明治大学講師就任のお知らせ

2024年4月より、弁理士法人アイピールーム代表 弁理士の打越佑介は、明治大学にて知的財産に関する講義の講師を務めることになりました。

 

知的財産という専門分野において、これまでの経験と知識を皆様と共有できることに、大きな喜びと責任を感じています。

 

講義を通じて、皆様が知的財産の魅力と重要性を感じ、将来的にあらゆる分野で活躍するための基盤を築くことができればと考えております。

 

私自身も新たな発見と成長の機会を得ると共に、知的財産活動における新たな価値を見いだすことができると信じています。

 

敬具

 

2024年4月12日
弁理士法人アイピールーム
代表 弁理士 打越 佑介

創立2周年のご挨拶

日頃より、当事務所に格別のご高配を賜り厚く御礼申し上げます。

 

おかげさまで、アイピールーム国際特許事務所は、2021年(令和3年)6月1日で創立2周年を迎える運びとなりました。

 

2年目も新型コロナウィルスの影響により先行き不透明な状態が続きましたが、1年目と同様、1日1日を必死に取り組みました。

 

そうした中で、2周年を迎えることができましたことは、一重に皆様方の温かいご指導ご支援の賜物と深く感謝し御礼申し上げます。

 

直近にはオフィスも移転し、新たな気持ちで3年目を迎えられたため、また皆様方のお役に立てるよう、誠心誠意努めてまいります。

 

今後ともアイピールーム国際特許事務所をどうぞ宜しくお願い申し上げます。

 

敬具

 

令和3年6月1日
アイピールーム国際特許事務所
代表 弁理士 打越 佑介

出願審査請求のタイミングのメリット・デメリット

特許を申請してから成立するまでの期間は遅らせれば4~5年、急げば3か月未満です。この期間は、特許の申請書類を審査してもらうお願い(出願審査請求)のタイミング次第です。

出願審査請求は、特許を申請した日(出願日)から3年以内であればいつでもできます。申請と同時でも出願日からちょうど3年後でも大丈夫です。タイミングに決まりはありません。

もし3年経っても出願審査請求しなければ、特許の申請を取り下げたものと特許庁に見なされてしまいます。そのため、特許を申請したけど事情により必要なくなったなら、出願審査請求せずに放置しておけばOKです。

特許の成立を遅らせる場合と急ぐ場合の手続と期間の目安を図解します。

 

 

一般的に、出願審査請求のタイミングを変えることで、下記①②③④のプランを選択できます。
①遅らせるプラン(出願日から3年後に出願審査請求)
②急ぐプラン(出願日に出願審査請求)
③かなり急ぐプラン(出願日に出願審査請求+早期審査)
④超急ぐプラン(出願日に出願審査請求+スーパー早期審査)

特許の成立を遅らせるメリット・デメリット

プラン①のメリットは、a)最大3年間事業と市場を観察できる点、b)競合他社をけん制できる点です。

メリットa)は、事業や市場の状況の良し悪しによって、特許を成立させるべきか否かを検討できる、という意味です。悪ければ特許を断念、良ければ特許を成立、というような方針を決定できます。

メリットb)は、あえて特許を成立させない状態を2~3年つくることで、競合他社を市場に参入しにくくする、という意味です。この場合、競合他社は市場参入のリスク特許侵害の回避案を検討せざるを得ず、少なくとも参入のタイミングを遅らせることができます。

プラン①のデメリットは、プラン②③④のメリットを得られない点であり、これをデメリットとするならばプラン②③④にすべきです。

特許の成立を急ぐメリット・デメリット

プラン②③④のメリットは、然るべきタイミングに特許を活用できる点です。プラン②の実行後、条件次第でプラン③の早期審査や④のスーパー早期審査を行えます。

特許を活用すべきタイミング例は以下のとおりです。
・競合他社が特許を侵害しているおそれがある場合
・金融機関や機関投資家から資金調達したい場合
・事業の信頼性を第三者(IPO時の上場審査部など)に説明する場合
・特許の成立をマーケティング(宣伝活動など)に活かしたい場合

またプラン③④に限ったメリットは、残念ながら特許が不成立(拒絶査定)だったとしても、特許の申請書類が公開されない点です。

このメリットは、特許の申請書類は出願日から1年半過ぎると必ず一般公開され、競合他社がこの申請書類を参考にして新たな発明をしてしまうリスクがあるため、このリスクを回避できる、という意味です。

プラン②③④のデメリットは、プラン①のメリットを得られない点であり、これをデメリットとするならばプラン①にすべきです。

まとめ

特許の成立は遅らせるべき?急ぐべき?という疑問への回答は以下のとおりです。出願審査請求のタイミングにも良し悪しがあるということです。

☆特許の成立を遅らせるメリット☆
a)最大3年間事業と市場を観察できる点
b)競合他社をけん制できる点

☆特許の成立を急ぐメリット☆
・然るべきタイミングに特許を活用できる点
・不成立時に特許の申請書類が公開されない点(プラン③④に限る)

なおそれぞれのデメリットは他方のメリットを得られない点に他なりません。

文責:打越佑介

特許とは?初心者向けのわかりやすいQ&A集

特許について質問された場合、基本的にわかりやすく回答するように心掛けています。

たとえば、専門用語を使わないようにしたり、はじめはざっくり→その後詳しくというようなステップに分けたり、工夫しています。

また、弁理士になって10年が過ぎますが、聞かれることはだいたい共通しています。

つまり、特許って、初心者の方にとってはそれくらいわかりにくいんだな~って感じつつ、日々自分の説明の仕方を試行錯誤しています。

そこで、とてもよく聞かれるざっくりとした質問や的を得た大事な質問などを一問一答形式にしてまとめました。

特許について知識のない方もそうでない方にも、お役に立てていただけたら嬉しいです。

Q.特許とは?(簡単に言うと)

A.オリジナルの発明がパクられても守れるように登録しておく制度です。

Q.特許とは?(少し詳しく)

A.特許法に基づき、オリジナルの発明を独占し、かつ競合他社等による模倣行為を排他できるように、登録して特許権を付与する制度です。

Q.特許は東京特許許可局に申請するの?

A.違います。特許庁に申請します。
特許庁は、経済産業省の外局(特許などを扱う専門機関)です。東京特許許可局というところはありません。

Q.特許はどうやって申請するの?

A.下記①~③のいずれかで申請書類を特許庁に提出します。
①インターネット(専用のソフトかつ電子認証が必要です)
②紙を特許庁に発送
③紙を特許庁に持参

Q.特許は年間何件申請されているの?

A.30万件くらいです(2019年は307,969件)。
特許庁が「年報統計・資料編」にて公表しています。

Q.特許は早く出した方がいいの?

A.早いに越したことはありません。
特許は早い者勝ちなので、一日出し遅れたため取れなかった、ということも起こり得ます。

Q.特許は実際に商品がないとダメでしょ?

A.実際に商品がなくても大丈夫です。
特許は、商品のアイディアのみでもサンプルのみでも、書類をちゃんと整えれば取れます。

Q.特許をとればアイディアがパクられない?

A.パクられないとは言い切れません。
特許の主な役割は、アイディア(オリジナルの発明)がパクられた場合、それを止めたりお金を要求したりできるものです。

Q.特許を取れれば儲かるの?

A.儲かるとは言い切れません。
特許で守っているオリジナルの発明自体に、競合他社がパクりたくなるくらいの価値があるかないかによります。

Q.特許を取れるかどうかの目安は?

A.下記①及び②が目安です。
①オリジナルの発明が、既存品と異なる技術的な特徴を有していること
②既存品に課題があり、その特徴によればその課題を解決できること

Q.特許で守れるのは何?(端的にいうと)

A.物、物の製造方法、その他〇〇方法、です。

Q.特許で守れるのは何?(具体的にいうと)

A.特許で守れる物、物の製造方法、その他〇〇方法の具体例は以下です。
①物=日用品、ソフトウェア(ビジネスモデル含む)、素材、食品、薬
②物の製造方法=日用品の製造方法、素材の製造方法、食品の製造方法
③その他〇〇方法=検査方法、測定方法、制御方法、管理方法

Q.どんなビジネスモデルでも特許取れる?

A.取れるとは言い切れません。
インターネット(スマホ・サーバ・パソコンなど)をからめたビジネスモデルだと取りやすいです。

Q.特許で社名やロゴを守れる?

A.守れません。
社名やロゴといった「商標」は、商標登録して守ります。

Q.特許でデザイン(見た目)は守れる?

A.特許で守れますが、意匠登録でも守れます。
物体以外のデザイン(美術品や単なるモチーフ)は、特許でも意匠登録でも守れません。

Q.特許を取った方がいいの?

A.取った方がいいとは言い切れません。
オリジナルの発明の内容と、その事業戦略とのバランス次第です。

Q.特許を取っ方がいい場合とは?

A.下記①または②の場合、特許を取るほうがいいです。
①オリジナルの発明のポイント(からくり)がばれやすい場合
②オリジナルの発明を競合他社に絶対パクられたくない場合

Q.特許を取らない方がいい場合とは?

A.下記①②のいずれかの場合、特許を取らない方がいいです。
①オリジナルの発明のポイント(からくり)が絶対にばれない場合
②特許取得資金よりも優先して資金投入すべきことがある場合

Q.特許を取るメリットは?

A.下記①~④のメリットがあります。
①オリジナルの発明がパクられにくくなる
②オリジナルの発明がパクられても守れる(但し特許の内容次第)
③特許を取ったことを宣伝できる
④「特許第・・・号」や「特許取得済み」と表記できる

Q.会社の従業員に発明させて特許を取るメリットは?

A.上記①~④以外に下記ア)~ウ)のメリットがあります。
ア)従業員の教育の一環となる(発明の考え方など)
イ)状業員の意欲向上を図れる(報奨金制度の活用など)
ウ)発明の管理を体系的にできる

Q.特許を取らず出しただけだとメリットはない?

A.特許を出しただけでも下記①~③のメリットがあります。
①競合他社が同じ内容で特許を取れなくなる
②競合他社がオリジナルの発明を開発しにくくなる
③「特許出願済み」と表記できる

Q.特許を出す(取る)デメリットは?

A.下記①②がデメリットとなる場合があります。
①出願書類が一般公開され、これらを競合他社の開発のヒントにされる
②特許の件数が多いほど維持管理の工数と費用がかかる

Q.特許とは独り占めすること?

A.独り占めすることではありません。
特許をとること(独占権を得ること)と実際に独り占めすること(誰にも使わせないこと)とは違います。特許をとっても独り占めせず皆さんに使っていただいても大丈夫です。

Q.独り占めしないなら特許を取る意味あるの?

A.あります。
悪意のある第三者にオリジナルの発明がパクられにくかったり、パクられても守れるため、意味があります。

Q.特許ってハイテクな発明じゃないとダメ?

A.身近にある生活雑貨などシンプルでローテクな発明でも大丈夫です。

Q.特許って商品が売れてからでも取れる?

A.原則、取れません。新しくない(新規性がない)ためです。
売れてからでも取れるテクニックがないわけではないですが、条件が厳しく、手続も煩雑なため、おすすめしていません。

Q.特許ってどうやって取るの?(簡単にいうと)

A.少なくとも以下の手続①~③が必要です。
①申請書類一式を特許庁に提出する(出願)
②提出した書類について特許庁に審査を依頼する(審査請求)
③審査を通過できたら登録料を支払う(特許料納付)

Q.特許ってどうやって取るの?(少し詳しく)

A.一般的には以下のステップ1~4にて特許を取ります。
<ステップ1(出願)>
申請書類一式(願書、明細書、特許請求の範囲、要約書、図面)を特許庁に出願する
<ステップ2(審査請求)>
ステップ1の後3年以内に、申請書類に対して出願審査請求する
<ステップ3(審査官対応)>
審査の結果、審査官から拒絶理由通知を受けた場合、60日以内に意見書や手続補正書を審査官に提出する
<ステップ4(特許料納付)>
ステップ2または3の後、審査官から特許査定を受けた場合、30日以内に特許料を支払う

Q.特許をとれば絶対安全なの?

A.絶対安全とは言い切れません。
特許の効き目(効力)は、最終的に審査で認められた内容次第なので、パクられても残念ながら守れないこともあります。

Q.特許の効き目(効力)はどうやって決まるの?

A.申請書類のうち「特許請求の範囲」で決まります。

Q.特許って取るの難しいでしょ?

A.全て自分で手続して特許を取るのは難しい(苦労する)と思います。
弁理士に手続を依頼するのが最終的に費用対効果が高いと思います。

Q.自分で特許を取る場合に特に難しいのはなに?

A.「特許請求の範囲」の書き方です。
たとえ弁理士に依頼しても「特許請求の範囲」の書き方は十人十色なくらい、独特かつ重要な部分です。

Q.特許ってどれくらいの割合で取れてる?

A.7割以上です(2015年以降の統計)
なお、上記統計は審査請求した申請に対する割合で、審査請求していない申請を含めると、もっと下がると思います。

Q.特許を取れないのはどんな場合?

A.主に下記①~③のいずれかと審査にて判断されると特許を取れません。
①オリジナルの発明が新しくない(新規性なし)
②オリジナルの発明が既存品と比べて進歩していない(進歩性なし)
③出願書類に不備がある(但し修正できればクリア)

Q.特許って商品を販売する前に出した方がいい?

A.そのとおりです。
販売後や宣伝後だと、商品が新しくない(新規性がない)と判断され、特許が取れなくなる可能性が高いです。

Q.特許は個人名義と法人名義のどちらがいいの?

A.法人であれば法人名義をおすすめします。
法人格を有する中小企業の社長さんの場合、総合的な金銭的メリットに大差はなく、また、個人名義で取ると相続時の手続が生じる点にも注意が必要です。

Q.特許を法人名義で取るメリットは?

A.特許の取得に要する費用を経費化できるメリットがあります。

Q.特許の名義は変更できるの?

A.変更できます。
特許になる前でもなった後でも可能です。特許になる前のほうが、変更に伴う費用が安価です。

Q.自分で手続して特許を取る費用は?(概算)

A.16万円くらいからです(印紙代のみ)。

Q.自分で手続して特許を取る費用は?(ステップ毎)

A.以下のとおりです(印紙代のみ)。
ステップ1(出願)=14,000円
ステップ2(審査請求)=142,000円~
ステップ3(審査官対応)=0
ステップ4(特許料納付)=6,900円~
トータル162,900円~です。「特許請求の範囲」の内容により増加します。

Q.弁理士に頼んで特許を取る費用は?(概算)

A.相場はトータル60~80万円です(印紙代+税込)。
一般的に、よりよく特許を取るための提案、申請書類作成の難易度、審査官とのやり取り、手続の煩雑さなどを考慮して、弁理士の報酬が決まります。

Q.弁理士に頼んで特許を取る費用は?(ステップ毎)

A.相場は以下のとおりです(印紙代+税込)。
ステップ1(出願)=25~30万円
ステップ2(審査請求)=15~20万円
ステップ3(審査官対応)=10~15万円
ステップ4(特許料納付)=10~15万円

Q.弁理士に頼んで特許を取る費用はいつ支払うの?

A.弁理士に対して各ステップの終了時に支払いますが、終了前に前金として支払うこともあります。

Q.特許って登録までの期間はどれくらい?

A.平均4年です(審査請求のタイミング次第)

Q.特許の登録までの期間を早められるの?

A.早められます。
ステップ1(出願)と同時又は直後にステップ2(審査請求)を行えば、1.5~2年、早期審査請求を行えば半年~1年くらいで登録できます。

Q.特許は取れれば一生もの?

A.一生ものではありません。
特許は申請(出願)した日(出願日)から原則20年の命です。

Q.特許を持ち続けるにはどうすればいいの?

A.少なくとも特許料(維持料金)を支払い続けてください。
最初、特許料を1~3年分まとめて支払い、その後、1年分ずつ支払ってもまとめて支払ってもOKです。

Q.特許料(維持料金)はいくら?

A.下記①~④の維持年数によって異なります。
①1~3年=毎年2,100円+(請求項の数×200円)
②4~6年=毎年6,400円+(請求項の数×500円)
③7~9年=毎年19,300円+(請求項の数×1,500円)
④10~25年まで=毎年55,400円+(請求項の数×4,300円)

Q.特許料(維持料金)が年々増加するのはなぜ?

A.厳密にはわかりません。
維持年数が経つほど特許で守っている発明に関する商品やサービスが売れて儲かっているはずだから、という説があります。

Q.特許料を支払えばずっと持ち続けられる?

A.そうとは言い切れません。無効にされるリスクがあるからです。
一般的に、特許があると困る競合他社などは、特許無効審判を請求し、その特許をつぶしにかかることがあります。

Q.競合他社の特許は注意すべき?

A.注意すべきです。
特許制度には、「過失の推定」というルールもあって、知らなかったゴメン!では済まされない場合があります。

Q.競合他社の特許を調べるには?(簡単にいうと)

A.特許情報プラットフォームの「特許・実用新案検索」で調べられます。

Q.競合他社の特許を調べるには?(少し詳しく)

A.下記①~④の手順で調べられます。
①特許情報プラットフォームの「特許・実用新案検索」を開く
②「検索キーワード」の検索項目から「出願人/権利者/著者所属」を選択
③キーワード欄に競合他社名を入力
④画面下方の「検索」をクリック

まとめ

特許に関する基本的な質問の回答を初心者向けに整理しました。

今後も適宜更新していきたいと思います。

文責:打越佑介

店舗やオフィスの内装デザインの意匠登録(2020年12月)

経産省は11月2日に建築物・内装の意匠が初めて意匠登録されたニュースをリリースしました。

イノベーションの促進とブランド構築の一環とする意匠法の抜本的な改正により、建築物・内装の意匠登録が2020年4月1日から認められるようになったことから、どのような建築物・内装が意匠登録されるのか、とても注目されていました。

また、内装の意匠登録の場合、オフィス用の家具や什器、OA機器等を扱う企業が、自社製品を活かして設計した空間デザインも保護できるようになったため、机・いす・棚・壁・床などの組み合せ及び配置による独創的な内装が期待されています。

そこで、2020年12月時点の内装の意匠登録に関する状況を、私の所感含めて共有します。

なお、下記の見出し「●●●の内装」は、J-PlatPatの意匠登録公報にリンクしていますので、「●●●の内装」をクリック後に下記画像に示す赤矢印部分をクリックすると、各内装の意匠登録の内容を閲覧できます。

衣料品店の内装

内装デザインはU社の店舗ですが、意匠権者はアパレル大手F社です。意匠登録公報内の【実施例参考イメージ図】を見ると、意匠登録の内容をイメージしやすいです。

衣料品店の全体像としては、箱状の店舗で、左右の壁には、衣類の陳列棚と、陳列棚の上に設置された電光掲示板とが設置され、奥の壁には、大型ディスプレイが設置されています。このうち、電光掲示板と大型ディスプレイとの配置について、意匠登録がなされています(【参考斜視図1】及び【参考斜視図2】で着色された部分)。

このように、内装全体のデザインのうち、一部分(電光掲示板と大型ディスプレイと配置)のみを登録しておくと、その他の部分(陳列棚)のデザインを変更しても意匠登録を有効に活用しやすくなります。

店舗の売場の内装①店舗の売場の内装②

意匠権者は、動画配信サービスが主力事業であるE社です。一見、内装の意匠登録とは縁がなさそうな会社ですが、意匠登録の内容を見ると、主力事業を多面的に防衛する狙いを感じます。

店舗の全体像としては、食品売り場といったスーパーやデパートの一角のようなイメージで、商品の陳列棚と、陳列棚に隣接するディスプレイとが配置されています。このうち、ディスプレイ(電光掲示板)の配置について、意匠登録がなされています。

上述したU社のように、ディスプレイの配置のみを登録しておけば、陳列棚のデザインを変更しても意匠登録を有効に活用しやすくなりますが、このような部分的な意匠登録(部分意匠)は、全体(陳列棚含む)に対する部分(ディスプレイ)の位置・大きさ・範囲に、意匠登録が左右される点も留意すべきです。

つまり、部分意匠として内装の意匠登録したとしても万能ではないということです。

店舗の売場の内装①と内装②とは、陳列棚のデザイン及び陳列棚に対するディスプレイの配置が、それぞれ異なります。陳列棚のバリエーションは多数あるため、全てのバリエーションに対して意匠登録するのは現実的ではないことから、代表的(メジャー)な陳列棚が選ばれたのではないでしょうか。

オフィス空間のショールームの内装

意匠権者は、家具・什器メーカー大手O社です。オフィスの休憩室や執務室の内装とは別に、あえてショールームの内装を意匠登録している点が、とても興味深いです。意匠登録の内容を見ると、独創的な印象です。

ショールームの全体像としては、平面図から推測すると、中央にある円形の商談スペースと、商談スペースの左下にある飲食物の提供スペース、のようです。飲食物の提供スペースについては、【意匠に係る物品の説明】の欄にも記載されています。

紫色に着色されたソファーやイスは意匠登録に含まれませんが、これらがショールーム全体に対して意匠登録を受けようとする部分(間仕切壁など)の位置・大きさ・範囲を明確にしていると考えられます。

職員室の内装①(基礎意匠)職員室の内装②(関連意匠)

意匠権者は、家具・什器メーカー大手O社です。一見して、独創性を感じにくいものの、商材の机・イス・棚を活かしたレイアウトのようです。なお、内装①と内装②とは類似しているため、基礎意匠・関連意匠の関係です。

私的に注目したいのは【意匠に係る物品】です。「職員室」という選択が巧妙と感じています。意匠に係る物品を「職員室」と具体的にすることで、公知意匠との類似を避ける対策にもなるためです。

意匠に係る物品が異なれば、公知意匠と類似している意匠を登録できるというわけではありませんが、比較的ありふれた意匠の場合、意匠に係る物品を具体的(限定的)にすることで登録できる可能性が高まることもあります。

まとめ

まだはじまったばかりの内装の意匠登録制度ですが、登録件数が増えれば増えるほど、内装デザインの実施が競合他社の内装の意匠権を侵害するおそれが高まるのも否めません。

12月11日時点で公報が発行されている内装の意匠登録は14件です。これからも内装の意匠登録について定期的にJ-PlatPatでウォッチして適宜所感など共有したいと思います。

ちなみに、内装の意匠登録を調べたい場合は、J-PlatPatの「意匠検索」から「日本意匠分類/Dターム」を選択して「L3-7」をコピペして検索してください。もしJ-PlatPatでの意匠の調べ方がわからない場合は以下も参考にしてみてください。

意匠を調べるには?小学生にもわかるJ-PlatPatの使い方

 

文責:打越佑介

建築物・内装の意匠登録に関する状況(2020年10月8日)

令和元年の意匠法改正により、令和2年4月1日から、新たに建築物・内装の意匠(デザイン)を保護できるようになりました。

審査がスムーズに行われれば、意匠出願から審査結果(登録査定)が届くまで6か月くらいなので、間もなく登録例が出てくると推測しています。

一方、少しでも早く建築物や内装の意匠登録状況を知りたい方もいると考え、以前に下記の記事を投稿しました。

建築物・内装の意匠登録状況をネットで情報収集する方法

7月1日時点と10月8日時点の対比

そして2020年10月8日に、特許庁は新たな意匠登録出願状況を公開しましたので、本記事にて再び共有します。

▶ 令和元年意匠法改正特設サイト by 特許庁ウェブサイト

上記リンク先のサイトのうち、7月1日時点で公開された意匠登録出願状況も10月8日時点に更新されているため、上記記事で記録した前回分の数値データと今回分の数値データの対比を以下に示します。

建築物の意匠登録出願件数

7月1日時点 :133件(3か月間の出願件数月平均44.3件)

10月1日時点:204件(前回比71件増、3か月間の出願件数月平均23.7件/月)

内装の意匠登録出願件数

7月1日時点 : 98件(3か月間の出願件数月平均32.6件)

10月1日時点:132件(前回比34件増、3か月間の出願件数月平均11.3件/月)

考察:コロナウィルスと出願件数の影響

4月1日以降3か月間と対比すると、7月1日以降3か月間の出願件数月平均が減っているのは、コロナウィルス感染予防対策に伴い、出願活動の見直しが図られたためと仮説します。

テレワークの推進に伴い、特に家屋や商業施設の内装のデザインは大きく変化する可能性がある分、関連する会社は今後どのような権利を取得して模倣対策すべきかを検討していたのかもしれません。

一方、ワクチンの普及によりコロナ禍は終息すると仮説すれば、コロナ対策向けのデザインは早かれ遅かれ廃れると見込める分、アフターコロナの兆しがより鮮明になったタイミングで、出願活動が再開されて出願件数が再び増加する可能性もあるのではないでしょうか。

まとめ

もうしばらくウィズコロナが続くと思われますが、この間にアフターコロナを見据えた知財活動を継続して行うことは、今後の事業活動を加速させる可能性を秘めています。

建築物・内装の意匠登録も、ニューノーマル時代にどのように活用されるのか興味深いので、また新たな情報を入手次第、本記事のアップデートや新たな記事の作成を検討します。

 

文責:打越佑介

弁理士短答不合格でも論文試験まで論文対策すべき理由

2020年の弁理士1次試験(短答試験)は、コロナウィルスの影響により、例年なら5月下旬のところ、9月20日(日)に行われました。受験生の皆さんにとっては大変な年になったのではないでしょうか。

私が最終合格した10年前と今とでは、試験の制度や問題のみならず、対策も変わっているかもしれませんが、少しでも経験談が役に立ったら嬉しく思います。

そこで、短答試験が不合格でも論文試験終了までは論文対策すべき理由を3つお伝えします。これは、私が短答試験に2回連続で不合格の後、3回目にして短答試験と論文試験とを一発で合格できた勝因の一つと考えています。

論文対策は短答対策にもなる

短答試験と論文試験とは違う、短答試験対策と論文試験対策を別物である、という考え方はおすすめできません。なぜなら、この考え方だと、時間を有効に活用し切れないからです。

もちろん、短答試験向けの勉強法、論文試験向けの勉強法、それぞれちゃんとあります。でも、少なくとも、特許の国内優先権や分割出願のような短答試験でも論文試験でも出やすい問題は、どちらも意識して取り組むほうが効率的です。

具体的には、論文対策しながら短答試験向けのレジュメや過去問を復習すると、趣旨や要件の理解が深まって知識が厚くなるので、その分論文の応用問題への対応も高まると期待できます。

論文試験不合格者が翌年のライバル

弁理士試験は相対評価の試験です。つまり、受験生のうち上位〇%に入れたら合格できるため、ライバルに差を付けられないように意識することは、最小限の労力で合格するために必要なことです。

この考えに基づくと、最もライバルに差を付けられやすいのは、短答試験から論文試験までの間です。なぜなら、短答不合格者の勉強のペースは緩みがちになり、一方、短答合格者の勉強のペースは加速しやすいからです。

論文対策講座を申し込んだり、直前答練を受けたりすることもおすすめです。来年の論文試験対策も今年の短答試験終了直後からはじまっており、ここをやり切れるかどうかが鍵とも言えます。

試験勉強のモチベーションの維持

過酷な短答試験を終え、自己採点でボーダーライン未満だと、心が折れそうになる気持ちもよくわかります。でも、ここで勉強のペースが緩むほど、翌年の合格が遠のくことも、忘れないでください。

勉強するなら、来年の短答試験対策より、たとえ受験できないとしても目先の論文試験対策のほうが心機一転して取り組めるため、モチベーションも維持しやすくなります。

休息も大切ですが、短答対策はうんざりだから気分転換に論文対策する、特許は飽きたから気分転換に商標の問題を解く、というような考え方で勉強のペースを保てると、合格がより近くなるはずです。

まとめ

短答試験が終わると、来年の弁理士試験までのカウントダウンがはじまります。そして、短答試験は通過点であり、論文試験も口述試験も突破しなければ最終合格できません。

そのため、短答試験が終わったら論文試験対策するのが自然な流れです。弁理士試験も水物で、合否の分かれ目は時の運なので、短答試験が不合格であっても、堂々と論文試験対策してください。

なお、短答試験の復習ですが、自信を持って正答できた問題以外の問題について、なぜ間違ったか、なぜヤマ勘で当たったかなどを、自己分析することをおすすめします。

文責:打越佑介

地域ブランド戦略と地域団体商標とのシナジー効果

全国地域ブランド総選挙」(経済産業省ウェブサイトにリンク)の開催について、2020年9月14日に経済産業省からリリースされました。2017年度は九州限定、2018年度は東海・北陸限定、2019年度は東北限定でしたが、2020年度はいよいよ全国のようです。

「地域ブランド」とは、簡単に言えば、その地域ならではの名産物や名所のように、その名称を聞くだけで産地や特徴をパッと思い浮かぶくらい人々に知られているもの、と考えられます。

そのため、地域ブランドの名称の多くは、”地名+商品や場所の普通名称”であり、これでは一般名称と勘違いされて誰でも気軽に使えてしまうえに、一般名称は基本的に商標登録できないため、2006年4月1日から地域団体商標制度が導入されて登録できるようになったわけです。

今ではたくさんの地域団体商標が登録され、経済効果を期待できるまで成長した地域ブランドもあるようですが、近年の日本の経済事情に加え、コロナウィルスの影響もあり、今後も地域ブランドのあり方は重要なテーマと言えそうです。

地域団体商標活用の効果

商標に限らず、特許など知的財産権は、単に取得するだけではあまり意味がなく、その権利を活用することで、費用対効果を得られます。地域団体商標を活用すると、以下の効果やメリットがあると言われています。

①商品のブランド力向上

地域ブランドの名称を地域団体商標登録するには、その名称が、ある程度の人々(難しくいうと、一定の地理的範囲の需要者)に知られていなければならず、かつそれを証明しなければなりません。

特許庁は、”地名+商品や場所の普通名称”の商標登録を簡単には認めず、その知名度を審査で問います。つまり、地域団体商標登録できれば、地域ブランドとしてある程度確立していると言えるわけです。

地域団体商標は、経済産業省の管轄である特許庁のお墨付なので、ブランディングにも役立ちます。国内全域や国外に販路を拡大するようになれば、その恩恵をさらに感じられるはずです。

②商品の生産者の意識向上

地域ブランドの名称を地域団体商標登録するには、その地名との関連性も必要です。

例えば、地域団体商標登録済みである「草津温泉Ⓡ」は、「群馬県吾妻郡草津町における温泉入浴施設を有する宿泊施設の提供」、「群馬県吾妻郡草津町における温泉入浴施設の提供」という地域限定のサービス名として認められています。

言い換えれば、その地域(「草津温泉Ⓡ」の場合は「群馬県吾妻郡草津町」)以外では地域ブランドの名称を使えなくなるため、実際にその名称を使えるのは、その地域内の限られた人たちのみとなります。

つまり、地域団体商標登録済みの名称を名乗って商売できるという事実が、その商売の事業主や従業員や職人といった商品(サービス含む)の生産者に自信を与え、品質の保持や改善にも積極的に取り組む意識の向上も期待できます。

③地域活性化への貢献

つまるところ、①商品のブランド力向上と、②商品の生産者の意識向上が実現すると、地域活性化につながると考えられます。逆算すると、地域活性化の実現には、地域団体商標が要因の一つになりそうです。

「貢献」には、観光客を増やしたり商品の売れ行きを伸したりといった”攻めの貢献”のみならず、地域ブランドに相乗りする業者など悪意のある第三者をブロックするといった”守りの貢献”も含まれるはずです。

地域ブランドが人気になればなるほど悪意のある第三者に狙われやすくなります。そのため、マーケティングやブランディングと地域団体商標の取得活動とを同時進行で行うのが理想的です。

地域団体商標によるシナジー事例

地域団体商標登録事例一覧(特許庁ウェブサイトにリンク)では、都道府県別にリストアップされています。各商標をクリックすると、地域ブランドの概要や地域団体商標の内容も見ることができます。

また、これら地域団体商標の活用事例(特許庁ウェブサイトにリンク)について、特許庁は動画・冊子・漫画でまとめています。地域ブランド戦略を予定している団体の方々のみならず、既に実行中の方々にも参考になる内容と感じました。

むしろ、内容が充実し過ぎてて、どれを参考にしたらいいか迷ってしまうくらいなので、私的にわかりやすく現実的と感じた3つの事例と、これらのポイントを整理してみました。

島根県「玉造温泉Ⓡ」

□地域ブランドをPRする役割分担(観光協会=企画・制作・事業実施・プロデュース、旅館組合=広報・プロモーション)を明確にしたため、各自が徹底して作業を行えた

□「玉造温泉Ⓡ」に加え、「美肌・姫神の湯Ⓡ」というコンセプト名を商標登録することで、”ブレない街づくりのコンセプト”が確立でき、将来の方向付けを行えた

□ 島根県「玉造温泉Ⓡ」の動画サイト=http://www.chugoku.meti.go.jp/ip/contents/81/

大分県「中津からあげⓇ」

□「商品ブランド認証基準」として、からあげの調味液の成分、鶏肉の原産地、店舗の所在地などを明確にした

□地域団体商標登録の審査通過条件(①「中津からあげ」という名称がある程度有名であること、②”からあげ=鶏肉”と認識されていること)を満たしていることを証明するために2000人以上のアンケートを回収した

□大分県「中津からあげⓇ」の動画サイト=https://www.youtube.com/watch?v=BxW6DHYrTGE&feature=youtu.be

宮崎県「みやざき地頭鶏Ⓡ」

□「商品ブランド認証基準」として、指定農場のみ生産許可、飼育の期間や密度などを明確にした

□販路開拓として、販売先を選定したり、試食会など首都圏開催のイベントに積極的に参加したりした

□宮崎県「みやざき地頭鶏Ⓡ」の動画サイト=https://www.youtube.com/watch?v=YLBDoKA2JY4&feature=youtu.be

まとめ

地域団体商標登録を取得するには、地域ブランドとしてある程度確立している必要があります。

つまり、地域団体商標登録を取得するために町おこしを行い、その結果として地域ブランドが成長すれば、まさに一石二鳥ではないでしょうか。

地域団体商標によるシナジー事例を見ると、地域団体商標活用の効果は、地域団体商標登録の取得前から得られているとも考えられます。

文責:打越佑介

ブランド戦略にも初心者にも役立つ商標登録の5W1H

ブランド戦略とは、一言で表すと、他社とは違う価値を感じてくれるファン(顧客、ユーザー等)をつくるための活動(=ブランディング)の戦略、と考えています。

そして、ブランディングで大切なことは、他社との違い(=自社の価値)をファンが認識しやすくすることであり、ファンにとってその違い(価値)目印(商標)守る(登録する)ことは、ブランド戦略の具体策です。

そのため、商標登録も、ビジネスフレームワークの5W1H(What,Why,Who,When,Where,How)の質問に回答できれば、ブランド戦略としても有効です。

5W1Hの順番は自由ですが、以下で紹介する流れは、商標登録にとっての優先順位です。ブランド戦略のみならず商標登録の初心者にも使えるフレームワークです。

What(質問:商標は何ですか?)

回答:商標は●●●を示す○○○です

回答の●●●にはあなたのビジネス、○○○には商標(ネーミング・マーク)の形態を入れます。以下は回答例です。

例1:商標は小売業を示す文字(ひらがな、カタカナ、漢字、ローマ字、アルファベット)です。

例2:商標はソフトウェア開発業・アプリケーション名を示すロゴタイプ(上記文字をオリジナルの書体で表示)です。

例3:商標は飲食業を示す図形(エンブレム、キャラクター)です。

例4:商標は複数の業態を示す組み合わせ(図形+文字、ロゴタイプ+図形、図形+図形)です。

How(質問:商標をどのように使いますか?)

回答:商標を●●●として○○○します

回答の●●●にはブランドの種類、○○○には実際に商標を使う状態を入れます。以下は回答例です。

例1:商標をコーポレートブランド(社名・エンブレム)としてホームページのタイトルやロゴにしたり、看板にしたりします。

例2:商標をファミリーブランド(複数の商品のカテゴリをまたぐ包括的なネーミング・マーク)としてパッケージに印刷します。

例3:商標を個別ブランド(個々の商品のネーミング・マーク)としてサービス提供時のツールに付けます。

Why(質問:商標登録をなぜしますか?)

回答:商標登録を●●●のためにします

回答の●●●には商標登録の目的や理由を入れます。以下は回答例です。

例1:商標登録を競合他社などに先に商標登録されて当社が使えなくなったら困るのでします。

例2:商標登録を一般名称かどうかわからないため商標出願して審査してもらいたいためにします。

例3:商標登録を売買目的、ライセンス(使用権の許諾)目的のためにします。

Who(質問:商標登録は誰のものですか?)

回答:商標登録は●●●のものです。

回答の●●●には商標登録を出願する人や商標権を管理する人を入れます。以下は回答例です。

例1:商標登録は法人(株式会社、合同会社、一般社団法人など)のものです。

例2:商標登録は個人(中小企業の社長・フリーランスなど)のものです。

例3:商標登録は共同名義(法人+法人、個人+個人、個人+法人)です。

When(質問:商標をいつから使いますか?)

回答:商標を●●●から使います(予定です、使っています)。

回答の●●●には具体的な時期や予定を入れます。以下は回答例です。

例1:商標をプレスリリース後から使います。

例2:商標を将来的に使う予定です。

例3:商標を既に1年前から使っています。

Where(質問:商標をどこで使いますか?)

回答:商標を●●●で使います。

回答の●●●には地域名や国名を入れます。以下は回答例です。

例1:商標を日本国内のみで使います。

例2:商標を日本及びアジア諸国で使います。

例3:商標を日本及び欧米で使います。

まとめ

商標登録は知的財産として活用しやすいため、安易に考えられがちですが、トラブルにも発展しやすいため、適当になんとなく出願したり登録前に商標を使ったりするのは危険です。

5W1Hはマーケティング等のビジネスフレームワークとしても用いられている分、使いやすくわかりやすいため、社内の重役や社外の弁理士にもその内容を伝えやすいです。

文責:打越佑介

オンライン特許相談でビジネスを加速!【予約可】

特許や商標などのお悩みをアイピールームのオンライン特許相談で解決してぜひビジネスを加速させてください。

基本的に、Microsoft Teams・Google Meet・Zoom・Whereby・Skypeといったウェブ会議システムを使用し、無料で、かつ全国どこからでもお受けします。

ご相談予約を承っていますので、ご利用の際は下記のご利用方法をご参照の上、ご予約ください。

背景

新型コロナウィルス感染症対策として政府から緊急事態宣言がなされ、2020年4月7日から5月6日(延長により5月25日)まで外出自粛や休業の要請がなされました。

これを切っ掛けに、大企業・中堅企業・中小企業・フリーランスを問わず、リモートワーク(テレワーク・在宅勤務)の導入が急加速しました。

リモートワークでは、会社への忠誠心の低下や公私の混同などのデメリットも懸念されていますが、労働生産性の向上や経費の削減などのメリットが注目されています。

アイピールームの取り組み

アイピールームでは、新型コロナウィルス感染症対策以前から、時間の有効活用・紙資源の削減・情報の管理などをキーワードにして、リモートワークの研究及び導入を進めてまいりました。

私たちにとってのリモートワークは、オンラインによる相談対応も含み、お客様が抱える特許や商標のお悩みを解決する手段として、オンラインの活用は有効と考えています。

実際、オンライン会議システムにより、全国からのお問い合わせに対応でき、解決策の提案まで行うこともあります。

オンラインでも丁寧に

リモートワークにより、社内外の人々と触れ合う機会が減ってしまうことは否めませんが、だからこそ人と人とのコミュニケーションを今まで以上に大切にすべきと考えています。

オンラインでの打ち合わせも、対面に負けないくらいの感動を提供できるよう、難しい言葉をなるべく使わずに、わかりやすく説明するように努めています。

知的財産に関する基本的なご質問からビジネスに関する具体的なお悩みまで、全国どこからでも気軽にお問い合わせいただき、安心してビジネスに取り組んでいただくことが、私たちの幸せです。

ビジネスが加速する理由

全てのビジネスには知的財産が伴うはずです。知的財産とは、商品の仕様・製法・デザイン、社名・商品名・ロゴマークなどであり、いずれもビジネスにとって重要です。

そして、業績を伸ばしている会社ほど、競合他社の動向も考えていることから、知的財産の保護に対して高い意識を持っていると感じています。

すなわち、特許・意匠・商標といった知的財産権の取得により、競合他社の模倣のみならず追随を抑止できるため、相対的にビジネスが加速すると考えられます。

また、ビジネス上の知的財産の取り扱いを明確にしておくと、突発的な知的財産トラブルにも迅速に対応しやすい分、安心してビジネスを加速させられるはずです。

あらゆるご相談に対応

アイピールがお客様に選ばれる理由の一つは、知的財産に関するお悩みをワンストップで解決できることです。オンラインでも以下のような相談に対応いたします。

特許のご相談例

ありそうでなかったWebシステムを守れる?

協力先への提案前に特許を出して安心したい

特許か実用新案かどちらにすべきか?

大企業と共同開発した装置を特許出願したい

特許取得のため相談しながら開発を進めたい

資金調達のアピールのために特許出願したい

競合他社対策として特許件数を増やしたい

外国出願も見据えて特許戦略を考えたい

オンラインで特許戦略をサポートしてほしい

商標のご相談例

愛着ある社名を商標登録したほうがいい?

SEO対策としてサイト名を商標登録したい

新事業のシステム名を登録できるか調べたい

海外のブランド名を日本で商標登録したい

文字かロゴかどちらを商標登録すべきか?

商標登録したロゴと実際のロゴが違う

将来性を考えて指定商品・役務を提案希望

商標登録を更新すべきかどうかわからない

オンラインで商標戦略をサポートしてほしい

意匠のご相談例

意匠登録前にコンテストに応募して大丈夫か

販売サイトに出品する前に意匠出願したい

部分的には新しいデザインを意匠登録したい

商品に「意匠登録済み」と付してたい

デザインを外注した新商品を意匠登録したい

特許か意匠かどちらで保護すればいい?

シリーズ商品のバリエーションを守りたい

特許がダメなら出願変更して意匠登録したい

オンラインで意匠戦略をサポートしてほしい

ご利用方法(ステップ1~3)

どなたでもステップ1~3で簡単にご利用いただけます。なお、ご相談者様がウェブ会議システムのホストになることを希望なさる場合、その旨をステップ1でご表明ください。

ステップ1:お問い合わせフォームから相談予約(お客様→IPRoom)

まずはお問い合わせフォーム(メニューにもリンクあり)の「お問い合わせ内容」に以下のようにご記入の上、ご送信ください。

1.問い合わせ理由

オンライン特許相談の希望

2.希望日時(例)

第1希望=5月27日9時~11時

第2希望=5月27日13時~16時

第3希望=5月28日9時~9時30分

3.相談内容(例)

新しい商品を製造販売したいので特許で守りたい

4.提供できる資料等(例)

説明用資料、サンプル品

5.その他(例)

参加人数2名

なお、なるべく多くの方にご利用いただけるよう、基本的にお一人様一回につき30分とさせていただきます。

ステップ2:相談枠設定完了のご連絡(お客様←IPRoom)

基本的に、Microsoft Teams 又は Google Meetで会議を開催する予定です。他のウェブ会議システムをご希望の場合は、その旨をステップ1でご表明ください。

上記問い合わせ内容を確認後、上記希望日時に応じた開催日時の相談枠を設定したURL及び緊急連絡手段を電子メールやGoogleカレンダー経由で返信します。

なお、こちらの都合上、上記希望日時で相談枠を設定できない場合は別の日時候補を、また、上記問い合わせ内容について事前に質問があれば質問を、それぞれ電子メールで返信します。

ステップ3:ウェブ会議の開始(お客様⇔IPRoom)

そして、実際の開催日時に、上記電子メールやGoogleカレンダー内のURLをクリックして相談枠に入室すると、ウェブ会議が開始します。

通信障害等により開始できない場合、上記電子メールでお伝えした緊急連絡手段をご活用ください。

注意事項

オンライン特許相談のセキュリティは、ウェブ会議システムのレベルによるため、万が一の情報流出を懸念される方は、ご利用をご遠慮いただくか、資料の画面共有や秘密情報の詳細説明をお控えください。

なお、アイピールームでは、オンライン特許相談の開催にあたり、以下の点を徹底します。

・ウェブ会議システムの最新バージョンの利用

・相談枠に対するパスワードの設定(設定可能なシステムのみ)

・相談枠への入室前後の相談者様の本人確認

また、オンライン特許相談のご利用にあたり、ご相談の内容や回数が無料枠を超える場合は有料になることもありますが、事前にその旨をお伝えしますのでご安心ください。

最後に

新型コロナウィルスの流行後においても、リモートワーク(テレワーク・在宅勤務)が活用されると予想されていることから、あるべき姿は、今後も継続して研究されていくでしょう。

アイピールームでは、オンライン会議システムを有効に活用し、あらゆるご相談者様からのお問い合わせに対して、継続的かつ真摯に支援してまいります。

なお、オンライン特許相談をご利用の際は、よくある質問を事前にご覧いただけますと、より有意義な時間になると考えていますので、こちらもご活用ください。

 

文責:打越佑介

弁理士になってよかったことリスト

弁理士を10年やってますが、いまだに「便利屋さんですか?」と言われることがあります。弁理士って、ひょっとすると士業の中で一番マイナー(認知度が低い)かもしれません。

ただ、マイナーなことと、資格のメリットや仕事のやりがいは比例しません。知的財産の取り組みは、国策であり、大企業・中堅企業・中小企業・個人事業主かつ全業種に関係するとても重要な課題です。

そこで、私が考える弁理士になってよかったことをリストにまとめました。これらは仕事をしながらふと思い付いたときにメモしたツイッターのつぶやきを一部修正したもので、特にこれから弁理士を志す方々の参考になればうれしいです。

いろんな業界の人と仕事ができること

どの業界にも知財は必ずあるため、知財という切り口で各業界のお客様へのソリューションを提供できる醍醐味がある。もちろん各業界についての勉強は必要だが、仕事を通じて知らないことを学べることは幸せ。

働き方改革しやすいこと

業務の性質及びIT化を踏まえると、在宅勤務などリモートワークしやすい。強制的な環境じゃないと仕事ができない人以外には向いていると思う。

海外との取引がしやすいこと

日本のお客さんが海外で特許や商標を取りたい場合に各国の代理人と協業してシナジーうめるチャンスがある。プライベートな異文化コミュニケーションも楽しい。

新しいアイディアを知れること

もちろん営業秘密だし守秘義務だから誰にも言えないけど、お客さんの想いがつまった重要な知的財産について相談してもらえる仕事は遣り甲斐がある。

自分の子供に自慢できること

お父さんの仕事は皆さんの大事なアイディアを守ることで、国家試験に受からないとできないことなんだよって、言える日が楽しみ。少しは背中を見せられるかな。

人に語れることができたこと

知財に関する知識、経験、事例、流行、予測、ケース毎のメリット・デメリット・リスク・コストその他ノウハウなど、次世代に承継して役立ててもらえたら本望。

各士業の先生と仕事ができること

弁護士・税理士・司法書士など、餅屋は餅屋、プロフェッショナル同士の強みを生かしてシナジー生める関係作りは面白い。

受験仲間(戦友)ができたこと

受験時代から交友があり切磋琢磨した戦友たち。10年も弁理士してるとそれぞれ立場も境遇もかわってきて気苦労もあるけど、そういう話を共有できる友人がいることが幸せ。

時間の使い方を選択できること

仕事、遊び、育児などのバランスを調整し、関わる人と深くコミュニケーションできるため、関係がよくなったり自分の成長を感じたりしやすくなった。

えらい人と会いやすいこと

会社の社長さんや大学の先生など簡単には会えないような方々と比較的会いやすくなった。マイナーでも専門家というポジションは一目置かれやすいと思う。会える人々の層が変わると仕事の面白みが増す。

 

まとめ

弁理士になる動機や目的は人それぞれですが、なりたくてもなれない人もたくさんいると思いますので、ぜひ活用して社会に貢献してもらえたら嬉しいです。そうすることで、結果的に自分にも見返りがあるのではないでしょうか。

なお、これらは思い付いたときに適宜更新したいと考えています。

 

文責:打越佑介

【図解】知的財産の出願から登録までの流れの違い

特許・実用新案・意匠・商標、それぞれ出願から登録までの流れと期間が違います。以下、一覧表を参照しつつ解説します。

 

出願から登録までの流れと期間(平均)

 

 

特許は、①出願の後、②審査請求及び③審査を経て、④登録に至ります。①~④までの平均的な期間は1~4年です。

注意すべきは、②審査請求を①出願の後3年以内にしなければ、③審査がはじまらないばかりでなく、①出願自体が取り下げられたものとみなされてしまう点です。

実用新案は、①出願の後、特許と異なり②審査請求+③審査をせずに無審査で(ただし、書類上の方式的な審査はある)、④登録に至ります。①→④の平均的な期間は2~3か月です。

意匠及び商標は、①出願の後、特許と異なり②審査請求をせずに③審査を経て、④登録に至ります。①→③→④の平均的な期間は半年~1年です。

 

また、特許・意匠・商標では、③審査を通過しなければ④登録に至らないため、③審査を早くはじめてほしい場合は、「早期審査に関する事情説明書」を提出することもできます。

「早期審査に関する事情説明書」の提出後、平均的に3か月前後で審査結果が届くことから、①出願の後、特許の場合は1年くらい、意匠及び商標の場合は半年くらいで、④登録に至らせることもできます。

 

なお、よくある質問ですが、実用新案のメリットは、特許と異なり、②審査請求+③審査がない分、④登録に至る期間が短く、かつコストが安価な点です。

一方、実用新案のデメリットは、特許と異なり、③審査がない分、不安定な独占権であり、競合他社への差し止め請求など権利行使をする場合に、あらためて実用新案に関する技術の評価を特許庁に請求しなければならない点です。

 

まとめ

費用対効果を高めるために、事業や商品のプレスリリースや開始のタイミングにあわせて、知的財産の出願から登録までの各ステップを進めることをおすすめします。

 

文責:打越佑介