創立2周年のご挨拶

日頃より、当事務所に格別のご高配を賜り厚く御礼申し上げます。

 

おかげさまで、アイピールーム国際特許事務所は、2021年(令和3年)6月1日で創立2周年を迎える運びとなりました。

 

2年目も新型コロナウィルスの影響により先行き不透明な状態が続きましたが、1年目と同様、1日1日を必死に取り組みました。

 

そうした中で、2周年を迎えることができましたことは、一重に皆様方の温かいご指導ご支援の賜物と深く感謝し御礼申し上げます。

 

直近にはオフィスも移転し、新たな気持ちで3年目を迎えられたため、また皆様方のお役に立てるよう、誠心誠意努めてまいります。

 

今後ともアイピールーム国際特許事務所をどうぞ宜しくお願い申し上げます。

 

敬具

 

令和3年6月1日
アイピールーム国際特許事務所
代表 弁理士 打越 佑介

店舗やオフィスの内装デザインの意匠登録(2020年12月)

経産省は11月2日に建築物・内装の意匠が初めて意匠登録されたニュースをリリースしました。

イノベーションの促進とブランド構築の一環とする意匠法の抜本的な改正により、建築物・内装の意匠登録が2020年4月1日から認められるようになったことから、どのような建築物・内装が意匠登録されるのか、とても注目されていました。

また、内装の意匠登録の場合、オフィス用の家具や什器、OA機器等を扱う企業が、自社製品を活かして設計した空間デザインも保護できるようになったため、机・いす・棚・壁・床などの組み合せ及び配置による独創的な内装が期待されています。

そこで、2020年12月時点の内装の意匠登録に関する状況を、私の所感含めて共有します。

なお、下記の見出し「●●●の内装」は、J-PlatPatの意匠登録公報にリンクしていますので、「●●●の内装」をクリック後に下記画像に示す赤矢印部分をクリックすると、各内装の意匠登録の内容を閲覧できます。

衣料品店の内装

内装デザインはU社の店舗ですが、意匠権者はアパレル大手F社です。意匠登録公報内の【実施例参考イメージ図】を見ると、意匠登録の内容をイメージしやすいです。

衣料品店の全体像としては、箱状の店舗で、左右の壁には、衣類の陳列棚と、陳列棚の上に設置された電光掲示板とが設置され、奥の壁には、大型ディスプレイが設置されています。このうち、電光掲示板と大型ディスプレイとの配置について、意匠登録がなされています(【参考斜視図1】及び【参考斜視図2】で着色された部分)。

このように、内装全体のデザインのうち、一部分(電光掲示板と大型ディスプレイと配置)のみを登録しておくと、その他の部分(陳列棚)のデザインを変更しても意匠登録を有効に活用しやすくなります。

店舗の売場の内装①店舗の売場の内装②

意匠権者は、動画配信サービスが主力事業であるE社です。一見、内装の意匠登録とは縁がなさそうな会社ですが、意匠登録の内容を見ると、主力事業を多面的に防衛する狙いを感じます。

店舗の全体像としては、食品売り場といったスーパーやデパートの一角のようなイメージで、商品の陳列棚と、陳列棚に隣接するディスプレイとが配置されています。このうち、ディスプレイ(電光掲示板)の配置について、意匠登録がなされています。

上述したU社のように、ディスプレイの配置のみを登録しておけば、陳列棚のデザインを変更しても意匠登録を有効に活用しやすくなりますが、このような部分的な意匠登録(部分意匠)は、全体(陳列棚含む)に対する部分(ディスプレイ)の位置・大きさ・範囲に、意匠登録が左右される点も留意すべきです。

つまり、部分意匠として内装の意匠登録したとしても万能ではないということです。

店舗の売場の内装①と内装②とは、陳列棚のデザイン及び陳列棚に対するディスプレイの配置が、それぞれ異なります。陳列棚のバリエーションは多数あるため、全てのバリエーションに対して意匠登録するのは現実的ではないことから、代表的(メジャー)な陳列棚が選ばれたのではないでしょうか。

オフィス空間のショールームの内装

意匠権者は、家具・什器メーカー大手O社です。オフィスの休憩室や執務室の内装とは別に、あえてショールームの内装を意匠登録している点が、とても興味深いです。意匠登録の内容を見ると、独創的な印象です。

ショールームの全体像としては、平面図から推測すると、中央にある円形の商談スペースと、商談スペースの左下にある飲食物の提供スペース、のようです。飲食物の提供スペースについては、【意匠に係る物品の説明】の欄にも記載されています。

紫色に着色されたソファーやイスは意匠登録に含まれませんが、これらがショールーム全体に対して意匠登録を受けようとする部分(間仕切壁など)の位置・大きさ・範囲を明確にしていると考えられます。

職員室の内装①(基礎意匠)職員室の内装②(関連意匠)

意匠権者は、家具・什器メーカー大手O社です。一見して、独創性を感じにくいものの、商材の机・イス・棚を活かしたレイアウトのようです。なお、内装①と内装②とは類似しているため、基礎意匠・関連意匠の関係です。

私的に注目したいのは【意匠に係る物品】です。「職員室」という選択が巧妙と感じています。意匠に係る物品を「職員室」と具体的にすることで、公知意匠との類似を避ける対策にもなるためです。

意匠に係る物品が異なれば、公知意匠と類似している意匠を登録できるというわけではありませんが、比較的ありふれた意匠の場合、意匠に係る物品を具体的(限定的)にすることで登録できる可能性が高まることもあります。

まとめ

まだはじまったばかりの内装の意匠登録制度ですが、登録件数が増えれば増えるほど、内装デザインの実施が競合他社の内装の意匠権を侵害するおそれが高まるのも否めません。

12月11日時点で公報が発行されている内装の意匠登録は14件です。これからも内装の意匠登録について定期的にJ-PlatPatでウォッチして適宜所感など共有したいと思います。

ちなみに、内装の意匠登録を調べたい場合は、J-PlatPatの「意匠検索」から「日本意匠分類/Dターム」を選択して「L3-7」をコピペして検索してください。もしJ-PlatPatでの意匠の調べ方がわからない場合は以下も参考にしてみてください。

意匠を調べるには?小学生にもわかるJ-PlatPatの使い方

 

文責:打越佑介

弁理士短答不合格でも論文試験まで論文対策すべき理由

2020年の弁理士1次試験(短答試験)は、コロナウィルスの影響により、例年なら5月下旬のところ、9月20日(日)に行われました。受験生の皆さんにとっては大変な年になったのではないでしょうか。

私が最終合格した10年前と今とでは、試験の制度や問題のみならず、対策も変わっているかもしれませんが、少しでも経験談が役に立ったら嬉しく思います。

そこで、短答試験が不合格でも論文試験終了までは論文対策すべき理由を3つお伝えします。これは、私が短答試験に2回連続で不合格の後、3回目にして短答試験と論文試験とを一発で合格できた勝因の一つと考えています。

論文対策は短答対策にもなる

短答試験と論文試験とは違う、短答試験対策と論文試験対策を別物である、という考え方はおすすめできません。なぜなら、この考え方だと、時間を有効に活用し切れないからです。

もちろん、短答試験向けの勉強法、論文試験向けの勉強法、それぞれちゃんとあります。でも、少なくとも、特許の国内優先権や分割出願のような短答試験でも論文試験でも出やすい問題は、どちらも意識して取り組むほうが効率的です。

具体的には、論文対策しながら短答試験向けのレジュメや過去問を復習すると、趣旨や要件の理解が深まって知識が厚くなるので、その分論文の応用問題への対応も高まると期待できます。

論文試験不合格者が翌年のライバル

弁理士試験は相対評価の試験です。つまり、受験生のうち上位〇%に入れたら合格できるため、ライバルに差を付けられないように意識することは、最小限の労力で合格するために必要なことです。

この考えに基づくと、最もライバルに差を付けられやすいのは、短答試験から論文試験までの間です。なぜなら、短答不合格者の勉強のペースは緩みがちになり、一方、短答合格者の勉強のペースは加速しやすいからです。

論文対策講座を申し込んだり、直前答練を受けたりすることもおすすめです。来年の論文試験対策も今年の短答試験終了直後からはじまっており、ここをやり切れるかどうかが鍵とも言えます。

試験勉強のモチベーションの維持

過酷な短答試験を終え、自己採点でボーダーライン未満だと、心が折れそうになる気持ちもよくわかります。でも、ここで勉強のペースが緩むほど、翌年の合格が遠のくことも、忘れないでください。

勉強するなら、来年の短答試験対策より、たとえ受験できないとしても目先の論文試験対策のほうが心機一転して取り組めるため、モチベーションも維持しやすくなります。

休息も大切ですが、短答対策はうんざりだから気分転換に論文対策する、特許は飽きたから気分転換に商標の問題を解く、というような考え方で勉強のペースを保てると、合格がより近くなるはずです。

まとめ

短答試験が終わると、来年の弁理士試験までのカウントダウンがはじまります。そして、短答試験は通過点であり、論文試験も口述試験も突破しなければ最終合格できません。

そのため、短答試験が終わったら論文試験対策するのが自然な流れです。弁理士試験も水物で、合否の分かれ目は時の運なので、短答試験が不合格であっても、堂々と論文試験対策してください。

なお、短答試験の復習ですが、自信を持って正答できた問題以外の問題について、なぜ間違ったか、なぜヤマ勘で当たったかなどを、自己分析することをおすすめします。

文責:打越佑介

地域ブランド戦略と地域団体商標とのシナジー効果

全国地域ブランド総選挙」(経済産業省ウェブサイトにリンク)の開催について、2020年9月14日に経済産業省からリリースされました。2017年度は九州限定、2018年度は東海・北陸限定、2019年度は東北限定でしたが、2020年度はいよいよ全国のようです。

「地域ブランド」とは、簡単に言えば、その地域ならではの名産物や名所のように、その名称を聞くだけで産地や特徴をパッと思い浮かぶくらい人々に知られているもの、と考えられます。

そのため、地域ブランドの名称の多くは、”地名+商品や場所の普通名称”であり、これでは一般名称と勘違いされて誰でも気軽に使えてしまうえに、一般名称は基本的に商標登録できないため、2006年4月1日から地域団体商標制度が導入されて登録できるようになったわけです。

今ではたくさんの地域団体商標が登録され、経済効果を期待できるまで成長した地域ブランドもあるようですが、近年の日本の経済事情に加え、コロナウィルスの影響もあり、今後も地域ブランドのあり方は重要なテーマと言えそうです。

地域団体商標活用の効果

商標に限らず、特許など知的財産権は、単に取得するだけではあまり意味がなく、その権利を活用することで、費用対効果を得られます。地域団体商標を活用すると、以下の効果やメリットがあると言われています。

①商品のブランド力向上

地域ブランドの名称を地域団体商標登録するには、その名称が、ある程度の人々(難しくいうと、一定の地理的範囲の需要者)に知られていなければならず、かつそれを証明しなければなりません。

特許庁は、”地名+商品や場所の普通名称”の商標登録を簡単には認めず、その知名度を審査で問います。つまり、地域団体商標登録できれば、地域ブランドとしてある程度確立していると言えるわけです。

地域団体商標は、経済産業省の管轄である特許庁のお墨付なので、ブランディングにも役立ちます。国内全域や国外に販路を拡大するようになれば、その恩恵をさらに感じられるはずです。

②商品の生産者の意識向上

地域ブランドの名称を地域団体商標登録するには、その地名との関連性も必要です。

例えば、地域団体商標登録済みである「草津温泉Ⓡ」は、「群馬県吾妻郡草津町における温泉入浴施設を有する宿泊施設の提供」、「群馬県吾妻郡草津町における温泉入浴施設の提供」という地域限定のサービス名として認められています。

言い換えれば、その地域(「草津温泉Ⓡ」の場合は「群馬県吾妻郡草津町」)以外では地域ブランドの名称を使えなくなるため、実際にその名称を使えるのは、その地域内の限られた人たちのみとなります。

つまり、地域団体商標登録済みの名称を名乗って商売できるという事実が、その商売の事業主や従業員や職人といった商品(サービス含む)の生産者に自信を与え、品質の保持や改善にも積極的に取り組む意識の向上も期待できます。

③地域活性化への貢献

つまるところ、①商品のブランド力向上と、②商品の生産者の意識向上が実現すると、地域活性化につながると考えられます。逆算すると、地域活性化の実現には、地域団体商標が要因の一つになりそうです。

「貢献」には、観光客を増やしたり商品の売れ行きを伸したりといった”攻めの貢献”のみならず、地域ブランドに相乗りする業者など悪意のある第三者をブロックするといった”守りの貢献”も含まれるはずです。

地域ブランドが人気になればなるほど悪意のある第三者に狙われやすくなります。そのため、マーケティングやブランディングと地域団体商標の取得活動とを同時進行で行うのが理想的です。

地域団体商標によるシナジー事例

地域団体商標登録事例一覧(特許庁ウェブサイトにリンク)では、都道府県別にリストアップされています。各商標をクリックすると、地域ブランドの概要や地域団体商標の内容も見ることができます。

また、これら地域団体商標の活用事例(特許庁ウェブサイトにリンク)について、特許庁は動画・冊子・漫画でまとめています。地域ブランド戦略を予定している団体の方々のみならず、既に実行中の方々にも参考になる内容と感じました。

むしろ、内容が充実し過ぎてて、どれを参考にしたらいいか迷ってしまうくらいなので、私的にわかりやすく現実的と感じた3つの事例と、これらのポイントを整理してみました。

島根県「玉造温泉Ⓡ」

□地域ブランドをPRする役割分担(観光協会=企画・制作・事業実施・プロデュース、旅館組合=広報・プロモーション)を明確にしたため、各自が徹底して作業を行えた

□「玉造温泉Ⓡ」に加え、「美肌・姫神の湯Ⓡ」というコンセプト名を商標登録することで、”ブレない街づくりのコンセプト”が確立でき、将来の方向付けを行えた

□ 島根県「玉造温泉Ⓡ」の動画サイト=http://www.chugoku.meti.go.jp/ip/contents/81/

大分県「中津からあげⓇ」

□「商品ブランド認証基準」として、からあげの調味液の成分、鶏肉の原産地、店舗の所在地などを明確にした

□地域団体商標登録の審査通過条件(①「中津からあげ」という名称がある程度有名であること、②”からあげ=鶏肉”と認識されていること)を満たしていることを証明するために2000人以上のアンケートを回収した

□大分県「中津からあげⓇ」の動画サイト=https://www.youtube.com/watch?v=BxW6DHYrTGE&feature=youtu.be

宮崎県「みやざき地頭鶏Ⓡ」

□「商品ブランド認証基準」として、指定農場のみ生産許可、飼育の期間や密度などを明確にした

□販路開拓として、販売先を選定したり、試食会など首都圏開催のイベントに積極的に参加したりした

□宮崎県「みやざき地頭鶏Ⓡ」の動画サイト=https://www.youtube.com/watch?v=YLBDoKA2JY4&feature=youtu.be

まとめ

地域団体商標登録を取得するには、地域ブランドとしてある程度確立している必要があります。

つまり、地域団体商標登録を取得するために町おこしを行い、その結果として地域ブランドが成長すれば、まさに一石二鳥ではないでしょうか。

地域団体商標によるシナジー事例を見ると、地域団体商標活用の効果は、地域団体商標登録の取得前から得られているとも考えられます。

文責:打越佑介

J-PlatPatで特許検索数を初心者でも上手に絞るコツ

J-PlatPatで先行技術調査をする場合、「簡易検索」を使う初心者の方が多いようですが、キーワードの入力欄が一つしかありません。

「簡易検索」のメリットは、特許・実用新案、意匠、商標、どれでもボタンの切替で検索できる点ですが、デメリットは、検索の精度を高めにくい点です。

特許の場合、難解な公開特許公報や特許公報をある程度読まなければならない分、上手く検索しないとノイズ(関係ない公報)が多くなってしまいます。

そこで、初心者でもJ-PlatPatを使って特許検索数を上手に絞るコツをご紹介します。

アイディアを可視化する

J-PlatPatを使う前に、箇条書きでも文章でも説明図でもいいので、まずはアイディアを可視化しましょう。特に、アイディアを言葉に置き換えることは大切です。

新しいプロダクト(装置、日用品など)なら、部品・構造・組み立て方・効果など、ソフトウェア(アプリケーション、ウェブシステムなど)なら、機能・処理の流れ・効果などを、言語化します。

なぜなら、公開特許公報や特許公報は、プロダクトやソフトウェアなどのアイディアを言語化し、ストーリー調に作文したものだからです。公開特許公報と特許公報の違いは以下を参考にしてください。

公開特許公報・特許公報とは?小学生にもわかる違い

ストーリー調とは、背景技術→従来技術の紹介→従来技術が抱える問題→上記問題に基づき解決すべき課題→上記課題を解決する手段(≒特許請求の範囲)→上記手段により得られる効果→アイディアの具体的な内容(=発明の実施形態)、といった流れのことです。

そのため、特許文献の検索数を上手に絞るには、探したい公開特許公報や特許公報のストーリーに使われそうな言葉に、アイディアを置き換えて言語化することが必要です。

例えば、「シャツ」といっても、Tシャツ、Yシャツ、ロングスリーブ・ノースリーブ・タンクトップ、襟有り・襟無し、プルオーバータイプ・ボタンタイプというように、いろいろあります。

つまり、「シャツ」を上位概念とすると、各種のシャツを下位概念として言語化することで、「シャツ」に関係する先行技術文献の漏れが減り、検索精度を高められます。

「特許・実用新案検索」で各検索項目を組み合わせる

J-PlatPatで先行技術調査する場合、「特許・実用新案検索」がおすすめです。無料で使えますし、検索項目を2つ以上選択できるため、「簡易検索」より調査精度が上がるはずです。

言い換えると、検索項目をうまく組み合わせれば、簡単に検索数を上手に絞れます。そこで、「特許・実用新案検索」を使った先行技術調査でよく使う検索項目とその理由をご紹介します。

1.請求の範囲

J-PlatPatで先行技術調査するということは、公開特許公報または特許公報を検索することになります。そして、これらの公報のうち、エッセンス(最も重要な部分)が詰まっているのが、「(特許)請求の範囲」です。

なぜなら、審査の結果、特許になる部分が「(特許)請求の範囲」なので、この部分にアイディアを上位概念や下位概念に言語化したキーワードが潜んでいる可能性が高いからです。

ちなみに、「要約/抄録」という検索項目は、文字数が「請求の範囲」より少ないため、活用頻度は低めです。また、「全文」や「明細書」という検索項目は、文字数が「請求の範囲」より多く、かつエッセンス以外の説明もされている分、ノイズ(関係性の低いキーワード)も含まれているため、活用頻度は低めです。

なお、複数のキーワードをAND条件にしたいときは、「請求の範囲」を二段以上選択し、OR条件にしたいときは、同じ検索欄にスペースを挟んで入力します。

2.発明・考案の名称/タイトル

「発明・考案の名称/タイトル」は、一般的に、アイディアのタイトルを上位概念化した言語にて表現します。ただ、上位概念過ぎて曖昧だと審査で不利になるおそれがあり、下位概念過ぎて具体的だと権利範囲が狭くなり過ぎる恐れがあるため、よく考えて決定すべき部分です。

そのため、「請求の範囲」で検索数が多過ぎたり少な過ぎたりして上手く絞れなかった場合、例えば、「発明・考案の名称/タイトル」と「請求の範囲」とを一つずつ選択し、前者には上位概念のキーワード、後者には下位概念のキーワードを入れて検索すると、上手く検索数を絞れることがあります。

3.出願人/権利者/著者所属

競合他社や似た特許を出してそうな会社を知っている場合、「出願人/権利者/著者所属」を選択し、それらの社名でキーワード検索することもあります。たくさん特許を出している競合他社ほど、この検索項目は有効です。

例えば、「発明・考案の名称/タイトル」と「出願人/権利者/著者所属」とを一つずつ選択し、ある発明についてシェア上位の会社がそれぞれ何件特許を出しているか調べることもできます。

まとめ

J-PlatPatで特許検索数を初心者でも上手に絞るコツをまとめると、以下の2つのステップになります。

ステップ1:アイディアを可視化する

ステップ2:「特許・実用新案検索」で各検索項目(「請求の範囲」、「発明・考案の名称/タイトル」、「出願人/権利者/著者所属」など)を組み合わせる

はじめからステップ1を完璧に行うのはむずかしいので、ある程度可視化できたらステップ2に進み、ある程度特許検索して先行技術を調べられたらまたステップ1に戻ると、アイデアの言語化もはかどり、その分検索精度も上がりますので、試してみてください。

文責:打越佑介

下町ロケットを知らない人のための特許戦略7ヵ条

2020年8月14にSankeiBizから「中小の知財・技術保護へ指針、今秋にも提示 大企業の不当取得防止」という記事がリリースされました。

記事によれば、下町ロケットような技術力の高い中小企業が、大企業と公正な取引を行えるような支援策を政府が検討しており、2021年度予算案の概算要求に盛り込むというものです。

『下町ロケット』の概要についてはウィキペディアで確認できますが、弁理士としては下町ロケットから学べる特許戦略を忙しい中小企業の社長などで下町ロケットを知らない人にも知ってもらえると嬉しいです。

そこで、特許戦略としてはほんの一部に過ぎませんが、わかりやすく7ヵ条にまとめました。なお、下町ロケットをこれから見るため内容を知りたくない人はお読みになるのをご遠慮くださいますようお願いいたします。

①特許出願のタイミングが勝敗を分ける

帝国重工(大企業)が佃製作所(中小企業)に勝てなかった最大の原因は、佃製作所(中小企業)より特許を出すのが2週間遅かったことです。2週間前に同じ特許を他社に出されていることを知る術はありませんので、仕方がありません。

ただ、このような例はウソのようで本当にあることです。特許は出願(申請)してから1年半は公開されないため、今から1年半前以降にどんな特許が出されているかは、公開されなければわかりません。

そのため、事業活動において大切なことは、ライバルに先を越されないようにタイミングを逃さず特許を出すことであり、仮に同じ特許が他社に出されていてもその特許を回避する案を決めること、です。

なお、優先権主張出願という制度を利用することで、特許出願してから1年以内であれば、出願した特許の具体例(研究成果)を追加して内容を補強したりすることができます。

②特許には時間を短縮する価値がある

佃製作所(中小企業)の強みはバルブシステムの特許であり、帝国重工(大企業)は佃製作所(中小企業)の許可を得ずにバルブシステムを製造すれば、特許を侵害することになります。

さらに、帝国重工(大企業)のスターダスト計画実施も間もなくです。もはや佃製作所(中小企業)のバルブシステムの特許を回避する新たなバルブシステムの開発は時間的に不可能です。

つまり、帝国重工(大企業)の弱みは時間です。もしスターダスト計画実施前に新たなバルブシステムを開発できれば、佃製作所(中小企業)の特許権を侵害することにはならず、佃製作所(中小企業)との交渉も不要です。

このように、帝国重工(大企業)にとって、佃製作所(中小企業)の特許の価値はバルブシステム開発の時間短縮です。このことから、特許には、時間的な価値があると言えます。

③特許とノウハウは一心同体である

中小企業は特許を取れるなら取るべきですが、特許と同じくらいノウハウが大事ということを忘れてはいけません。中小企業の多くは、大手企業にないノウハウを持っているはずです。

以下は、佃製作所(中小企業)のバルブシステムの開発技術を、特許とノウハウに分けたイメージ図です。左側がバルブシステム構造の特許(青)、右側がバルブシステムの製造ノウハウ(赤)です。

帝国重工(大企業)は全部品を内製(自社で製造した部品)したかったため、佃製作所(中小企業)の特許の使用許諾が必要でした。帝国重工(大企業)には設備投資力もあり、製造装置(マシニングセンタなど)の性能にも自信があったようです。

一方、佃製作所(中小企業)は特許の使用許諾ではなく、バルブシステムを部品として帝国重工(大企業)に供給したいと申し出ました。なぜなら、佃製作所(中小企業)は特許のみならず、バルブシステムの品質を極限まで高めるための強烈なノウハウ(穴あけ、削り、研磨など)を持っていたからです。

帝国重工(大企業)は特許の使用許諾さえあればバルブシステムの構造を真似できます。そもそも帝国重工(大企業)もバルブシステムの研究開発をしていたため、製造ノウハウもあるはずです。

しかし、佃製作所(中小企業)の真の強みは、バルブシステムの製造ノウハウです。製造装置の精度を上回る技術者の感覚や勘所は、帝国重工(大企業)に真似できません。このようなノウハウを非公開(秘密)にすることで、佃製作所(中小企業)は特許と同じくらい貴重な“価値ある技術”をウリ(強み)にできるわけです。

中小企業としては、特許をとるアイデア(技術的思想)があっても、公開してまで特許をとる価値があるか?、価値があるとしたらどこまで公開すべきか?非公開のノウハウと組み合わせて特許の価値を高められるか?など、検討すべき点はたくさんあります。

なお、会社経営上、ある技術者一人しかしらないノウハウがあるというのは、強みにも弱みにもなります。なぜなら、その技術者が退職したり病欠したりしたら、誰もそのノウハウを再現できなくなるからです。そのため、ノウハウを社内で共有できる仕組みづくりも重要です。

④特許を売るか貸すかは経営判断である

佃製作所(中小企業)の特許を買い取りたい帝国重工(大企業)の提示額は20億円でした。特許をお金に換えることは簡単ではないため、売れるときに売ってしまったほうがいいという考え方もあります。

特許の維持費もかかるし、新しい技術が登場すれば特許の価値も下がります。そのため、特許を持っている会社は、特許を売るか貸すか?いくらで売るか貸すか?そもそも買い手や借り手はいるのか?などを模索しています。

しかし、佃製作所(中小企業)は、バルブシステムの特許のみならず製造ノウハウも持っており、製品の品質に絶対の自信があったため、帝国重工(大企業)に特許を売りも貸しもせずに部品供給という経営判断をしました。

なお、特許を貸した場合の利益(ライセンス収入)は、一般的に製品の売上に対する1~5%と言われています。100万円売り上げたら1~5万円の収入ということです。特許の貢献度にもよるため、もっと多い場合もあれば、少ない場合もあります。

⑤特許=製品の品質保証ではない

まず前提として、特許は製品(モノ)が実際になくてもとれます。つまり、アイデア(技術的思想)さえあれば誰でも特許を出せます(審査をクリアできるかどうかは書類の書き方次第です)。

そして、特許の審査をクリアする上で、製品の品質保証は必要ありません。理論的に製品(モノ)がつくれれればOKで、品質基準をクリアした製品が100回に1個しかつくれないとしても、特許はとれます。

真珠で有名なミキモトの創業者・御木本幸吉が発明した真珠の養殖方法は1916年に特許となりましたが、実際に真珠を取得できた確率は数パーセントだったそうです。

このように、特許と製品の品質保証は異なるため、佃製作所(中小企業)のように特許をとっても帝国重工(大企業)の品質基準をクリアできる製品をつくれるかどうかは別の話であることに注意してください。

⑥特許は技術者の創作意欲から生まれる

日本の技術者の多くは、給与以上に研究開発に没頭できる環境を求めており、特許庁が実施したアンケートでそのような結果が出ています(以下画像、引用: 「職務発明制度に関するアンケート調査結果について 」 by 特許庁)。

「(1)研究開発を行う上で重要と思うこと」として、技術者が最も重視しているのは、日本企業・海外企業どちらも「現実的な問題を解決したいと思う願望」(85%以上)です。一方、日本企業にとって「金銭的な処遇」(71.7%)は他の項目より低いことがわかります。

また、中小企業が技術者との関係で注意すべきは、職務発明(技術者が職務上考えた発明)に関する取り決めです。

例えば、職務発明は会社のもの(会社が特許を受ける権利を持っている状態)であること、そのかわり技術者にはそれなりの金銭等をあげること、などを就業規則に書いておかないと、会社に不満をもった技術者から訴えられるリスクがあります。

おそらく、佃製作所(中小企業)と技術者(佃社長含む)とは、職務発明の取り決めがあるのではないしょうか。そのため、技術開発部が考えた職務発明(バルブシステム)について、特許を受ける権利(特許権を所有する資格)があるのは佃製作所(中小企業)で、そのかわりに技術者にはそれなりの金銭(ボーナスなど)が支払われていると推測できます。

⑦特許について営業担当者が無知だと危ない

技術開発にはコストがかかる、売れない特許なんて意味がない、と営業担当者は考えがちです。製品が売れなければ会社は生き残れず、製品を売ることが営業担当者の使命であれば、然るべき意見です。

そのため、営業担当者が売上(成績)を伸ばすことを優先して、会社が特許を出願する前に客先にプレゼンしてしまったり、他社の特許を侵害する製品の注文を受けてしまったりすることもあるようです。

技術力があってもそれを守れなければ、会社は孔の空いた鍋のようなもので、業績も上がりにくいです。同じように、営業力を高めるには、営業担当者が製品の知識に加え、特許のリテラシーを持つことも必要であり、これによりお客様からの信用が高まるのではないでしょうか。

なお、センサーや測定器のファブレスメーカーであり高収入でも有名なキーエンスは、類まれなる営業力を武器としていますが、特許の公開公報のヒット件数は2600件以上(2020年8月16日時点)であり、2020年の知財価値ランキングではトップになるほどの技術力を兼ねていると考えられます。

まとめ

あらためまして、下町ロケットから中堅企業や中小企業が学べる特許戦略の7ヵ条は、以下のようになります。

①特許出願のタイミングが勝敗を分ける
②特許には時間を短縮する価値がある
③特許とノウハウは一心同体である
④特許を売るか貸すかは経営判断である
⑤特許=製品の品質保証ではない
⑥特許は技術者の創作意欲から生まれる
⑦特許について営業担当者が無知だと危ない

ウィズコロナ・アフターコロナの時代における知的財産活動のニューノーマル、すなわち、従来の知的財産活動には考えられなかった新たな常識や常態がいずれスタンダードになると想定されますので、時代に合った特許戦略の検討・実行も大切です。

アイピールームではウェブ会議システムによる特許相談の仕組みづくりに力を入れており、既に利用者の皆様に有益な成果を出せていますので、興味がありましたら以下も参考にしてみてください。

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文責:打越佑介

特許請求の範囲とは?小学生にもわかる意味・図解

特許を取れば、なんでもかんでも守れるわけではなく、審査で認められた範囲でしか守れず、この範囲を「特許請求の範囲」といいます。

特許の持ち主は、誰かのモノマネ品が「特許請求の範囲」に含まれれば、モノマネ品の販売などを止められます。

逆に、”誰か”に該当する人は、モノマネ品が「特許請求の範囲」に含まれなければ、モノマネ品の販売などを続けられます。

つまり、「特許請求の範囲」とは、ずばり特許のことですが、これを図解と共に説明します。

特許請求の範囲の請求項1に要注意

特許の書類(特許公報)には、一般的に、「請求項1」、「請求項2」、「請求項3」・・・と書かれています。

この「請求項●」とは、ずばり特許のことで、「請求項1」、「請求項2」、「請求項3」・・・をまとめて「特許請求の範囲」といいます。

そして、「特許請求の範囲」のうち、注意すべきは「請求項1」です。

なぜなら、一般的に、「請求項2」以下は、「請求項1」に基づいている(従属している)からであり、別の言い方をすれば、「請求項1」に別のアイディア(機能、部品、工程など)を加えたものだからです。

つまり、「請求項1」が要注意な理由は、請求項2以下よりも範囲が広いからです。このことを図解したのが以下です。

請求項の内容がシンプルなほど範囲が広い

図は、ソフトウェア特許(俗にいうビジネスモデル特許)をイメージしたもので、「請求項1」は機能A,B,Cを搭載したソフトウェア、「請求項2」は機能A,B,C,Dを搭載したソフトウェア、という意味です(請求項3以下も同じ)。

請求項2以下のソフトウェアは、機能A,B,Cのみならず、機能D,E,F,Gを搭載している分、請求項1のソフトウェアより範囲が狭いということになります。

逆に、請求項1のソフトウェアは、機能A,B,Cのみであり、機能D,E,F,Gを搭載していない分、請求項2以下のソフトウェアより範囲が広いということになります。

つまり、請求項の内容がシンプルな(請求項に含まれる機能が少ない)ほど、範囲が広いということになります。このあたりが、特許の難しいところであり、勘違いされやすいところでもあります。

請求項2以下と違っても請求項1を含めば侵害

例えば、請求項2(機能A,B,C,D)のソフトウェアに似ているけど異なる機能A,B,C,EのソフトウェアXを販売した場合、ソフトウェアXは少なくとも機能A,B,Cを有するため、請求項1のソフトウェアを含むことになります。

同様に、請求項3(機能A,B,C,D,E)のソフトウェアに似ているけど異なる機能A,B,C,F,GのソフトウェアYを販売した場合、ソフトウェアYは少なくとも機能A,B,Cを有するため、請求項1のソフトウェアを含むことになります。

つまり、請求項2や請求項3のソフトウェアに似て非なるソフトウェアでも、請求項1のソフトウェアを含んでいる場合、請求項1を侵害していることになります。

このことは、請求項1が要注意であり、請求項の内容がシンプルなほど範囲が広いという理由につながります。

実際の商品と特許とは逆の考え方

一方、実際の商品(例えば、ソフトウェア)は、多機能ほど充実していることから、特許請求の範囲とは考え方が逆です。

つまり、特許を取る場合は、たとえ実際の商品が多機能でも、できる限り余計な機能を含めず、必要最低限の機能に絞り込むわけです

ここで、「必要最低限の機能」とは、世の中に存在する技術(先行技術)と比べて少しでも上回る(進歩している)ものを意味します。

例えば、機能A,Bのソフトウェアが世の中に存在する技術である場合、これよりも進歩している機能A,B,Cを請求項1にします。

そして、実際の商品に含まれる他の機能D,E,F,Gは、請求項1に従属する請求項2,3,4,5にすることで、商品の機能を段階的に特許で守れます。

なお、特許出願した場合、審査次第で特許請求の範囲が狭まることもあるため、請求項1のみならず、請求項2,3,4,5も重要です。

参考:特許請求の範囲が審査で狭まる理由【図解】

まとめ

特許請求の範囲は、特許の持ち主のみならず、特許を侵害するかもしれない人にとっても重要ですので、意味や読み方を知っておくと安心です。

一般的に、請求項1が要注意です。なぜなら、特許請求の範囲の中で、請求項1が最も広い範囲に該当するためです。

特許を取得する場合は、実際の商品が多機能であっても、最低限の機能を請求項1とし、他の機能を請求項2以下にします。

特許に侵害しているかもしれない場合、商品が請求項1の機能を含んでいるかどうかを調べることで、侵害しているかどうかを判断します。

 

文責:打越佑介

新規性とは?小学生にもわかる意味・注意事項・図解

特許を取るためには、発明(アイディア、商品、ウェブシステム等)に「新規性」が必要です。

「新規性」を簡単に言いますと、「出願手続(申請)前に発明が誰にも知られていない状態」で、「誰にも知られていない状態」とは、「開示していない状態」です。

また、「開示」とは、例えば、「(発明を)販売したり、インターネットで紹介したり、展示会に出展したり、セミナーで詳細を教えたりする行為」を意味します。

そこで、具体的に「新規性」の意味を図解します。

出願手続前に開示したら新規性がなくなる

①と②は、新規性がある場合と新規性がない場合との対比です。①と②の違いは、出願手続と開示の順番です。

①の場合、出願手続の後に発明を開示しており、新規性があるため、他の条件を満たせば特許を取れます。

②の場合、出願手続の前に発明を開示しており、新規性がないため、知られてしまった部分について基本的に特許を取れません。

そのため、開示は、出願手続前にしない(出願手続後にする)ことをおすすめします。

出願手続前に開示したら絶対に特許取れない?

うっかり出願手続前に開示してしまったり、どうしても出願手続前に開示しなければならなかったりすることもあるでしょう。

そんなときは、「新規性喪失の例外適用手続」を活用できます。

この手続は、本当は新規性がないけど、新規性がないことをなかったことにしてくれる、ありがたい制度ですが、2つの条件をクリアする必要があります。

一つ目の条件は、開示してから1年以内に出願手続すること、二つ目の条件は、出願手続した日から30日以内に手続すること、です。

「新規性喪失の例外適用手続」により、他の条件を満たせば特許を取れますが、手続自体が煩雑なので、基本的にはおすすめしていません。

まとめ

シンプルに、出願手続前に開示しない、開示するのは出願手続後、ということを覚えておいていただけると嬉しいです。

実際、このことを知らなかったため、残念ながら特許を取れなくなってしまった例を、私はたくさん知っているからです。

早く開示してビジネスを加速させたいお気持ちはよくわかりますが、そこをグッとこらえて、ぜひ弁理士にご相談ください。

 

文責:打越佑介

オンライン特許相談でビジネスを加速!【予約可】

特許や商標などのお悩みをアイピールームのオンライン特許相談で解決してぜひビジネスを加速させてください。

基本的に、Microsoft Teams・Google Meet・Zoom・Whereby・Skypeといったウェブ会議システムを使用し、無料で、かつ全国どこからでもお受けします。

ご相談予約を承っていますので、ご利用の際は下記のご利用方法をご参照の上、ご予約ください。

背景

新型コロナウィルス感染症対策として政府から緊急事態宣言がなされ、2020年4月7日から5月6日(延長により5月25日)まで外出自粛や休業の要請がなされました。

これを切っ掛けに、大企業・中堅企業・中小企業・フリーランスを問わず、リモートワーク(テレワーク・在宅勤務)の導入が急加速しました。

リモートワークでは、会社への忠誠心の低下や公私の混同などのデメリットも懸念されていますが、労働生産性の向上や経費の削減などのメリットが注目されています。

アイピールームの取り組み

アイピールームでは、新型コロナウィルス感染症対策以前から、時間の有効活用・紙資源の削減・情報の管理などをキーワードにして、リモートワークの研究及び導入を進めてまいりました。

私たちにとってのリモートワークは、オンラインによる相談対応も含み、お客様が抱える特許や商標のお悩みを解決する手段として、オンラインの活用は有効と考えています。

実際、オンライン会議システムにより、全国からのお問い合わせに対応でき、解決策の提案まで行うこともあります。

オンラインでも丁寧に

リモートワークにより、社内外の人々と触れ合う機会が減ってしまうことは否めませんが、だからこそ人と人とのコミュニケーションを今まで以上に大切にすべきと考えています。

オンラインでの打ち合わせも、対面に負けないくらいの感動を提供できるよう、難しい言葉をなるべく使わずに、わかりやすく説明するように努めています。

知的財産に関する基本的なご質問からビジネスに関する具体的なお悩みまで、全国どこからでも気軽にお問い合わせいただき、安心してビジネスに取り組んでいただくことが、私たちの幸せです。

ビジネスが加速する理由

全てのビジネスには知的財産が伴うはずです。知的財産とは、商品の仕様・製法・デザイン、社名・商品名・ロゴマークなどであり、いずれもビジネスにとって重要です。

そして、業績を伸ばしている会社ほど、競合他社の動向も考えていることから、知的財産の保護に対して高い意識を持っていると感じています。

すなわち、特許・意匠・商標といった知的財産権の取得により、競合他社の模倣のみならず追随を抑止できるため、相対的にビジネスが加速すると考えられます。

また、ビジネス上の知的財産の取り扱いを明確にしておくと、突発的な知的財産トラブルにも迅速に対応しやすい分、安心してビジネスを加速させられるはずです。

あらゆるご相談に対応

アイピールがお客様に選ばれる理由の一つは、知的財産に関するお悩みをワンストップで解決できることです。オンラインでも以下のような相談に対応いたします。

特許のご相談例

ありそうでなかったWebシステムを守れる?

協力先への提案前に特許を出して安心したい

特許か実用新案かどちらにすべきか?

大企業と共同開発した装置を特許出願したい

特許取得のため相談しながら開発を進めたい

資金調達のアピールのために特許出願したい

競合他社対策として特許件数を増やしたい

外国出願も見据えて特許戦略を考えたい

オンラインで特許戦略をサポートしてほしい

商標のご相談例

愛着ある社名を商標登録したほうがいい?

SEO対策としてサイト名を商標登録したい

新事業のシステム名を登録できるか調べたい

海外のブランド名を日本で商標登録したい

文字かロゴかどちらを商標登録すべきか?

商標登録したロゴと実際のロゴが違う

将来性を考えて指定商品・役務を提案希望

商標登録を更新すべきかどうかわからない

オンラインで商標戦略をサポートしてほしい

意匠のご相談例

意匠登録前にコンテストに応募して大丈夫か

販売サイトに出品する前に意匠出願したい

部分的には新しいデザインを意匠登録したい

商品に「意匠登録済み」と付してたい

デザインを外注した新商品を意匠登録したい

特許か意匠かどちらで保護すればいい?

シリーズ商品のバリエーションを守りたい

特許がダメなら出願変更して意匠登録したい

オンラインで意匠戦略をサポートしてほしい

ご利用方法(ステップ1~3)

どなたでもステップ1~3で簡単にご利用いただけます。なお、ご相談者様がウェブ会議システムのホストになることを希望なさる場合、その旨をステップ1でご表明ください。

ステップ1:お問い合わせフォームから相談予約(お客様→IPRoom)

まずはお問い合わせフォーム(メニューにもリンクあり)の「お問い合わせ内容」に以下のようにご記入の上、ご送信ください。

1.問い合わせ理由

オンライン特許相談の希望

2.希望日時(例)

第1希望=5月27日9時~11時

第2希望=5月27日13時~16時

第3希望=5月28日9時~9時30分

3.相談内容(例)

新しい商品を製造販売したいので特許で守りたい

4.提供できる資料等(例)

説明用資料、サンプル品

5.その他(例)

参加人数2名

なお、なるべく多くの方にご利用いただけるよう、基本的にお一人様一回につき30分とさせていただきます。

ステップ2:相談枠設定完了のご連絡(お客様←IPRoom)

基本的に、Microsoft Teams 又は Google Meetで会議を開催する予定です。他のウェブ会議システムをご希望の場合は、その旨をステップ1でご表明ください。

上記問い合わせ内容を確認後、上記希望日時に応じた開催日時の相談枠を設定したURL及び緊急連絡手段を電子メールやGoogleカレンダー経由で返信します。

なお、こちらの都合上、上記希望日時で相談枠を設定できない場合は別の日時候補を、また、上記問い合わせ内容について事前に質問があれば質問を、それぞれ電子メールで返信します。

ステップ3:ウェブ会議の開始(お客様⇔IPRoom)

そして、実際の開催日時に、上記電子メールやGoogleカレンダー内のURLをクリックして相談枠に入室すると、ウェブ会議が開始します。

通信障害等により開始できない場合、上記電子メールでお伝えした緊急連絡手段をご活用ください。

注意事項

オンライン特許相談のセキュリティは、ウェブ会議システムのレベルによるため、万が一の情報流出を懸念される方は、ご利用をご遠慮いただくか、資料の画面共有や秘密情報の詳細説明をお控えください。

なお、アイピールームでは、オンライン特許相談の開催にあたり、以下の点を徹底します。

・ウェブ会議システムの最新バージョンの利用

・相談枠に対するパスワードの設定(設定可能なシステムのみ)

・相談枠への入室前後の相談者様の本人確認

また、オンライン特許相談のご利用にあたり、ご相談の内容や回数が無料枠を超える場合は有料になることもありますが、事前にその旨をお伝えしますのでご安心ください。

最後に

新型コロナウィルスの流行後においても、リモートワーク(テレワーク・在宅勤務)が活用されると予想されていることから、あるべき姿は、今後も継続して研究されていくでしょう。

アイピールームでは、オンライン会議システムを有効に活用し、あらゆるご相談者様からのお問い合わせに対して、継続的かつ真摯に支援してまいります。

なお、オンライン特許相談をご利用の際は、よくある質問を事前にご覧いただけますと、より有意義な時間になると考えていますので、こちらもご活用ください。

 

文責:打越佑介

弁理士になってよかったことリスト

弁理士を10年やってますが、いまだに「便利屋さんですか?」と言われることがあります。弁理士って、ひょっとすると士業の中で一番マイナー(認知度が低い)かもしれません。

ただ、マイナーなことと、資格のメリットや仕事のやりがいは比例しません。知的財産の取り組みは、国策であり、大企業・中堅企業・中小企業・個人事業主かつ全業種に関係するとても重要な課題です。

そこで、私が考える弁理士になってよかったことをリストにまとめました。これらは仕事をしながらふと思い付いたときにメモしたツイッターのつぶやきを一部修正したもので、特にこれから弁理士を志す方々の参考になればうれしいです。

いろんな業界の人と仕事ができること

どの業界にも知財は必ずあるため、知財という切り口で各業界のお客様へのソリューションを提供できる醍醐味がある。もちろん各業界についての勉強は必要だが、仕事を通じて知らないことを学べることは幸せ。

働き方改革しやすいこと

業務の性質及びIT化を踏まえると、在宅勤務などリモートワークしやすい。強制的な環境じゃないと仕事ができない人以外には向いていると思う。

海外との取引がしやすいこと

日本のお客さんが海外で特許や商標を取りたい場合に各国の代理人と協業してシナジーうめるチャンスがある。プライベートな異文化コミュニケーションも楽しい。

新しいアイディアを知れること

もちろん営業秘密だし守秘義務だから誰にも言えないけど、お客さんの想いがつまった重要な知的財産について相談してもらえる仕事は遣り甲斐がある。

自分の子供に自慢できること

お父さんの仕事は皆さんの大事なアイディアを守ることで、国家試験に受からないとできないことなんだよって、言える日が楽しみ。少しは背中を見せられるかな。

人に語れることができたこと

知財に関する知識、経験、事例、流行、予測、ケース毎のメリット・デメリット・リスク・コストその他ノウハウなど、次世代に承継して役立ててもらえたら本望。

各士業の先生と仕事ができること

弁護士・税理士・司法書士など、餅屋は餅屋、プロフェッショナル同士の強みを生かしてシナジー生める関係作りは面白い。

受験仲間(戦友)ができたこと

受験時代から交友があり切磋琢磨した戦友たち。10年も弁理士してるとそれぞれ立場も境遇もかわってきて気苦労もあるけど、そういう話を共有できる友人がいることが幸せ。

時間の使い方を選択できること

仕事、遊び、育児などのバランスを調整し、関わる人と深くコミュニケーションできるため、関係がよくなったり自分の成長を感じたりしやすくなった。

えらい人と会いやすいこと

会社の社長さんや大学の先生など簡単には会えないような方々と比較的会いやすくなった。マイナーでも専門家というポジションは一目置かれやすいと思う。会える人々の層が変わると仕事の面白みが増す。

 

まとめ

弁理士になる動機や目的は人それぞれですが、なりたくてもなれない人もたくさんいると思いますので、ぜひ活用して社会に貢献してもらえたら嬉しいです。そうすることで、結果的に自分にも見返りがあるのではないでしょうか。

なお、これらは思い付いたときに適宜更新したいと考えています。

 

文責:打越佑介

【図解】知的財産の出願から登録までの流れの違い

特許・実用新案・意匠・商標、それぞれ出願から登録までの流れと期間が違います。以下、一覧表を参照しつつ解説します。

 

出願から登録までの流れと期間(平均)

 

 

特許は、①出願の後、②審査請求及び③審査を経て、④登録に至ります。①~④までの平均的な期間は1~4年です。

注意すべきは、②審査請求を①出願の後3年以内にしなければ、③審査がはじまらないばかりでなく、①出願自体が取り下げられたものとみなされてしまう点です。

実用新案は、①出願の後、特許と異なり②審査請求+③審査をせずに無審査で(ただし、書類上の方式的な審査はある)、④登録に至ります。①→④の平均的な期間は2~3か月です。

意匠及び商標は、①出願の後、特許と異なり②審査請求をせずに③審査を経て、④登録に至ります。①→③→④の平均的な期間は半年~1年です。

 

また、特許・意匠・商標では、③審査を通過しなければ④登録に至らないため、③審査を早くはじめてほしい場合は、「早期審査に関する事情説明書」を提出することもできます。

「早期審査に関する事情説明書」の提出後、平均的に3か月前後で審査結果が届くことから、①出願の後、特許の場合は1年くらい、意匠及び商標の場合は半年くらいで、④登録に至らせることもできます。

 

なお、よくある質問ですが、実用新案のメリットは、特許と異なり、②審査請求+③審査がない分、④登録に至る期間が短く、かつコストが安価な点です。

一方、実用新案のデメリットは、特許と異なり、③審査がない分、不安定な独占権であり、競合他社への差し止め請求など権利行使をする場合に、あらためて実用新案に関する技術の評価を特許庁に請求しなければならない点です。

 

まとめ

費用対効果を高めるために、事業や商品のプレスリリースや開始のタイミングにあわせて、知的財産の出願から登録までの各ステップを進めることをおすすめします。

 

文責:打越佑介