明治大学外部講師就任のお知らせ

2024年4月より、弁理士法人アイピールーム代表 弁理士の打越佑介は、明治大学にて知的財産に関する講義の外部講師を務めることになりました。

 

知的財産という専門分野において、これまでの経験と知識を皆様と共有できることに、大きな喜びと責任を感じています。

 

講義を通じて、皆様が知的財産の魅力と重要性を感じ、将来的にあらゆる分野で活躍するための基盤を築くことができればと考えております。

 

私自身も新たな発見と成長の機会を得ると共に、知的財産活動における新たな価値を見いだすことができると信じています。

 

敬具

 

2024年4月12日
弁理士法人アイピールーム
代表 弁理士 打越 佑介

創立2周年のご挨拶

日頃より、当事務所に格別のご高配を賜り厚く御礼申し上げます。

 

おかげさまで、アイピールーム国際特許事務所は、2021年(令和3年)6月1日で創立2周年を迎える運びとなりました。

 

2年目も新型コロナウィルスの影響により先行き不透明な状態が続きましたが、1年目と同様、1日1日を必死に取り組みました。

 

そうした中で、2周年を迎えることができましたことは、一重に皆様方の温かいご指導ご支援の賜物と深く感謝し御礼申し上げます。

 

直近にはオフィスも移転し、新たな気持ちで3年目を迎えられたため、また皆様方のお役に立てるよう、誠心誠意努めてまいります。

 

今後ともアイピールーム国際特許事務所をどうぞ宜しくお願い申し上げます。

 

敬具

 

令和3年6月1日
アイピールーム国際特許事務所
代表 弁理士 打越 佑介

特許公報のみ検索するには?J-PlatPatの使い方のコツ

特許をJ-PlatPatで調べていると、『公開特許公報』や『特許公報』とかいろいろな書類が出てくるので、どれがどれだかわからなくなることがあると思います。

『公開特許公報』と『特許公報』の違いについては、以下の記事にて紹介しています。

公開特許公報・特許公報とは?小学生にもわかる違い

例えば「競合他社に取られた特許」を調べるには、『公開特許公報』と『特許公報』、どちらが適しているでしょうか?

正解は『特許公報』です。『公開特許公報』のみでは「取られた」かどうかわかりません。「取られた」とは「登録された」という意味です。

このような場面では、J-PlatPatで『特許公報』のみヒットする設定にして検索することをおすすめします。

そこで、J-PlatPatの「特許・実用新案検索」の使い方として、特許公報のみ検索する方法を簡単に紹介します。

ステップ①:文献の種類を絞る

J-PlatPatの「特許・実用新案検索」を開くと、上の画面が見えていると思います。ここで、注目は、「☑国内文献(all)」(左の赤矢印)です。

「all」に初期設定されているため、このままでは『登録実用新案公報』も混在して検索されてしまいます。

『特許』と『実用新案』の違いについては、以下の記事にて紹介しています。

特許・実用新案・意匠の違いは?小学生にもわかる早見表

そのため、「詳細設定 +」(右の赤矢印)をクリックしてプルダウンウィンドウを開きます。

プルダウンウィンドウを開くと、上のような画面が見えると思います。開いた直後は、国内文献(特許、特許発明明細書、実用新案、登録実用新案明細書)の全てが☑されています。

ここで、特許以外の文献の☑を外します(赤矢印)。こうすることで、特許に関する書類(『公開特許公報』又は『特許公報』)のみヒットするようになりました。

ステップ②:「登録日ありで絞り込む」に☑

ご察しのとおり、ステップ①のみでは、『公開特許公報』と『特許公報』とが混在してヒットしてしまいます。

そこで、J-PlatPatの「特許・実用新案検索」画面を下にスクロールして、「検索オプション」のプルダウンウィンドウを開きます(上の赤矢印)。

そして、下にある「登録案件検索」のうち「登録日ありで絞り込む」に☑します。「登録日」は「登録済みの特許」にしか付与されません。

したがって、これで『特許公報』のみヒットする設定が完了しました。

検索結果画面(例)

では試しにステップ①→②を設定し、かつ「発明・考案の名称/タイトル」に「ゴルフ」と入力し、「検索オプション」内の「公知日/発行日」に「20200101」~「20201231」と入力して検索してみます。

検索の目的は、2020年に成立したゴルフに関連する特許を調べる、というものに仮設定しています。

そうしますと、「国内文献(43)」(上の赤矢印)と表示され、一覧表には『特許公報』のみが検索されました(下の赤矢印)。

「文献番号」の列には、「特許●●●●●●●」というもののみ表示されています。もしこれでステップ②をしなければ、『公開特許公報』を意味する「特開●●●●-●●●●●●」というものも表示されしまいます。

まとめ

「競合他社に取られた特許」を調べるような場面では、『特許公報』のみにヒットする設定にしてJ-PlatPatを使うのが効率的です。その方法とは以下の2つのステップです。

ステップ①:文献の種類を絞る(特許のみ☑)
ステップ②:「登録日ありで絞り込む」に☑(検索オプションを開く)

特許調査の目的に応じて、これらの設定を適宜行うことをおすすめします。

文責:打越佑介

弁理士短答不合格でも論文試験まで論文対策すべき理由

2020年の弁理士1次試験(短答試験)は、コロナウィルスの影響により、例年なら5月下旬のところ、9月20日(日)に行われました。受験生の皆さんにとっては大変な年になったのではないでしょうか。

私が最終合格した10年前と今とでは、試験の制度や問題のみならず、対策も変わっているかもしれませんが、少しでも経験談が役に立ったら嬉しく思います。

そこで、短答試験が不合格でも論文試験終了までは論文対策すべき理由を3つお伝えします。これは、私が短答試験に2回連続で不合格の後、3回目にして短答試験と論文試験とを一発で合格できた勝因の一つと考えています。

論文対策は短答対策にもなる

短答試験と論文試験とは違う、短答試験対策と論文試験対策を別物である、という考え方はおすすめできません。なぜなら、この考え方だと、時間を有効に活用し切れないからです。

もちろん、短答試験向けの勉強法、論文試験向けの勉強法、それぞれちゃんとあります。でも、少なくとも、特許の国内優先権や分割出願のような短答試験でも論文試験でも出やすい問題は、どちらも意識して取り組むほうが効率的です。

具体的には、論文対策しながら短答試験向けのレジュメや過去問を復習すると、趣旨や要件の理解が深まって知識が厚くなるので、その分論文の応用問題への対応も高まると期待できます。

論文試験不合格者が翌年のライバル

弁理士試験は相対評価の試験です。つまり、受験生のうち上位〇%に入れたら合格できるため、ライバルに差を付けられないように意識することは、最小限の労力で合格するために必要なことです。

この考えに基づくと、最もライバルに差を付けられやすいのは、短答試験から論文試験までの間です。なぜなら、短答不合格者の勉強のペースは緩みがちになり、一方、短答合格者の勉強のペースは加速しやすいからです。

論文対策講座を申し込んだり、直前答練を受けたりすることもおすすめです。来年の論文試験対策も今年の短答試験終了直後からはじまっており、ここをやり切れるかどうかが鍵とも言えます。

試験勉強のモチベーションの維持

過酷な短答試験を終え、自己採点でボーダーライン未満だと、心が折れそうになる気持ちもよくわかります。でも、ここで勉強のペースが緩むほど、翌年の合格が遠のくことも、忘れないでください。

勉強するなら、来年の短答試験対策より、たとえ受験できないとしても目先の論文試験対策のほうが心機一転して取り組めるため、モチベーションも維持しやすくなります。

休息も大切ですが、短答対策はうんざりだから気分転換に論文対策する、特許は飽きたから気分転換に商標の問題を解く、というような考え方で勉強のペースを保てると、合格がより近くなるはずです。

まとめ

短答試験が終わると、来年の弁理士試験までのカウントダウンがはじまります。そして、短答試験は通過点であり、論文試験も口述試験も突破しなければ最終合格できません。

そのため、短答試験が終わったら論文試験対策するのが自然な流れです。弁理士試験も水物で、合否の分かれ目は時の運なので、短答試験が不合格であっても、堂々と論文試験対策してください。

なお、短答試験の復習ですが、自信を持って正答できた問題以外の問題について、なぜ間違ったか、なぜヤマ勘で当たったかなどを、自己分析することをおすすめします。

文責:打越佑介

地域ブランド戦略と地域団体商標とのシナジー効果

全国地域ブランド総選挙」(経済産業省ウェブサイトにリンク)の開催について、2020年9月14日に経済産業省からリリースされました。2017年度は九州限定、2018年度は東海・北陸限定、2019年度は東北限定でしたが、2020年度はいよいよ全国のようです。

「地域ブランド」とは、簡単に言えば、その地域ならではの名産物や名所のように、その名称を聞くだけで産地や特徴をパッと思い浮かぶくらい人々に知られているもの、と考えられます。

そのため、地域ブランドの名称の多くは、”地名+商品や場所の普通名称”であり、これでは一般名称と勘違いされて誰でも気軽に使えてしまうえに、一般名称は基本的に商標登録できないため、2006年4月1日から地域団体商標制度が導入されて登録できるようになったわけです。

今ではたくさんの地域団体商標が登録され、経済効果を期待できるまで成長した地域ブランドもあるようですが、近年の日本の経済事情に加え、コロナウィルスの影響もあり、今後も地域ブランドのあり方は重要なテーマと言えそうです。

地域団体商標活用の効果

商標に限らず、特許など知的財産権は、単に取得するだけではあまり意味がなく、その権利を活用することで、費用対効果を得られます。地域団体商標を活用すると、以下の効果やメリットがあると言われています。

①商品のブランド力向上

地域ブランドの名称を地域団体商標登録するには、その名称が、ある程度の人々(難しくいうと、一定の地理的範囲の需要者)に知られていなければならず、かつそれを証明しなければなりません。

特許庁は、”地名+商品や場所の普通名称”の商標登録を簡単には認めず、その知名度を審査で問います。つまり、地域団体商標登録できれば、地域ブランドとしてある程度確立していると言えるわけです。

地域団体商標は、経済産業省の管轄である特許庁のお墨付なので、ブランディングにも役立ちます。国内全域や国外に販路を拡大するようになれば、その恩恵をさらに感じられるはずです。

②商品の生産者の意識向上

地域ブランドの名称を地域団体商標登録するには、その地名との関連性も必要です。

例えば、地域団体商標登録済みである「草津温泉Ⓡ」は、「群馬県吾妻郡草津町における温泉入浴施設を有する宿泊施設の提供」、「群馬県吾妻郡草津町における温泉入浴施設の提供」という地域限定のサービス名として認められています。

言い換えれば、その地域(「草津温泉Ⓡ」の場合は「群馬県吾妻郡草津町」)以外では地域ブランドの名称を使えなくなるため、実際にその名称を使えるのは、その地域内の限られた人たちのみとなります。

つまり、地域団体商標登録済みの名称を名乗って商売できるという事実が、その商売の事業主や従業員や職人といった商品(サービス含む)の生産者に自信を与え、品質の保持や改善にも積極的に取り組む意識の向上も期待できます。

③地域活性化への貢献

つまるところ、①商品のブランド力向上と、②商品の生産者の意識向上が実現すると、地域活性化につながると考えられます。逆算すると、地域活性化の実現には、地域団体商標が要因の一つになりそうです。

「貢献」には、観光客を増やしたり商品の売れ行きを伸したりといった”攻めの貢献”のみならず、地域ブランドに相乗りする業者など悪意のある第三者をブロックするといった”守りの貢献”も含まれるはずです。

地域ブランドが人気になればなるほど悪意のある第三者に狙われやすくなります。そのため、マーケティングやブランディングと地域団体商標の取得活動とを同時進行で行うのが理想的です。

地域団体商標によるシナジー事例

地域団体商標登録事例一覧(特許庁ウェブサイトにリンク)では、都道府県別にリストアップされています。各商標をクリックすると、地域ブランドの概要や地域団体商標の内容も見ることができます。

また、これら地域団体商標の活用事例(特許庁ウェブサイトにリンク)について、特許庁は動画・冊子・漫画でまとめています。地域ブランド戦略を予定している団体の方々のみならず、既に実行中の方々にも参考になる内容と感じました。

むしろ、内容が充実し過ぎてて、どれを参考にしたらいいか迷ってしまうくらいなので、私的にわかりやすく現実的と感じた3つの事例と、これらのポイントを整理してみました。

島根県「玉造温泉Ⓡ」

□地域ブランドをPRする役割分担(観光協会=企画・制作・事業実施・プロデュース、旅館組合=広報・プロモーション)を明確にしたため、各自が徹底して作業を行えた

□「玉造温泉Ⓡ」に加え、「美肌・姫神の湯Ⓡ」というコンセプト名を商標登録することで、”ブレない街づくりのコンセプト”が確立でき、将来の方向付けを行えた

□ 島根県「玉造温泉Ⓡ」の動画サイト=http://www.chugoku.meti.go.jp/ip/contents/81/

大分県「中津からあげⓇ」

□「商品ブランド認証基準」として、からあげの調味液の成分、鶏肉の原産地、店舗の所在地などを明確にした

□地域団体商標登録の審査通過条件(①「中津からあげ」という名称がある程度有名であること、②”からあげ=鶏肉”と認識されていること)を満たしていることを証明するために2000人以上のアンケートを回収した

□大分県「中津からあげⓇ」の動画サイト=https://www.youtube.com/watch?v=BxW6DHYrTGE&feature=youtu.be

宮崎県「みやざき地頭鶏Ⓡ」

□「商品ブランド認証基準」として、指定農場のみ生産許可、飼育の期間や密度などを明確にした

□販路開拓として、販売先を選定したり、試食会など首都圏開催のイベントに積極的に参加したりした

□宮崎県「みやざき地頭鶏Ⓡ」の動画サイト=https://www.youtube.com/watch?v=YLBDoKA2JY4&feature=youtu.be

まとめ

地域団体商標登録を取得するには、地域ブランドとしてある程度確立している必要があります。

つまり、地域団体商標登録を取得するために町おこしを行い、その結果として地域ブランドが成長すれば、まさに一石二鳥ではないでしょうか。

地域団体商標によるシナジー事例を見ると、地域団体商標活用の効果は、地域団体商標登録の取得前から得られているとも考えられます。

文責:打越佑介

ブランド戦略にも初心者にも役立つ商標登録の5W1H

ブランド戦略とは、一言で表すと、他社とは違う価値を感じてくれるファン(顧客、ユーザー等)をつくるための活動(=ブランディング)の戦略、と考えています。

そして、ブランディングで大切なことは、他社との違い(=自社の価値)をファンが認識しやすくすることであり、ファンにとってその違い(価値)目印(商標)守る(登録する)ことは、ブランド戦略の具体策です。

そのため、商標登録も、ビジネスフレームワークの5W1H(What,Why,Who,When,Where,How)の質問に回答できれば、ブランド戦略としても有効です。

5W1Hの順番は自由ですが、以下で紹介する流れは、商標登録にとっての優先順位です。ブランド戦略のみならず商標登録の初心者にも使えるフレームワークです。

What(質問:商標は何ですか?)

回答:商標は●●●を示す○○○です

回答の●●●にはあなたのビジネス、○○○には商標(ネーミング・マーク)の形態を入れます。以下は回答例です。

例1:商標は小売業を示す文字(ひらがな、カタカナ、漢字、ローマ字、アルファベット)です。

例2:商標はソフトウェア開発業・アプリケーション名を示すロゴタイプ(上記文字をオリジナルの書体で表示)です。

例3:商標は飲食業を示す図形(エンブレム、キャラクター)です。

例4:商標は複数の業態を示す組み合わせ(図形+文字、ロゴタイプ+図形、図形+図形)です。

How(質問:商標をどのように使いますか?)

回答:商標を●●●として○○○します

回答の●●●にはブランドの種類、○○○には実際に商標を使う状態を入れます。以下は回答例です。

例1:商標をコーポレートブランド(社名・エンブレム)としてホームページのタイトルやロゴにしたり、看板にしたりします。

例2:商標をファミリーブランド(複数の商品のカテゴリをまたぐ包括的なネーミング・マーク)としてパッケージに印刷します。

例3:商標を個別ブランド(個々の商品のネーミング・マーク)としてサービス提供時のツールに付けます。

Why(質問:商標登録をなぜしますか?)

回答:商標登録を●●●のためにします

回答の●●●には商標登録の目的や理由を入れます。以下は回答例です。

例1:商標登録を競合他社などに先に商標登録されて当社が使えなくなったら困るのでします。

例2:商標登録を一般名称かどうかわからないため商標出願して審査してもらいたいためにします。

例3:商標登録を売買目的、ライセンス(使用権の許諾)目的のためにします。

Who(質問:商標登録は誰のものですか?)

回答:商標登録は●●●のものです。

回答の●●●には商標登録を出願する人や商標権を管理する人を入れます。以下は回答例です。

例1:商標登録は法人(株式会社、合同会社、一般社団法人など)のものです。

例2:商標登録は個人(中小企業の社長・フリーランスなど)のものです。

例3:商標登録は共同名義(法人+法人、個人+個人、個人+法人)です。

When(質問:商標をいつから使いますか?)

回答:商標を●●●から使います(予定です、使っています)。

回答の●●●には具体的な時期や予定を入れます。以下は回答例です。

例1:商標をプレスリリース後から使います。

例2:商標を将来的に使う予定です。

例3:商標を既に1年前から使っています。

Where(質問:商標をどこで使いますか?)

回答:商標を●●●で使います。

回答の●●●には地域名や国名を入れます。以下は回答例です。

例1:商標を日本国内のみで使います。

例2:商標を日本及びアジア諸国で使います。

例3:商標を日本及び欧米で使います。

まとめ

商標登録は知的財産として活用しやすいため、安易に考えられがちですが、トラブルにも発展しやすいため、適当になんとなく出願したり登録前に商標を使ったりするのは危険です。

5W1Hはマーケティング等のビジネスフレームワークとしても用いられている分、使いやすくわかりやすいため、社内の重役や社外の弁理士にもその内容を伝えやすいです。

文責:打越佑介

下町ロケットを知らない人のための特許戦略7ヵ条

2020年8月14にSankeiBizから「中小の知財・技術保護へ指針、今秋にも提示 大企業の不当取得防止」という記事がリリースされました。

記事によれば、下町ロケットような技術力の高い中小企業が、大企業と公正な取引を行えるような支援策を政府が検討しており、2021年度予算案の概算要求に盛り込むというものです。

『下町ロケット』の概要についてはウィキペディアで確認できますが、弁理士としては下町ロケットから学べる特許戦略を忙しい中小企業の社長などで下町ロケットを知らない人にも知ってもらえると嬉しいです。

そこで、特許戦略としてはほんの一部に過ぎませんが、わかりやすく7ヵ条にまとめました。なお、下町ロケットをこれから見るため内容を知りたくない人はお読みになるのをご遠慮くださいますようお願いいたします。

①特許出願のタイミングが勝敗を分ける

帝国重工(大企業)が佃製作所(中小企業)に勝てなかった最大の原因は、佃製作所(中小企業)より特許を出すのが2週間遅かったことです。2週間前に同じ特許を他社に出されていることを知る術はありませんので、仕方がありません。

ただ、このような例はウソのようで本当にあることです。特許は出願(申請)してから1年半は公開されないため、今から1年半前以降にどんな特許が出されているかは、公開されなければわかりません。

そのため、事業活動において大切なことは、ライバルに先を越されないようにタイミングを逃さず特許を出すことであり、仮に同じ特許が他社に出されていてもその特許を回避する案を決めること、です。

なお、優先権主張出願という制度を利用することで、特許出願してから1年以内であれば、出願した特許の具体例(研究成果)を追加して内容を補強したりすることができます。

②特許には時間を短縮する価値がある

佃製作所(中小企業)の強みはバルブシステムの特許であり、帝国重工(大企業)は佃製作所(中小企業)の許可を得ずにバルブシステムを製造すれば、特許を侵害することになります。

さらに、帝国重工(大企業)のスターダスト計画実施も間もなくです。もはや佃製作所(中小企業)のバルブシステムの特許を回避する新たなバルブシステムの開発は時間的に不可能です。

つまり、帝国重工(大企業)の弱みは時間です。もしスターダスト計画実施前に新たなバルブシステムを開発できれば、佃製作所(中小企業)の特許権を侵害することにはならず、佃製作所(中小企業)との交渉も不要です。

このように、帝国重工(大企業)にとって、佃製作所(中小企業)の特許の価値はバルブシステム開発の時間短縮です。このことから、特許には、時間的な価値があると言えます。

③特許とノウハウは一心同体である

中小企業は特許を取れるなら取るべきですが、特許と同じくらいノウハウが大事ということを忘れてはいけません。中小企業の多くは、大手企業にないノウハウを持っているはずです。

以下は、佃製作所(中小企業)のバルブシステムの開発技術を、特許とノウハウに分けたイメージ図です。左側がバルブシステム構造の特許(青)、右側がバルブシステムの製造ノウハウ(赤)です。

帝国重工(大企業)は全部品を内製(自社で製造した部品)したかったため、佃製作所(中小企業)の特許の使用許諾が必要でした。帝国重工(大企業)には設備投資力もあり、製造装置(マシニングセンタなど)の性能にも自信があったようです。

一方、佃製作所(中小企業)は特許の使用許諾ではなく、バルブシステムを部品として帝国重工(大企業)に供給したいと申し出ました。なぜなら、佃製作所(中小企業)は特許のみならず、バルブシステムの品質を極限まで高めるための強烈なノウハウ(穴あけ、削り、研磨など)を持っていたからです。

帝国重工(大企業)は特許の使用許諾さえあればバルブシステムの構造を真似できます。そもそも帝国重工(大企業)もバルブシステムの研究開発をしていたため、製造ノウハウもあるはずです。

しかし、佃製作所(中小企業)の真の強みは、バルブシステムの製造ノウハウです。製造装置の精度を上回る技術者の感覚や勘所は、帝国重工(大企業)に真似できません。このようなノウハウを非公開(秘密)にすることで、佃製作所(中小企業)は特許と同じくらい貴重な“価値ある技術”をウリ(強み)にできるわけです。

中小企業としては、特許をとるアイデア(技術的思想)があっても、公開してまで特許をとる価値があるか?、価値があるとしたらどこまで公開すべきか?非公開のノウハウと組み合わせて特許の価値を高められるか?など、検討すべき点はたくさんあります。

なお、会社経営上、ある技術者一人しかしらないノウハウがあるというのは、強みにも弱みにもなります。なぜなら、その技術者が退職したり病欠したりしたら、誰もそのノウハウを再現できなくなるからです。そのため、ノウハウを社内で共有できる仕組みづくりも重要です。

④特許を売るか貸すかは経営判断である

佃製作所(中小企業)の特許を買い取りたい帝国重工(大企業)の提示額は20億円でした。特許をお金に換えることは簡単ではないため、売れるときに売ってしまったほうがいいという考え方もあります。

特許の維持費もかかるし、新しい技術が登場すれば特許の価値も下がります。そのため、特許を持っている会社は、特許を売るか貸すか?いくらで売るか貸すか?そもそも買い手や借り手はいるのか?などを模索しています。

しかし、佃製作所(中小企業)は、バルブシステムの特許のみならず製造ノウハウも持っており、製品の品質に絶対の自信があったため、帝国重工(大企業)に特許を売りも貸しもせずに部品供給という経営判断をしました。

なお、特許を貸した場合の利益(ライセンス収入)は、一般的に製品の売上に対する1~5%と言われています。100万円売り上げたら1~5万円の収入ということです。特許の貢献度にもよるため、もっと多い場合もあれば、少ない場合もあります。

⑤特許=製品の品質保証ではない

まず前提として、特許は製品(モノ)が実際になくてもとれます。つまり、アイデア(技術的思想)さえあれば誰でも特許を出せます(審査をクリアできるかどうかは書類の書き方次第です)。

そして、特許の審査をクリアする上で、製品の品質保証は必要ありません。理論的に製品(モノ)がつくれれればOKで、品質基準をクリアした製品が100回に1個しかつくれないとしても、特許はとれます。

真珠で有名なミキモトの創業者・御木本幸吉が発明した真珠の養殖方法は1916年に特許となりましたが、実際に真珠を取得できた確率は数パーセントだったそうです。

このように、特許と製品の品質保証は異なるため、佃製作所(中小企業)のように特許をとっても帝国重工(大企業)の品質基準をクリアできる製品をつくれるかどうかは別の話であることに注意してください。

⑥特許は技術者の創作意欲から生まれる

日本の技術者の多くは、給与以上に研究開発に没頭できる環境を求めており、特許庁が実施したアンケートでそのような結果が出ています(以下画像、引用: 「職務発明制度に関するアンケート調査結果について 」 by 特許庁)。

「(1)研究開発を行う上で重要と思うこと」として、技術者が最も重視しているのは、日本企業・海外企業どちらも「現実的な問題を解決したいと思う願望」(85%以上)です。一方、日本企業にとって「金銭的な処遇」(71.7%)は他の項目より低いことがわかります。

また、中小企業が技術者との関係で注意すべきは、職務発明(技術者が職務上考えた発明)に関する取り決めです。

例えば、職務発明は会社のもの(会社が特許を受ける権利を持っている状態)であること、そのかわり技術者にはそれなりの金銭等をあげること、などを就業規則に書いておかないと、会社に不満をもった技術者から訴えられるリスクがあります。

おそらく、佃製作所(中小企業)と技術者(佃社長含む)とは、職務発明の取り決めがあるのではないしょうか。そのため、技術開発部が考えた職務発明(バルブシステム)について、特許を受ける権利(特許権を所有する資格)があるのは佃製作所(中小企業)で、そのかわりに技術者にはそれなりの金銭(ボーナスなど)が支払われていると推測できます。

⑦特許について営業担当者が無知だと危ない

技術開発にはコストがかかる、売れない特許なんて意味がない、と営業担当者は考えがちです。製品が売れなければ会社は生き残れず、製品を売ることが営業担当者の使命であれば、然るべき意見です。

そのため、営業担当者が売上(成績)を伸ばすことを優先して、会社が特許を出願する前に客先にプレゼンしてしまったり、他社の特許を侵害する製品の注文を受けてしまったりすることもあるようです。

技術力があってもそれを守れなければ、会社は孔の空いた鍋のようなもので、業績も上がりにくいです。同じように、営業力を高めるには、営業担当者が製品の知識に加え、特許のリテラシーを持つことも必要であり、これによりお客様からの信用が高まるのではないでしょうか。

なお、センサーや測定器のファブレスメーカーであり高収入でも有名なキーエンスは、類まれなる営業力を武器としていますが、特許の公開公報のヒット件数は2600件以上(2020年8月16日時点)であり、2020年の知財価値ランキングではトップになるほどの技術力を兼ねていると考えられます。

まとめ

あらためまして、下町ロケットから中堅企業や中小企業が学べる特許戦略の7ヵ条は、以下のようになります。

①特許出願のタイミングが勝敗を分ける
②特許には時間を短縮する価値がある
③特許とノウハウは一心同体である
④特許を売るか貸すかは経営判断である
⑤特許=製品の品質保証ではない
⑥特許は技術者の創作意欲から生まれる
⑦特許について営業担当者が無知だと危ない

ウィズコロナ・アフターコロナの時代における知的財産活動のニューノーマル、すなわち、従来の知的財産活動には考えられなかった新たな常識や常態がいずれスタンダードになると想定されますので、時代に合った特許戦略の検討・実行も大切です。

アイピールームではウェブ会議システムによる特許相談の仕組みづくりに力を入れており、既に利用者の皆様に有益な成果を出せていますので、興味がありましたら以下も参考にしてみてください。

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文責:打越佑介

建築物・内装の意匠登録状況をネットで情報収集する方法

令和元年の意匠法改正により、令和2年4月1日から、新たに建築物・内装の意匠(デザイン)を保護できるようになりました。

改正前の意匠の保護対象は、プレハブといった組立家屋に限られていたため、本改正は不動産業界や什器業界にとってインパクトのあるものとなり得ます。

一方、意匠出願は、これらが登録に至らない限り特許庁から正式に公開されないため、出願内容の傾向や統計を把握できるのは、さらに半年くらい先になるかもしれません。

そこで、少しでも早く最新情報を入手して見通しを立てたい場合におすすめな2つの方法を紹介します。

1.令和元年意匠法改正特設サイトで情報収集

当然ながら、特許庁の公開情報が正確無比でしょう。特許庁は、法改正の経緯を含め、平成29年(2017年)から情報公開を行っています。

令和元年意匠法改正特設サイト by 特許庁ウェブサイト

近々で興味深い公開情報としては、7月13日にリリースされた「改正意匠法に基づく新たな保護対象についての意匠登録出願状況」で、7月1日時点の統計では、建築物の意匠出願が133件、内装の意匠出願が98件です。

ただ、建築物の件数は、検索条件である日本意匠分類の幅が広く、実はノイズ(建築物ではない意匠出願)も含まれているのではないかと推測します。

一方、内装の件数は、検索条件である日本意匠分類が「L3-7」に絞られているため、ノイズは含まれておらず正確な数値と推測できます。

その他、「改訂意匠審査基準の概要」もわかりやすいため、意匠出願を検討する際の参考になると思います。

2.J-PlatPatで情報収集

J-PlatPatは、特許庁の公開データベースです。繰り返しになりますが、意匠の場合、特許や商標のような公開制度がないため、登録に至らない限り、J-PlatPatで公開されません。

また、商標の場合、出願後1か月前後で内容がJ-PlatPatで公開されるため、競合他社等の出願状況を確認できるのは、1か月遅れとなります。

一方、意匠の場合、出願から登録まで早くても半年前後かかるため、競合他社等の出願状況を確認できるのは、半年遅れとなります。

この遅れを理解した上で、J-PlatPatで情報収集する場合、例えば以下の日本意匠分類で検索するのが効率的と考えられます。

L2-5010:橋りょう など

L2-600:防波堤、ダム など

L3-100:ガスタンク、煙突、灯台 など

L3-130:駅舎、空港ターミナル など

L3-140:鉄塔、電柱 など

L3-2000:高層ビル など

L3-21:戸建住宅 など

L3-24:ロードサイド店舗 など

L3-7:内装の意匠

<参考:意匠登録出願の基礎(建築物・内装) 22頁 by 特許庁>

もしJ-PlatPatでの意匠の調べ方がわからない場合は、以下を参考にしてみてください。

意匠を調べるには?小学生にもわかるJ-PlatPatの使い方

まとめ

建築物・内装の意匠登録第1号はどのようなデザインなのか、また、各業界で意匠登録がどのように活用されるのか、興味深いです。

本件については、新たな情報を入手次第、本記事のアップデートや新たな記事の作成を検討しています。

 

文責:打越佑介

新規性とは?小学生にもわかる意味・注意事項・図解

特許を取るためには、発明(アイディア、商品、ウェブシステム等)に「新規性」が必要です。

「新規性」を簡単に言いますと、「出願手続(申請)前に発明が誰にも知られていない状態」で、「誰にも知られていない状態」とは、「開示していない状態」です。

また、「開示」とは、例えば、「(発明を)販売したり、インターネットで紹介したり、展示会に出展したり、セミナーで詳細を教えたりする行為」を意味します。

そこで、具体的に「新規性」の意味を図解します。

出願手続前に開示したら新規性がなくなる

①と②は、新規性がある場合と新規性がない場合との対比です。①と②の違いは、出願手続と開示の順番です。

①の場合、出願手続の後に発明を開示しており、新規性があるため、他の条件を満たせば特許を取れます。

②の場合、出願手続の前に発明を開示しており、新規性がないため、知られてしまった部分について基本的に特許を取れません。

そのため、開示は、出願手続前にしない(出願手続後にする)ことをおすすめします。

出願手続前に開示したら絶対に特許取れない?

うっかり出願手続前に開示してしまったり、どうしても出願手続前に開示しなければならなかったりすることもあるでしょう。

そんなときは、「新規性喪失の例外適用手続」を活用できます。

この手続は、本当は新規性がないけど、新規性がないことをなかったことにしてくれる、ありがたい制度ですが、2つの条件をクリアする必要があります。

一つ目の条件は、開示してから1年以内に出願手続すること、二つ目の条件は、出願手続した日から30日以内に手続すること、です。

「新規性喪失の例外適用手続」により、他の条件を満たせば特許を取れますが、手続自体が煩雑なので、基本的にはおすすめしていません。

まとめ

シンプルに、出願手続前に開示しない、開示するのは出願手続後、ということを覚えておいていただけると嬉しいです。

実際、このことを知らなかったため、残念ながら特許を取れなくなってしまった例を、私はたくさん知っているからです。

早く開示してビジネスを加速させたいお気持ちはよくわかりますが、そこをグッとこらえて、ぜひ弁理士にご相談ください。

 

文責:打越佑介

オンライン特許相談でビジネスを加速!【予約可】

特許や商標などのお悩みをアイピールームのオンライン特許相談で解決してぜひビジネスを加速させてください。

基本的に、Microsoft Teams・Google Meet・Zoom・Whereby・Skypeといったウェブ会議システムを使用し、無料で、かつ全国どこからでもお受けします。

ご相談予約を承っていますので、ご利用の際は下記のご利用方法をご参照の上、ご予約ください。

背景

新型コロナウィルス感染症対策として政府から緊急事態宣言がなされ、2020年4月7日から5月6日(延長により5月25日)まで外出自粛や休業の要請がなされました。

これを切っ掛けに、大企業・中堅企業・中小企業・フリーランスを問わず、リモートワーク(テレワーク・在宅勤務)の導入が急加速しました。

リモートワークでは、会社への忠誠心の低下や公私の混同などのデメリットも懸念されていますが、労働生産性の向上や経費の削減などのメリットが注目されています。

アイピールームの取り組み

アイピールームでは、新型コロナウィルス感染症対策以前から、時間の有効活用・紙資源の削減・情報の管理などをキーワードにして、リモートワークの研究及び導入を進めてまいりました。

私たちにとってのリモートワークは、オンラインによる相談対応も含み、お客様が抱える特許や商標のお悩みを解決する手段として、オンラインの活用は有効と考えています。

実際、オンライン会議システムにより、全国からのお問い合わせに対応でき、解決策の提案まで行うこともあります。

オンラインでも丁寧に

リモートワークにより、社内外の人々と触れ合う機会が減ってしまうことは否めませんが、だからこそ人と人とのコミュニケーションを今まで以上に大切にすべきと考えています。

オンラインでの打ち合わせも、対面に負けないくらいの感動を提供できるよう、難しい言葉をなるべく使わずに、わかりやすく説明するように努めています。

知的財産に関する基本的なご質問からビジネスに関する具体的なお悩みまで、全国どこからでも気軽にお問い合わせいただき、安心してビジネスに取り組んでいただくことが、私たちの幸せです。

ビジネスが加速する理由

全てのビジネスには知的財産が伴うはずです。知的財産とは、商品の仕様・製法・デザイン、社名・商品名・ロゴマークなどであり、いずれもビジネスにとって重要です。

そして、業績を伸ばしている会社ほど、競合他社の動向も考えていることから、知的財産の保護に対して高い意識を持っていると感じています。

すなわち、特許・意匠・商標といった知的財産権の取得により、競合他社の模倣のみならず追随を抑止できるため、相対的にビジネスが加速すると考えられます。

また、ビジネス上の知的財産の取り扱いを明確にしておくと、突発的な知的財産トラブルにも迅速に対応しやすい分、安心してビジネスを加速させられるはずです。

あらゆるご相談に対応

アイピールがお客様に選ばれる理由の一つは、知的財産に関するお悩みをワンストップで解決できることです。オンラインでも以下のような相談に対応いたします。

特許のご相談例

ありそうでなかったWebシステムを守れる?

協力先への提案前に特許を出して安心したい

特許か実用新案かどちらにすべきか?

大企業と共同開発した装置を特許出願したい

特許取得のため相談しながら開発を進めたい

資金調達のアピールのために特許出願したい

競合他社対策として特許件数を増やしたい

外国出願も見据えて特許戦略を考えたい

オンラインで特許戦略をサポートしてほしい

商標のご相談例

愛着ある社名を商標登録したほうがいい?

SEO対策としてサイト名を商標登録したい

新事業のシステム名を登録できるか調べたい

海外のブランド名を日本で商標登録したい

文字かロゴかどちらを商標登録すべきか?

商標登録したロゴと実際のロゴが違う

将来性を考えて指定商品・役務を提案希望

商標登録を更新すべきかどうかわからない

オンラインで商標戦略をサポートしてほしい

意匠のご相談例

意匠登録前にコンテストに応募して大丈夫か

販売サイトに出品する前に意匠出願したい

部分的には新しいデザインを意匠登録したい

商品に「意匠登録済み」と付してたい

デザインを外注した新商品を意匠登録したい

特許か意匠かどちらで保護すればいい?

シリーズ商品のバリエーションを守りたい

特許がダメなら出願変更して意匠登録したい

オンラインで意匠戦略をサポートしてほしい

ご利用方法(ステップ1~3)

どなたでもステップ1~3で簡単にご利用いただけます。なお、ご相談者様がウェブ会議システムのホストになることを希望なさる場合、その旨をステップ1でご表明ください。

ステップ1:お問い合わせフォームから相談予約(お客様→IPRoom)

まずはお問い合わせフォーム(メニューにもリンクあり)の「お問い合わせ内容」に以下のようにご記入の上、ご送信ください。

1.問い合わせ理由

オンライン特許相談の希望

2.希望日時(例)

第1希望=5月27日9時~11時

第2希望=5月27日13時~16時

第3希望=5月28日9時~9時30分

3.相談内容(例)

新しい商品を製造販売したいので特許で守りたい

4.提供できる資料等(例)

説明用資料、サンプル品

5.その他(例)

参加人数2名

なお、なるべく多くの方にご利用いただけるよう、基本的にお一人様一回につき30分とさせていただきます。

ステップ2:相談枠設定完了のご連絡(お客様←IPRoom)

基本的に、Microsoft Teams 又は Google Meetで会議を開催する予定です。他のウェブ会議システムをご希望の場合は、その旨をステップ1でご表明ください。

上記問い合わせ内容を確認後、上記希望日時に応じた開催日時の相談枠を設定したURL及び緊急連絡手段を電子メールやGoogleカレンダー経由で返信します。

なお、こちらの都合上、上記希望日時で相談枠を設定できない場合は別の日時候補を、また、上記問い合わせ内容について事前に質問があれば質問を、それぞれ電子メールで返信します。

ステップ3:ウェブ会議の開始(お客様⇔IPRoom)

そして、実際の開催日時に、上記電子メールやGoogleカレンダー内のURLをクリックして相談枠に入室すると、ウェブ会議が開始します。

通信障害等により開始できない場合、上記電子メールでお伝えした緊急連絡手段をご活用ください。

注意事項

オンライン特許相談のセキュリティは、ウェブ会議システムのレベルによるため、万が一の情報流出を懸念される方は、ご利用をご遠慮いただくか、資料の画面共有や秘密情報の詳細説明をお控えください。

なお、アイピールームでは、オンライン特許相談の開催にあたり、以下の点を徹底します。

・ウェブ会議システムの最新バージョンの利用

・相談枠に対するパスワードの設定(設定可能なシステムのみ)

・相談枠への入室前後の相談者様の本人確認

また、オンライン特許相談のご利用にあたり、ご相談の内容や回数が無料枠を超える場合は有料になることもありますが、事前にその旨をお伝えしますのでご安心ください。

最後に

新型コロナウィルスの流行後においても、リモートワーク(テレワーク・在宅勤務)が活用されると予想されていることから、あるべき姿は、今後も継続して研究されていくでしょう。

アイピールームでは、オンライン会議システムを有効に活用し、あらゆるご相談者様からのお問い合わせに対して、継続的かつ真摯に支援してまいります。

なお、オンライン特許相談をご利用の際は、よくある質問を事前にご覧いただけますと、より有意義な時間になると考えていますので、こちらもご活用ください。

 

文責:打越佑介

弁理士になってよかったことリスト

弁理士を10年やってますが、いまだに「便利屋さんですか?」と言われることがあります。弁理士って、ひょっとすると士業の中で一番マイナー(認知度が低い)かもしれません。

ただ、マイナーなことと、資格のメリットや仕事のやりがいは比例しません。知的財産の取り組みは、国策であり、大企業・中堅企業・中小企業・個人事業主かつ全業種に関係するとても重要な課題です。

そこで、私が考える弁理士になってよかったことをリストにまとめました。これらは仕事をしながらふと思い付いたときにメモしたツイッターのつぶやきを一部修正したもので、特にこれから弁理士を志す方々の参考になればうれしいです。

いろんな業界の人と仕事ができること

どの業界にも知財は必ずあるため、知財という切り口で各業界のお客様へのソリューションを提供できる醍醐味がある。もちろん各業界についての勉強は必要だが、仕事を通じて知らないことを学べることは幸せ。

働き方改革しやすいこと

業務の性質及びIT化を踏まえると、在宅勤務などリモートワークしやすい。強制的な環境じゃないと仕事ができない人以外には向いていると思う。

海外との取引がしやすいこと

日本のお客さんが海外で特許や商標を取りたい場合に各国の代理人と協業してシナジーうめるチャンスがある。プライベートな異文化コミュニケーションも楽しい。

新しいアイディアを知れること

もちろん営業秘密だし守秘義務だから誰にも言えないけど、お客さんの想いがつまった重要な知的財産について相談してもらえる仕事は遣り甲斐がある。

自分の子供に自慢できること

お父さんの仕事は皆さんの大事なアイディアを守ることで、国家試験に受からないとできないことなんだよって、言える日が楽しみ。少しは背中を見せられるかな。

人に語れることができたこと

知財に関する知識、経験、事例、流行、予測、ケース毎のメリット・デメリット・リスク・コストその他ノウハウなど、次世代に承継して役立ててもらえたら本望。

各士業の先生と仕事ができること

弁護士・税理士・司法書士など、餅屋は餅屋、プロフェッショナル同士の強みを生かしてシナジー生める関係作りは面白い。

受験仲間(戦友)ができたこと

受験時代から交友があり切磋琢磨した戦友たち。10年も弁理士してるとそれぞれ立場も境遇もかわってきて気苦労もあるけど、そういう話を共有できる友人がいることが幸せ。

時間の使い方を選択できること

仕事、遊び、育児などのバランスを調整し、関わる人と深くコミュニケーションできるため、関係がよくなったり自分の成長を感じたりしやすくなった。

えらい人と会いやすいこと

会社の社長さんや大学の先生など簡単には会えないような方々と比較的会いやすくなった。マイナーでも専門家というポジションは一目置かれやすいと思う。会える人々の層が変わると仕事の面白みが増す。

 

まとめ

弁理士になる動機や目的は人それぞれですが、なりたくてもなれない人もたくさんいると思いますので、ぜひ活用して社会に貢献してもらえたら嬉しいです。そうすることで、結果的に自分にも見返りがあるのではないでしょうか。

なお、これらは思い付いたときに適宜更新したいと考えています。

 

文責:打越佑介

【図解】知的財産の出願から登録までの流れの違い

特許・実用新案・意匠・商標、それぞれ出願から登録までの流れと期間が違います。以下、一覧表を参照しつつ解説します。

 

出願から登録までの流れと期間(平均)

 

 

特許は、①出願の後、②審査請求及び③審査を経て、④登録に至ります。①~④までの平均的な期間は1~4年です。

注意すべきは、②審査請求を①出願の後3年以内にしなければ、③審査がはじまらないばかりでなく、①出願自体が取り下げられたものとみなされてしまう点です。

実用新案は、①出願の後、特許と異なり②審査請求+③審査をせずに無審査で(ただし、書類上の方式的な審査はある)、④登録に至ります。①→④の平均的な期間は2~3か月です。

意匠及び商標は、①出願の後、特許と異なり②審査請求をせずに③審査を経て、④登録に至ります。①→③→④の平均的な期間は半年~1年です。

 

また、特許・意匠・商標では、③審査を通過しなければ④登録に至らないため、③審査を早くはじめてほしい場合は、「早期審査に関する事情説明書」を提出することもできます。

「早期審査に関する事情説明書」の提出後、平均的に3か月前後で審査結果が届くことから、①出願の後、特許の場合は1年くらい、意匠及び商標の場合は半年くらいで、④登録に至らせることもできます。

 

なお、よくある質問ですが、実用新案のメリットは、特許と異なり、②審査請求+③審査がない分、④登録に至る期間が短く、かつコストが安価な点です。

一方、実用新案のデメリットは、特許と異なり、③審査がない分、不安定な独占権であり、競合他社への差し止め請求など権利行使をする場合に、あらためて実用新案に関する技術の評価を特許庁に請求しなければならない点です。

 

まとめ

費用対効果を高めるために、事業や商品のプレスリリースや開始のタイミングにあわせて、知的財産の出願から登録までの各ステップを進めることをおすすめします。

 

文責:打越佑介