートしてほしい

意匠のご相談例

意匠登録前にコンテストに応募して大丈夫か

販売サイトに出品する前に意匠出願したい

部分的には新しいデザインを意匠登録したい

商品に「意匠登録済み」と付してたい

デザインを外注した新商品を意匠登録したい

特許か意匠かどちらで保護すればいい?

シリーズ商品のバリエーションを守りたい

特許がダメなら出願変更して意匠登録したい

オンラインで意匠戦略をサポートしてほしい

ご利用方法(ステップ1~3)

どなたでもステップ1~3で簡単にご利用いただけます。なお、ご相談者様がウェブ会議システムのホストになることを希望なさる場合、その旨をステップ1でご表明ください。

ステップ1:お問い合わせフォームから相談予約(お客様→IPRoom)

まずはお問い合わせフォーム(メニューにもリンクあり)の「お問い合わせ内容」に以下のようにご記入の上、ご送信ください。

1.問い合わせ理由

オンライン特許相談の希望

2.希望日時(例)

第1希望=5月27日9時~11時

第2希望=5月27日13時~16時

第3希望=5月28日9時~9時30分

3.相談内容(例)

新しい商品を製造販売したいので特許で守りたい

4.提供できる資料等(例)

説明用資料、サンプル品

5.その他(例)

参加人数2名

なお、なるべく多くの方にご利用いただけるよう、基本的にお一人様一回につき30分とさせていただきます。

ステップ2:相談枠設定完了のご連絡(お客様←IPRoom)

基本的に、Microsoft Teams 又は Google Meetで会議を開催する予定です。他のウェブ会議システムをご希望の場合は、その旨をステップ1でご表明ください。

上記問い合わせ内容を確認後、上記希望日時に応じた開催日時の相談枠を設定したURL及び緊急連絡手段を電子メールやGoogleカレンダー経由で返信します。

なお、こちらの都合上、上記希望日時で相談枠を設定できない場合は別の日時候補を、また、上記問い合わせ内容について事前に質問があれば質問を、それぞれ電子メールで返信します。

ステップ3:ウェブ会議の開始(お客様⇔IPRoom)

そして、実際の開催日時に、上記電子メールやGoogleカレンダー内のURLをクリックして相談枠に入室すると、ウェブ会議が開始します。

通信障害等により開始できない場合、上記電子メールでお伝えした緊急連絡手段をご活用ください。

注意事項

オンライン特許相談のセキュリティは、ウェブ会議システムのレベルによるため、万が一の情報流出を懸念される方は、ご利用をご遠慮いただくか、資料の画面共有や秘密情報の詳細説明をお控えください。

なお、アイピールームでは、オンライン特許相談の開催にあたり、以下の点を徹底します。

・ウェブ会議システムの最新バージョンの利用

・相談枠に対するパスワードの設定(設定可能なシステムのみ)

・相談枠への入室前後の相談者様の本人確認

また、オンライン特許相談のご利用にあたり、ご相談の内容や回数が無料枠を超える場合は有料になることもありますが、事前にその旨をお伝えしますのでご安心ください。

最後に

新型コロナウィルスの流行後においても、リモートワーク(テレワーク・在宅勤務)が活用されると予想されていることから、あるべき姿は、今後も継続して研究されていくでしょう。

アイピールームでは、オンライン会議システムを有効に活用し、あらゆるご相談者様からのお問い合わせに対して、継続的かつ真摯に支援してまいります。

なお、オンライン特許相談をご利用の際は、よくある質問を事前にご覧いただけますと、より有意義な時間になると考えていますので、こちらもご活用ください。

 

文責:打越佑介

【表解】商標の登録料10年分と5年分どっちがお得?

商標登録は、審査を通過した後(登録査定を受けた後)、登録料を支払わなければ正式に登録されません。

しかし、商標の登録料には、商標権の存続期間である10年分を一括納付するか、5年分を前期・後期で分割納付するか、二通りあります。

一括納付は一時的な出費が大きいけど割安、分割納付は一時的な出費が小さいけど割高ですが、実際にはどれくらいの差があり、結局はどちらがお得なのでしょうか。

令和3年特許法等改正に伴う料金改定後の料金にて計算してみました。

一括納付と分割納付(前期+後期)との金額差

表①から、登録後10年以内に商標が不要にならなければ、一括納付が分割納付より1区分あたり1,500円お得です。

一括納付と分割納付(前期のみ)との金額差

表②から、登録後5年未満で商標が不要になり後期分を納付しなければ、分割納付は一括納付より1区分あたり15,700円お得です。

時系列で考えるメリット・デメリット

商標登録の数が多ければ多いほど、一括納付と分割納付との金額差が大きくなることを忘れないようにしてください。

その点、分割納付のメリットは、支払いを後回しにできることと考えられます。つまり、支払いの時期を5年ずらすことで、手元資金をその分確保できます。

経費処理のタイミングも、判断要素の一つです。登録料を納付する年度に予算が多めの場合は一括納付、予算が少なめ場合は分割納付にしておいたほうが無難でしょう。

まとめ

商標登録の登録料を一括納付するか分割納付するかは、①将来的な商標の使用状況、②一括納付と分割納付との金額差、③会社の事情に適した出費のタイミング、を考慮して決定することをおすすめします。

 

文責:打越佑介

弁理士になってよかったことリスト

弁理士を10年やってますが、いまだに「便利屋さんですか?」と言われることがあります。弁理士って、ひょっとすると士業の中で一番マイナー(認知度が低い)かもしれません。

ただ、マイナーなことと、資格のメリットや仕事のやりがいは比例しません。知的財産の取り組みは、国策であり、大企業・中堅企業・中小企業・個人事業主かつ全業種に関係するとても重要な課題です。

そこで、私が考える弁理士になってよかったことをリストにまとめました。これらは仕事をしながらふと思い付いたときにメモしたツイッターのつぶやきを一部修正したもので、特にこれから弁理士を志す方々の参考になればうれしいです。

いろんな業界の人と仕事ができること

どの業界にも知財は必ずあるため、知財という切り口で各業界のお客様へのソリューションを提供できる醍醐味がある。もちろん各業界についての勉強は必要だが、仕事を通じて知らないことを学べることは幸せ。

働き方改革しやすいこと

業務の性質及びIT化を踏まえると、在宅勤務などリモートワークしやすい。強制的な環境じゃないと仕事ができない人以外には向いていると思う。

海外との取引がしやすいこと

日本のお客さんが海外で特許や商標を取りたい場合に各国の代理人と協業してシナジーうめるチャンスがある。プライベートな異文化コミュニケーションも楽しい。

新しいアイディアを知れること

もちろん営業秘密だし守秘義務だから誰にも言えないけど、お客さんの想いがつまった重要な知的財産について相談してもらえる仕事は遣り甲斐がある。

自分の子供に自慢できること

お父さんの仕事は皆さんの大事なアイディアを守ることで、国家試験に受からないとできないことなんだよって、言える日が楽しみ。少しは背中を見せられるかな。

人に語れることができたこと

知財に関する知識、経験、事例、流行、予測、ケース毎のメリット・デメリット・リスク・コストその他ノウハウなど、次世代に承継して役立ててもらえたら本望。

各士業の先生と仕事ができること

弁護士・税理士・司法書士など、餅屋は餅屋、プロフェッショナル同士の強みを生かしてシナジー生める関係作りは面白い。

受験仲間(戦友)ができたこと

受験時代から交友があり切磋琢磨した戦友たち。10年も弁理士してるとそれぞれ立場も境遇もかわってきて気苦労もあるけど、そういう話を共有できる友人がいることが幸せ。

時間の使い方を選択できること

仕事、遊び、育児などのバランスを調整し、関わる人と深くコミュニケーションできるため、関係がよくなったり自分の成長を感じたりしやすくなった。

えらい人と会いやすいこと

会社の社長さんや大学の先生など簡単には会えないような方々と比較的会いやすくなった。マイナーでも専門家というポジションは一目置かれやすいと思う。会える人々の層が変わると仕事の面白みが増す。

 

まとめ

弁理士になる動機や目的は人それぞれですが、なりたくてもなれない人もたくさんいると思いますので、ぜひ活用して社会に貢献してもらえたら嬉しいです。そうすることで、結果的に自分にも見返りがあるのではないでしょうか。

なお、これらは思い付いたときに適宜更新したいと考えています。

 

文責:打越佑介

【図解】知的財産の出願から登録までの流れの違い

特許・実用新案・意匠・商標、それぞれ出願から登録までの流れと期間が違います。以下、一覧表を参照しつつ解説します。

 

出願から登録までの流れと期間(平均)

 

 

特許は、①出願の後、②審査請求及び③審査を経て、④登録に至ります。①~④までの平均的な期間は1~4年です。

注意すべきは、②審査請求を①出願の後3年以内にしなければ、③審査がはじまらないばかりでなく、①出願自体が取り下げられたものとみなされてしまう点です。

実用新案は、①出願の後、特許と異なり②審査請求+③審査をせずに無審査で(ただし、書類上の方式的な審査はある)、④登録に至ります。①→④の平均的な期間は2~3か月です。

意匠及び商標は、①出願の後、特許と異なり②審査請求をせずに③審査を経て、④登録に至ります。①→③→④の平均的な期間は半年~1年です。

 

また、特許・意匠・商標では、③審査を通過しなければ④登録に至らないため、③審査を早くはじめてほしい場合は、「早期審査に関する事情説明書」を提出することもできます。

「早期審査に関する事情説明書」の提出後、平均的に3か月前後で審査結果が届くことから、①出願の後、特許の場合は1年くらい、意匠及び商標の場合は半年くらいで、④登録に至らせることもできます。

 

なお、よくある質問ですが、実用新案のメリットは、特許と異なり、②審査請求+③審査がない分、④登録に至る期間が短く、かつコストが安価な点です。

一方、実用新案のデメリットは、特許と異なり、③審査がない分、不安定な独占権であり、競合他社への差し止め請求など権利行使をする場合に、あらためて実用新案に関する技術の評価を特許庁に請求しなければならない点です。

 

まとめ

費用対効果を高めるために、事業や商品のプレスリリースや開始のタイミングにあわせて、知的財産の出願から登録までの各ステップを進めることをおすすめします。

 

文責:打越佑介